グリーン経済と私たちの未来-経済・環境ジャーナリスト石井孝明

生の情報から、一緒に現実を考える。金融、社会企業家、エネルギー、温暖化など

環境・エネルギー・温暖化政策

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原発広報・原発報道を考える

宮城県沖地震が起きました。関係者の皆さん、いかがでしたでしょうか。被災者の方に、自分の生活の中で、できる限りのことをしたいと思いますし、亡くなった方のご冥福を心からお祈りします。リアルの私を知っていただいている方、私は無事です。家族が歩いて帰宅し、眠れませんでしたが。
 
以下、時間の関係で、きれいにまとまっていませんが意見です。
原発広報、原発報道の2点を考えたいと思います。今12日午前東京電力福島発電所で、微量ながら、放射能もれがあります。
原発広報への不満1・起きて情報をみると、原発が予想しない状況まで進んでいました。ネット上では、メルトダウンと絶叫するデマには加担しなかったが、やや見通しの甘さを反省します。今回東電の広報に不満。数千万の人が知りたがる情報、以下でしょうか。 http://www.tepco.co.jp/index-j.html
状況を短く羅列するのみで、状況の解説なし。100人ぐらいの原発広報の張り付けているのだから、リスク評価、解説加えないと、不安ばかりが高まる。全国民注視の情報を数行では問題です。
原子力安全保安院の広報も、もっとひどいものです。http://www.nisa.meti.go.jp/ 何条措置とか言って、解説もなし。日本人だからいいようなものの、こんな情報で不安がぬぐえるとでも思っているのでしょうか。首相官邸に発表をゆだねたとはいえ。官房長官会見で言及されるが、TVでは編集されカット。東電・保安院の情報は2時間に1つ程度。事実の羅列で、解説評価なし。これは是非改善してほしいです。
 
エネルギー危機の可能性があります。これは国家による広報の必要があります。今回原発火力が止まり長期化の恐れ。経済への悪影響が起こりかねません。
り行政も東電も生情報を羅列するだけで、編集していません。想定しないレベルの事故で混乱したと推測されますが、国民の原子力の不信を増幅しかねない。事実描写と、情報評価がまったくない。広報の落第例でしょう。
 
原発報道への反省です、私も文系なのに中途半端に勉強していました。だが限界がありました。今回のような3重の冷却水装置、ECCS(緊急冷却)まで知っていたが、それが利かないことは考えていない。炉を開放して圧力下げる手法なんて、今日初めて知りました。素人の記者には限界がある。デマもネットで多かったのです。
私がメディア担当記者(経済部)のとき、原発は担当が社会部、科学部に分かれ誰がやるか不明のとき多かったのです。素人がネットで拡散するのも怖い、専門家は伝わらない、記者は知らないのです。これはメディアで普遍的な問題ですが、解決は難しいものです。速報性と情報評価の問題もあります。
 
また不安に思われるために以下のツイートがありました。
RT @hirosawatomoya: 一番怖いのは除熱が不十分で燃料が溶けて破損してしまうことですが、水位が安定している、ということは発熱と除熱のバランスが取れているはずなので、問題ないと思われます。 @ishiitakaaki
posted at 06:02:49
RT @hirosawatomoya: 原子炉内の放射能はほとんど燃料内にあります。燃料が大量に破損しない限り、問題のある放射能漏れは起こりません。

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東京大手町の稲刈り?に参加してきましたーパソナグループ本社農園

パソナグループが東京・大手町のオフィスビル1階に設置した“水田”で3日、稲刈りが行われました。都会の真ん中で、季節外れの秋の光景がビル内にありました。取材に行ってきました。とても不思議でした。(写真1)
 パソナは、自然との共生をテーマに「社員の健康」や「農業」に配慮したオフィス環境を整備していることはお話ししました。ビル内の野菜は社員食堂で照らされています。
 私は3代続けて東京人で、農作業は遠縁の畑で何十年か前にしたものだけ。
 
 イネから取った染料で作った服も登場。(写真2)ヤギさんも大手町でかわれています。今後年三回、一般の方も、申し込めば借り入れに参加できるそうです。もちろん都市
 
の田んぼは、ビジネスにはならないでしょうが、何か新しい可能性を感じられます。
 
この前も指摘したように、同社グループ代表の南部靖之さんが、農業支援をしています。同社グループは今年20万人とされる大学卒業生の未就職者を救う様々なプログラムをしています。
社会をビジネスで変えようとする南部代表、同社グループに心から敬意を持ちます。
 イメージ 1
写真1・駐サウジアラビア大使の方。40年ぶりの稲刈りだそうです。
 
