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2013年1月21日(月)付

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土曜授業―答えを急ぐことはない

公立校に、土曜日の授業を復活させたい。下村博文文部科学相が意欲を示した。問題提起はわかる。一方で、学校週5日制は週末を家族とゆったり過ごすライフス[記事全文]

高速道路改修―財源論の前に規律を

老朽化が進む首都高速道路について、首都高会社の有識者委員会が改修費用を試算した。全長約300キロのうち47キロで造り替えや大規模修繕が必要となり、費用は最大で9千億円を[記事全文]

土曜授業―答えを急ぐことはない

 公立校に、土曜日の授業を復活させたい。下村博文文部科学相が意欲を示した。

 問題提起はわかる。

 一方で、学校週5日制は週末を家族とゆったり過ごすライフスタイルをもたらした。土曜も学校となれば、親子の会話が減る。そこをどう考えるか。

 結論を急がず、国民的な議論をしたうえで判断すべきだ。

 学校で土曜が完全に休みになったのは11年前。ゆとりの学習指導要領とともに始まった。

 教える内容を絞り、全員しっかりわかるようにする。その理想とは裏腹に、公立校の勉強だけでは足りないという不安が保護者に広がった。

 塾に通うお金がある家庭とそうでない家庭で学力に差がついた。都市部では土曜も授業をする私立に子どもが流れた。そんな批判をうけた文科省は教える内容を増やし、授業時間も小中で週1〜2コマ増やした。

 ベネッセの調べでは、小学校の半分近くは国の標準より多い授業時間をとっている。増えた内容をこなすためだ。

 公開授業などは土曜にしてもよいという特例を使い、すでに月1、2回ほど土曜授業をしている自治体も少なくない。

 横浜市教委が一昨年とったアンケートでは、保護者の7割が土曜授業に賛成した。

 週休2日を変えずに授業を増やした結果、生徒も先生も平日の余裕がなくなった。そんな声もある。

 大臣が「世論の理解はあると思う」と言うのは、こうした現実をふまえたものだろう。

 ただ、やるとしても元のつめこみに戻るべきではない。

 日本の子に足りないのは、応用力と学ぶ意欲。知識よりも考える力だ。国内外の学力調査で毎度のようにそう指摘される。増える時間は、実験や観察、討論に振り向けるべきだ。

 教職員も交代で休めるよう増やす必要がある。でも、少人数学級だって財政難で先生を増やせなくて全学年に行きわたらないのに、容易なことではない。

 週末のくらしは様変わりするだろう。部活動や地域の子ども向けの催し、スポーツ教室や習いごと、塾は、土曜休みを前提に営まれている。家族の遠出も減るかもしれない。社会へのさまざまな影響がありうる。

 土曜を休みにするときも、中教審などで長い議論を重ねた。答えを急ぐことはない。

 やるべきか。やるとしても毎週必要か、隔週で足りるのか。

 役所や有識者だけでなく、各地の保護者からじかに意見を聴く場を作ってはどうだろう。

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高速道路改修―財源論の前に規律を

 老朽化が進む首都高速道路について、首都高会社の有識者委員会が改修費用を試算した。

 全長約300キロのうち47キロで造り替えや大規模修繕が必要となり、費用は最大で9千億円を超えるという。

 問題はその財源だ。

 首都高会社をはじめ、2005年の道路公団民営化で生まれた高速6社は、全国の高速道路を保有する独立行政法人から道路を借り、賃料を支払っている。独法はそれをもとに旧公団時代の借金を返しており、約40兆円を2050年に完済して高速料金を無料にする計画だ。

 ところが計画には、どの高速道路の更新費用も盛り込まれていない。あきれた話である。では資金をどう捻出するか。税金か、料金値上げか――。

 国土交通省は、50年の完済期限の先送りを想定しているようだ。毎年の返済額を減らすことで財源を確保しようという考えである。

 先送り案には、他の理由も絡んでいるとみられる。景気対策で08年度に始めた高速料金の割引を続けるには14年度以降の資金手当てが必要▽一般の高速道路と比べて高い本四架橋の料金を下げるための財源も要る、という事情があるからだ。

 中央道のトンネルで天井板の落下事故が起きるなど、老朽化対策は待ったなしである。

 しかし、別の課題もごっちゃにした、どさくさ紛れの案づくりは許されない。

 財源論の前に確認しておくべき規律は、ほかにもある。高速道路の新規着工に手を広げないこと。そして、既存の道路についても一部は捨てる発想に立つことである。

 民主党政権は、着工が凍結されていた高速道路区間の工事再開や4車線化に踏み切った。政権に復帰した自民党は「国土強靱(きょうじん)化」を掲げ、今年度の補正予算案にさっそく新規着工の経費を計上した。「災害時に既存の道路が被害を受けそうな所に絞る」(国交省)というが、費用対効果をどこまで詰めたのか。

 「捨てる発想」は、例えば首都高の都心環状線だ。外側に東京外環道など3本もの環状線の整備が進んでおり、造り替えは二重投資になりかねない。

 社会インフラの老朽化問題は高速道路に限らない。国と地方を通じた全体像をつかみ、必要な費用を推計する作業を急ぐ必要がある。

 税金も利用料金も、負担するのは国民だ。新しく造れば、将来必要となる更新費は増える。このことを肝に銘じなければならない。

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