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『007は二度死ぬ』プレミア上映に『スカイフォール』吹替の藤真秀が登場!ボンドガール若林映子からもメッセージ
007は二度死ぬ
『007』シリーズの製作50周年を記念した特別版DVDシリーズ、『007 TV放送吹替初収録特別版DVD-BOX』の発売を記念し、『007は二度死ぬ』のプレミア上映が行われ、吹替愛好家で漫画家のとり・みき、映画監督で脚本家の三宅隆太が登壇。スペシャルゲストに、『007 スカイフォール』でダニエル・クレイグを担当する藤真秀が駆けつけた。
『007』のTV放送吹替を初めて収録した『007 TV放送吹替初収録特別版DVDシリーズ』全22作。この発売を記念して行われた『007は二度死ぬ』プレミア上映では、1978年4月3日にTVでたった一度だけ放送されたTBS「月曜ロードショー」初回放送の最長版を完声版(TV放送時にカットされた部分をDVD用に制作された吹替音声で補完したもの)で初上映。『007は二度死ぬ』は日本を舞台にして当時大きな話題となったボンド・シリーズ第5弾で、ショーン・コネリーを吹替で演じたのは若山弦蔵氏。またタイガー田中役を演じた丹波哲郎氏の吹替は本人が担当している。
「TVの吹替の魅力は?」というMCからの質問に対して、吹替愛好家として著書も出しているとりが、「70年代、公開が済んだ作品を観ることができるのはTVだけだった。洋画劇場の吹替でしか有名な映画は観られなかった。でもそれで十分感動したんです。皆慣れ親しんでいるはずのに、TVの吹替は軽視されていて、どうも紛いものというイメージがあり、あまり歓迎されない。加工品みたいな言い方しかされない」と、TV吹替に対する現状に苦言を呈すると、三宅も、「以前はTVで海外の映画を吹替で観るのが自然だった。二次使用的な意味ではなく、作品との初めての出会いの場所がTVだったんです。録画機器も普及していなかった時代、これを逃すともう二度とみられないかもしれないと思って、当時はセリフにも演技にも今よりもずっと集中して観ていました」と呼応した。
DVDとTVの吹替の違いについて、「DVDの吹替えは本国がチェックをしている、非常に原点に近いもの。それはそれでよいが、TVの吹替はいわゆるTV番組。2時間で完結して、洋画を使っていかに面白いTV番組にできるかと考えて作られているので、アドリブもたくさん入っているし、カットされるがためにその部分を補完するための演出がなされていて、自由度が高いんです」というとりの解説に、多数の観客が頷いていた。また、『007は二度死ぬ』の吹替については、「ショーン・コネリーなら若山弦蔵さん、ロジャー・ムーアなら広川太一郎さんがTVでもDVDでも吹替えていますが、TV版は声優さんの年齢が吹替えている俳優さんに年齢が近い頃の吹替。同じ声優さんでもタイムラグがあるかないかでずいぶん違います。当時のショーン・コネリーの熱量がTV版ではそのまま伝わってきますので感じ取っていただければ」と語った。
途中スペシャルゲストに、シリーズ史上初めて劇場で日本語吹替版を上映することが発表された『007 スカイフォール』から、ダニエル・クレイグを担当した藤真秀が参加。「ジェームズ・ボンド役に選んでいただいたことに単純に嬉しいという気持ちもありましたが、数々の大先輩方が吹替えられてきた役を僕ができるかなという不安がありました。最終的には開き直って『私ができるのはこれです』という姿勢で臨みました」と、抜擢された当時の心境を告白。しかし吹替愛好家であるとりは、「品があってオーバーアクトではない、藤さんの吹替えがダニエルにぴったり」と太鼓判。三宅は「『カジノロ・ワイヤル』を見た子供が少し大きくなっていて、劇場で吹替版の『007スカイフォール』を見たとき、声を聴いて「僕の知っている人だ!」と思うだろうなと想像すると、嬉しいし素晴らしいことですね」と付け足した。
また、『007は二度死ぬ』でボンドガールを務めた若林映子より50周年を祝うメッセージが届き、当時の撮影や共演者スタッフとの思い出、007が1作目から50年を経て今もシリーズで続いていることに対する喜びがつづられ、なんと次回作の主題歌をイギリスのグループ、ワンダイレクションに担当してほしいというリクエストも。「もちろん合言葉は“I-LOVE-YOU”です」と結ばれたメッセージを聞いた藤は、「これだけ歴史のある作品にかかわらせていただいたんだなと感動します」と感慨深げにコメントした。イベントは藤のダニエル・クレイグの吹替の声によるきめ台詞「ボンドだ、ジェームズ・ボンド」で締めくくられ、客席から自然と拍手が起こり、和やかな雰囲気でトークショーは終了した。
2012年11月7日