イメージ 2
写真2 東京大手町産の野菜などから取れる自然繊維からの衣料。社内ベンチャーだそうです。
 
 イメージ 3
 
(写真3)パソナグループの南部代表 何度か取材させていただきましたが、素敵な紳士です。
イメージ 4
大手町にときどきくるヤギさん(女性のようです。男性も)
新入社員扱いだとか。社員の癒しのため活動。稲は藁は彼女らのご飯にもなります  

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速報上関原発反対派による・東京会見

上関原発の意見表明をする反対派の会見がありました。http://sustena.org/kaminoseki/
 
反対派の会見でした。急いで書きましたので、まとまっていないところがあります。会見描写を中心に伝えます。個人的には現場ではないので、情報の重要度は劣るでしょう。
 
不思議な光景でした。結論からいうと、パラドックスだらけでした。この人々は主観的には善意に満ちて、争いはしたくない。知ってほしいと言っていました。だが客観的に、自らが当事者になり、外部に広げることで問題を複雑にしているのです。その自己矛盾を薄々気づいているようですが、直視していないようでした。
 
原発を巡る論点、また現地の感情は、ここが東京という現地から離れた場なので、知識面では新しいものはありませんでした。逆に、ネット上の方が情報が集まるかもしれません。(もちろん体感情報以外)。
 
私が当初から感じているように、複雑な問題が工事開始に絡んで一度に言及されるため、問題が混乱しました。これが問題解決を複雑にします。整理して考えるべきなのに、そして工事は住民意思決定の問題なのに、問題が複雑になっています。
 
私はエネルギー記者として、政府と電力会社の文章、さらには白書、決算、計画などの情報に大量に接してきました。そこは明らかに論理と数字の世界です。私が彼らのいう「体制より」になっていることは自戒しなければなりませんが、きょうの反対派の議論は感情に重きを置いたもので、そうした論理の世界とかなり異質なものに受け止めました。両者が同じ土俵に立つのも難しいのかなと感想を抱きます。
 
これは住民意思決定の問題です。用地買収は完了し、有権者の7割は賛成し、問題は周辺地の土地祝島の漁業権を根拠に埋め立てを拒否しているという問題です。
 
しかし、漁業権の問題で詳細省略しますが、中国電に現地説明で数多い不手際があったことは確認されました。土地ではなく漁業権を持つ祝島の合意を近年まで放置。だから感情対立を生んだのです。
 
また出席した人は、善意はあるのでしょうが、自分たちの関与がどのような影響があり、どのような責任を持つのか。認識してほしいと考えました。
 
ちなみに、私は現地に同情はするものの、東京在住で責任を引き受けられない以上、関与しないし、またいい加減な気持ちで、賛成・反対を言いたくないと考えています。
 
出席した方の発言は一般市民がみて、疑問に思うことが多くありました。
 
出席した映画監督は、現地賛成派に「お金が流れている」と繰り返しました。こうした問題は事実かもしれないし、そうではないかもしれません。ですが、主張するのなら証拠を出すのが常識です。こうした発言は明らかに名誉棄損を含みかねない問題です。
 
 出席した翻訳家は「田浦は日本のタハリーム広場だ」。エジプト革命の話を持ち出しました。田浦は工事予定地ですが、私の愛する平和の日本を紛争地にしないでほしいと思いました。敵はだれでしょうか。
 
出席した反原発活動家。突然演説しました。「原発のコストはkWh20円だ。だから日本の電力料金はアメリカの4倍、スウェーデンの電力料金の6倍。EUの新規発電所の6割は自然エネ。アメリカでは太陽光のコストが原発より低くなった」。
 
思わず笑ってしまいました。私はいずれとも違う資料を持っています。太陽光が原発より安ければ、シフトが彼が何も言わなくても始まっているでしょう。こんなめんどくさいこと、誰もやりたくないはずですから。
さらに原発建設で5000億のお金が税金から出ていると。電源開発3法の補助は900億程度ですが、何を指すのか不明です。
 
