Theodore Dubois - Traite de contrepoint et de fugue
テオドール・デュボワ - 対位法とフーガの論文
p.89
第3部
二重、三重、四重対位法
これらの対位法の特徴は構成声部が転回可能であることだ。つまり
1・2・3・4声と使われる声部数に対して、和声の不正なしに、声部それぞれが交換できる。
三重・四重対位法のいくつかの類では、この原則の厳しさは絶対的ではない。
これは後の適切なときに述べられる。
これら異なる対位法は以下の類に分解される:
1. 8度の二重対位法
2. 9度
3. 10度
4. 11度
5. 12度
6. 13度
7. 14度
8. 15度
09. 8度の三重・四重対位法
10. 10度
11. 12度
それぞれの類について特別なルールが与えられるが、一般的規則を次に示す。
二重・三重・四重対位法のそれぞれのパートは、音価や旋律の形によって、
聞いてそれぞれを容易に認識できるように、できるだけそれぞれ差別化されていなくてはならない。
様式は華麗対位法。その最後の対位法でやったように、声部は順次に導入されるべきだ。
交叉は多大な節度をもち、理由がある場合にのみ実施されるべきだ。
なぜなら転回しても音程やそれぞれの声部配置が何ら変化しないからだ。
8度以外の対位法では、転回の際音程の変更が必要になることがある。
この対位法のある類では、最善ではないが、弱拍での不協和音の使用を避けることができない。
ダイアトニックな進行がここまでもっぱら使われてきたが、
これからの学習においてもそれは常に断然望ましく、それは様式に厳格さと気高さを与える。
しかし、控え目であれば半音階進行を使うことができるし、
それはフーガにおいてはより頻繁に使うようになるだろう。今は過渡期である。
半音階種を使うなら、もしくは掛留があるなら、減5度とその転回である増4度は
予備なしで、順次進行によって、次に示されるように使ってよろしい。
転回
生徒が転回で得られる音程をすぐさま実現できるように、また正しくないものを簡単に避けられるように、
それぞれの類に対して数の並びが示される。
これらの対位法の大半は耳をほとんど満足させない。これは避けるのが望ましい。
8度・10度・12度のものが唯一とても優れており、ほぼこれだけが一般的である。
しかし、実施の作法を持って私は別のことを示そう。
芸術の技術を構成するそれらを生徒がどれも無視しないように。
これらの対位法の実施は定旋律(全音部であろうと他の音価であろうと)で作ることができるかもしれない。
しかし、対位法を乗せられるようなテーマを生徒自身が作るのが望ましいと思われる。
特別な定旋律を与えることはしない。
転回ではなく単なる移高での組み合わせを示す作曲家もいるが、
我々は、真の興趣を全く示さないこれらの組み合わせについて重きを置かない。
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二重対位法
8度の二重対位法
1. この対位法は8度より広くは開離しない2声部から成る。
2声のうち1つがテーマで、その上に対位法が作られる。
上声は下声にもなれなければいけないし、逆もそうである。これこそが二重対位法の性質であり、
その本質は声部の転回にある。
2. 転回でどのような音程が使えるのか知るために、1から8の数列を2つ記す。
これは転回すると音程がどうなるかを表わしている。
8度とユニゾンは、貧弱さを避けるために、使用を控え目にすべきだ。
しかし始めと終わり、もしくは移勢の形になる場合にはそれらを使用してよろしい。
始め 終わり 移勢
転回
後の2つの例はまた、2度・7度の予備・解決の使用を示している。
5度は転回で4度になるので、不協和音が予備・解決されるかもしくは経過音・刺繍音でない限り、
使用できない。
この注意は4度にも同様。
不協和音 経過音
転回
もし8度を超えたり交叉(これについてはすでに述べた)が起こるなら、
転回しても音程が変化しない。
達成しなくてはならない真の目的は、転回が新たな側面をもたらすということであるから、
このような配置は避けなくてはならない。
8度を超えている 交叉
転回
8度の二重対位法の例
対位
テーマ
転回
p.91