その日、帰り道に大通りを選んだ。
自分にしては珍しい、ほんの気紛れである。
見飽きたビル街を呆と歩いていると、ほどなくして人が落ちてきた。
あまり聞く機会のない、ぐしゃりという音。
人がビルから墜ちて死んだのは明白だった。
アスファルトには朱色が流れていく。
原形を留めているのは長い黒髪と。
細く、白を連想させる脆い手足。
そして貌の亡い、潰れた顔。
その一連の映像は、古びた頁に挟まれ、書に取り込まれて平面となった押し花を幻想させた。
―――おそらくは。
首だけを胎児のように曲げた亡骸が、私には折れた百合に見えたからだろう。
/俯瞰風景
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