 この方、温暖化で日本の回りになどあるエネルギー源メタンハイドレードがとけ、地球が火の海になり数十億人が死ぬと、活字の文章を残していました。NPOバンクは評価しますが、基本的なエネルギーと高校理科の知識が必要です。メタンハイドレを私財なげうち調査する独立総合研究所の青山繁晴氏は聞いたら目をテンにするでしょう。
 
この人「上関や原発を巡る私の発言が報道されないのは、メディアがダメだ」と。間違った発言はは自粛するでしょう。なぜが出席した東京高尾山の自然保護活動家が「高尾と同じ」と発言していました。「すべて違います」と突っ込みたくなりました。
 
そしてこの人たちはメディア批判をしながらメディア掲載を望む矛盾の行動をしています。
 
 本名を名乗らず、登場した現地の活動家の青年がいました。普通の青年で、彼の将来を心配しました。活動家は変と思い込んでいたから。だがこの人も、自分の存在そのものが、争点になるか自覚しているのか不明でした。「憎しみが向けられている」「裁判になるかも」そりゃそうでしょう。
 
青年「僕たちには遅らせることしかできない」「知ってほしい」。その善意は認めるものの、遅らせることで、賛成派住民と中国電は怒り始め、損害が出ている事実が分からないのでしょうか。
 
この青年らが刑事罰を受け、賠償をくらったら(電力のHP写真みると、明らかに犯罪)気の毒です。これを参加者はいやがらせ訴訟としていましたが、物理的な損害を生めば刑事事件になります。
 
青年は抜けられなくなっているのかもしれませんが、連合赤軍事件のように。抜けた方がいいと、私も本心で思いました。同席した監督たちは、なぜ青年を助けないのだろう。このおばさんたちはパクられる位置にいないのに。自己責任かもしれませんが、大人への義憤を感じました。
 
また別件の話ですがネットで情報が過多になり、少し調べれば、専門家に文系情報レベルは追いつけると分かりました。ネットのユーザーと知識も分析力も大して変わらないことに改めて気づきました。
 
私は、外部は介入せず静かにしてほしい、平和裏に解決してほしいと願っています。ですが、これをみると、外部の人の介入もあり、また現地の住人の人の不快感もあり、状況は混乱しているようです。
 
日本のエネルギー需給から考えると、原発は必要と考えます。そして政府・電力会社の内在的論理を知る私からすると、原発は、手続きが煩雑で、後戻りが難しいでしょう。
 
ですが、解決は住民合意では不可能そうです。外部勢力の支援もあるからです。中国電力は継続すると同時に10年程度で建てられるところ(なかなかないでしょうが)も探し、見つかったら「ちゃぶ台をひっくり返す」ように、出ていけばいいのではないでしょうか。そうでなければ、状況が好転する兆しはないので、強行突破しかありません。
 
もちろん経営責任は株主と国に取って。さらに、自然は人の手が入らなければ守れません。それも守れないでしょう。地域振興は、現地に任せることになります。この原発は、この町が誘致した現実があるようですが。
 
そのとき、外部の人々は、この地域には誰もいないでしょう。
 
 
イメージ 1
 
会見の風景
 
*****
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私は電力中央研究所の上席研究員の杉山大志さん、主任研究員の「気分のエコでは救われない!データで考える地球温暖化」(日刊工業新聞)という本を出版します。2月25日に出版されます。もしよろしければご一読賜れば幸いです。
 
書いた動機は、地球温暖化問題についての正確な情報を知り、温暖化問題を考える議論の一助にしていただきたいと考えるためです。エネルギー政策での市民合意の必要性についても指摘しています
 

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上関原発の混乱の鎮静化を望む〜狂気を伴う一部外部勢力の介入ではなく住民の決定を そして冷静なエネルギーの議論を

イメージ 2
(写真は電気新聞サイトからの引用。上関原発をめぐる混乱。平日暴れる茶髪のお兄さんの背中には「9条」とか「911真相究明」とか。こういう50年前と同じ反対運動はやめてほしい) 
 
多忙なのに、今、山口県上関町で行われている中国電力上関原発工事を巡るツイートに参加してしまいました。自分の集中力のなさに反省しています。
用地買収がほぼ完了した中国電力が、工事を同町田浦地区で工事を始めようとしたのですが、漁業権を根拠に工事の中止を求める対岸の祝島(いわいしま)の住民、さらに全国から反対派の人が100人ほど集まっているようです。買収も終わり、住民の合意は成立しているのですが、祝島の合意がなくそれに他の人々が関与しているようです。
 
