たいむかぷせる。

  「空の境界the Garden of sinners」
・5/矛盾螺旋 Paradox Paradigm.(完)

Prologue【矛盾螺旋 Paradox Paradigm.】

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幼いころ、その小さな金属片が自分の宝物だった。
いびつで、小さくて、ただ機能美しかもたない。
銀色の鉄は冷たくて、つよく握ると痛かったのを覚えている。
かちゃり、と一日の始まりに半分まわす。
かちゃり、と一日の終わりに半分まわす。
幼い自分はその音を聞くたびに誇らしい気持ちになった。
なのに、その音を聞くたびに泣きそうになる自分がいた。
かちゃり、かちゃり。始まりに一回、終わりに一回。
一日はきちんと円を作って、それを毎日繰り返した。
まわるまわる、飽きもせず懲りもせず。
喜びも悲しみも半分ずつ。くるくると変わらない日々は、床屋の看板みたいだ。
けれど、つきる事のない螺旋の日々は唐突に終わってしまった。
銀色の鉄はただ冷たいだけで。―――嬉しくもない。
強く握ると血がにじんだ。―――――悲しくもない。
あたりまえだ。鉄は鉄にすぎない。そこに幻想はない。
現実を知った八歳の時、鉄は以前のように眩しい存在ではなくなった。
その時に悟った。大人になるという事は、幻想を賢さと取りかえる事なんだ、と。
早熟と思う愚かさゆえに、俺は、その事実を誇らしげに受け入れたのだ。

/矛盾螺旋




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