娯楽映画&美女観賞。⑭『007は二度死ぬ』。
テーマ:娯楽映画&美女 2010-12-31 10:24:01『007は二度死ぬ』 ルイス・ギルバート監督作品。フジヤマ、芸者だけではない技術革新の国日本が舞台の、ご存知「007」シリーズ第五作。
高度経済成長政策の基で東京オリンピックを控えた時期に撮影された映画だけあって、「ALWAYS・三丁目の夕日」の舞台東京がCGやセットでなく楽しめます。開業したばかりの地下鉄丸ノ内線やホテルニューオータニ、旧・蔵前国技館、東京タワー、銀座交差点、駒沢公園、代々木体育館などの昭和レトロの実写風景が随所に出てくるので「ALWAYS・三丁目の夕日」ファンの方々は必見です。しかしイアン・フレミングの原作とは月とすっぽん位の違いがあります。原作は自殺願望の強い一風変わった黄色人種として描かれていますが、映画はエレクトロニクス技術で世界を席巻し始めた技術革新の国に敬意を表して、超小型TVやロケット銃、ヘリコプターに装備した電磁石…敵・スペクターのヘリ部隊との空中戦シーンに登場するシリーズ自慢の秘密兵器、オートジャイロの“リトル・ネリー”をボンドが操縦するかと思えば、トヨタ自動車がヤマハにエンジンを特注して製造したトヨタ2000GTコンバーチブルがイギリス伝統の名車アストンマーチンに代わって東京を疾駆するのです。ボンドカーは当初は雑誌“ボーイズライフ”によると日産R380が使用されるという前宣伝でしたが、トヨタの大逆転劇が成され、クラウンやコロナなどが大挙登場するトヨタ自動車のCMのようでもあります。
奇妙奇天烈な日本が描かれているのも事実で、公安所属の特殊部隊が忍者だったり、ソープランドと間違えたのか男女混浴する(迷)シーンが登場します。特殊部隊の訓練場を姫路城に設定しているその天衣無縫なストーリーと日本文化の表現が荒唐無稽過ぎて、日本人としては疑問符だらけの作品になっていますが、クライマックスの火山内部の秘密基地に降下潜入してのバトルなどのアクションは流石の迫力でした。バックに流れるジョン・バリーの音楽も最高の出来で、フルオーケストラによる圧倒的な迫力は東洋の雰囲気を完ぺきに捉えていました。特にプロローグでの芸者ガールをシルエットにスタッフ、キャストの名前を流す場面はため息が出るほどに美しいのです。ボンド・ガールは若林映子と浜美枝という日本人離れしたBMI指数合格のナイスバディ美女ですが、スペクター側のカリン・ドールもなかなかの美女でした。当初は若林映子が海女の役で、浜美枝が公安エージェントの役の予定でしたが、日本人俳優たち全員が英語特訓のため数週間ロンドンに留学した結果、浜美枝の英語力ではセリフが難しいと判断して役を交替させたようです。なお丹波哲郎の英語力も発音が悪いと判断され、本編ではイギリス人俳優がセリフを吹替えているのです。
若林映子。
因みに、「ロシアより愛をこめて」のイタリア美女、ダニエラ・ビアンキや「サンダーボール作戦」のイタリア人俳優、アドルフォー・チェリなどクイーンズイングリッシュに程遠い訛りの強い発音の俳優は全て、吹き替えだそうです。火口湖のクレーター内の秘密基地に使った製作費だけで、第三作の「007・ゴールドフィンガー」の総製作費に匹敵するとあとで知りました。