メディアは大きく報道しません。これを「謀略」とか、スポンサーの電力会社への配慮などという説が飛び交っています。それも多少はあるでしょう。ですが、それよりも他のニュースの多さ、さらに紛争にはかかわらないという保身の判断のためだと、かつてメディアで働いていた私は推察しています。
 
ツイートをみて思ったことが2つあります。それは原発問題は論点がごちゃごちゃになることです。私は住民の意思決定は住民がかかわるべき。ただし、エネルギーの需給体制の見直しとか、迫りくる化石燃料危機を前に原発の建設は必要であると消極的容認の立場です。ただしその容認は、国民が議論を尽してという前提条件がつきます。
 私は住民の意思決定と、政策の話は切り分けるべきと主張しました。新エネの話、漁業権の話などを主張する人がいて、話が混乱し始めました。そこに一カ月先にはいない外部の人が関係しては状況が混乱するだけではないかという意見に耳を傾けないのです。人々の善意は尊重しますが、それを建設的な議論に結び付けられないのです。
 
第2に原発をめぐる誤解が多すぎます。誰が書いたか分からない原発で作業員が被ばくしてガンになるなどの怪文書が飛び交い、広島のカキが汚染され食べられなくなるなど風説を流布する人もいました。
驚いたのが現地を中国電力の土地を占拠している活動家のブログでした。
「日本の原発は、たくさん放射能が漏れています。ごまかして隠してますが、原発地帯の子供達は奇形児や白血病が多いのです。みなさんの子どもが、原発地域で育った女の子と結婚したいと言ったらどうしますか?年頃の女の子は、奇形児を産む可能性が高いから結婚できないのです。大人は、みんな癌で死んでいきます。空も、海も放射能まみれです」
はっきりいって「狂気」の感じられる発言をしていたことです。
人権を唱える人が一番人権から遠いことに驚き、嫌悪感を抱きましたhttp://twitpic.com/44dw4m http://yuiwa.com/pg127.htm 
 
私は著作などで、エネルギー政策の合意の積み重ねを訴えてきました。
(「温暖化の解決策は原発」か?【その1】〜社会に与えた傷は何か
http://wiredvision.jp/blog/ishii/200804/200804241100.html
「温暖化の解決策は原発」か?【その2】〜作られなかった合意形成の場
 
こうした反対論をみると、合意の形成はとても難しいことが分かります。ですが、それでも、少しずつ重ねていくしかないのでしょう。
 
今、社会に上関原発の状況は広がっていません。しかし、危惧するのは上関原発が「象徴」になることです。この原発は住民が決定し、原子力政策は政治の場で語るべきです。
外部の政治勢力が介入し、事態が紛糾したらどうなるのでしょうか。これまで、空港、ダム、安全保障と基地問題で、そうしたことが」繰り返し起こってきました。
そうすると、現地の合意形成は遅れます。化石エネルギー危機前の需給再編も遅れます。電力会社の体力が落ちれば自然エネの普及も遅れます。
こうした悪影響が、この場から始まることは不幸です。当たり前の結論ですが、波風立たず、沈静化することを希望します。
 
 
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私は電力中央研究所の上席研究員の杉山大志さん、主任研究員の「気分のエコでは救われない!データで考える地球温暖化」(日刊工業新聞)という本を出版します。2月25日に出版されます。もしよろしければご一読賜れば幸いです。
 
書いた動機は、地球温暖化問題についての正確な情報を知り、温暖化問題を考える議論の一助にしていただきたいと考えるためです。エネルギー政策での市民合意の必要性についても指摘しています
 

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ヨーロッパは環境政策の理想の地なのか〜温暖化、脱原発、自然エネ普及では本当か?

 
「出羽守(デハノカミ)」という言葉が、私の働くメディア業界にあります。時代劇で使うのではありません。「○○『では』こうだ。それなのに××はダメだ」と話す人のことです。日常的に用いられる論法ですが、嫌味になったり、軽薄に聞こえたりする場合に批判的に使われます。
環境政策では「デハノカミ」が、散見されるようになりました。「EU(ヨーロッパ連合)では温暖化対策が進んでいるのに遅れた日本はダメだ」と述べる人が増えているのです。正しいのでしょうか。
 
欧州諸国では1990年代から温暖化を止めるために、さまざまな制度が導入されます。産業界の排出総量規制、排出権取引、環境税、太陽光と風力発電の導入支援策です。のちほど検証しますが、これらの政策によって、CO2が減ったわけではありません。
IEAの統計によれば1971年を1とした場合にCO2発生量は、ドイツは2000年以降、0・85前後で横ばい、イギリスも同じ、日本も同程度、フランスは0・9前後です。英独が減ったのは1980年代です。ヨーロッパで伝統的に使われた石炭から、天然ガスに転換したためです。
 
ドイツは「環境先進国」と言われます。1998年に環境保護に熱心な社会民主党、そして緑の党が連立を組み、政権与党になりました。それらが環境規制を推進し1990年代から、目新しい政策を次々に導入しました。日本でも「ドイツに学べ」などと唱える政治家や環境保護活動家がいます。しかし、一連の政策が国全体の温室効果ガス、エネルギー使用量を減らしている明確な証拠はありません。
 
ドイツは今でも石炭は重要なエネルギー源です。石炭を原料にした発電の総発電量に占める割合は47%と日本の27%を大きく上回っています。
また1990年の東西ドイツの統一がありました。旧東ドイツでは産業でのエネルギー効率が大変悪かったのです。それが設備更新されることで、CO2が減少しました。こうした特殊要因が、ドイツが1990年代にCO2の排出が一時的に減った理由なのです。そして減少幅は近年止まっています。
 イギリスでもCO2排出量は1990年代に減少しました。この背景には発電のエネルギー源が石炭から天然ガスへ転換したことがあります。それでも発電で石炭の占める割合は37%(06年)を占めます。また産業構造が変化して、イギリスでは製造業の海外移転が起こりました。
フランスは石油危機以降に原子力発電にエネルギー源を転換しました。原発は発電に際してCO2を出しません。ですがこうしたエネルギー源の転換の一巡した1990年代以降、CO2の排出量は横ばいです。
 スウェーデンは2000年以降も減少するヨーロッパ唯一の国です。原子力発電の発電量を増やし、豊富な水を使った水力発電にエネルギー源を転換しました。ただし、この国は人口500万人の小国で、政策効果が出やすいという特殊な事情があります。
 デンマークも風力発電の積極的な導入策が世界に伝えられています。ですがCO2の排出量は、乱高下して減り続けてはいません。
 ヨーロッパでは石炭からのエネルギーシフトなどの特殊な事情から、ガスの排出量が減りました。それらの国の例から「政策によって温室効果ガスは削減できる」という事実は導けないのです。
 脱原発が進んでいるという話が言われます。ですが、ヨーロッパは今、送配電網の接続が進められています。イタリアは現在15%以上の電気を原発で発電単価の安いフランスから購入。ドイツでも、西部州では5〜10%のフランス産電気を使用するところもあるようです。(現在、詳細を調べています)08年夏、自然エネルギーブームで火力発電所の設備投資が遅れたイギリスでは、電力不足の懸念が生じ、フランスから緊急の電力購入をしたそうです。
 
こうした状況をみると、ヨーロッパが理想の地ではなく、悩みを抱えながら政策を運営していることが分かります。そして日本は統計でみて、エネルギー消費はヨーロッパ各国と同程度、もしくはそれ以下なのです。
他国を賛美する必要はありません。温暖化・環境・エネルギー政策で必要なのは、日本の国情にあった対策を積み重ね、温室効果ガスの排出がより少ない社会を作ることです。効果のある政策や取り組みが他国で行われているならば、それを参考にすればいいだけの話です。そして「日本『では』こうだ」と、世界に誇れ、未来をよい方向に変える温暖化対策を増やしたいものです。
 
***
 
私は電力中央研究所の上席研究員の杉山大志さん、主任研究員の「気分のエコでは救われない!データで考える地球温暖化」(日刊工業新聞)という本を出版します。2月25日に出版されます。もしよろしければご一読賜れば幸いです。以下に掲げるのは冒頭の部分の紹介です。書いた動機は、地球温暖化問題についての正確な情報を知り、温暖化問題を考える議論の一助にしていただきたいと考えるためです。
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