リーダーは健全な感情のゾーンを持て—コリン・パウエルの「13ヶ条のルール」

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2013/01/20


献本いただいた一冊。これ読み応えあり、内容ありの良著ですね。面白かった部分を切り出してご共有。


1. なにごとも思うほどには悪くない。翌朝には状況が改善しているはずだ。

私は、状況がどれほど厳しいときも自身を失わず、楽観的な姿勢を保つよう心がけてきた。何かに感染しても、一晩ゆっくり休めば8時間後にはその影響が和らぐことが多い。

夜、自分は勝利に向かって歩んでいると思いながら職場をあとにすると、自分以外にもよい影響を与えられる。部下にもその姿勢が伝わり、どのような問題でも解決できると信じさせることができるのだ。


2. まず怒れ。その上で怒りを乗り越えろ。

ある日私は電話でほかの士官とどなりあいをした。それを見ていた上司のウィリアム・ルイゼル大尉からこう言われたのだ——「いまのようなことを二度とするんじゃない。私の前でもほかの誰かの前でも、だ。」

(中略)以来、怒ったら、さっさと怒りを乗り越え、自制心を失わないように心がけている。必ずとまで言えないが、だいたいにおいてうまくできていると思う。


3. 自分の人格と意見を混同してはならない。

議論に負けたほうは見るからにうちひしがれてしまい、会議室は微妙な雰囲気に包まれた。そのとき、議論に勝ったほうの弁護士がこう言ったのだ。「人格と意見を混同しないようにすべきでしょう。さもないと、意見が却下されたとき自分も地に落ちてしまいますから」。

要するに、自分の立論に問題があったと認めても、それが人格に問題があったことを意味しないようにしろということだ。


4. やればできる。

これも心構えを示すものであって現実を示しているわけではない。やってもできないかもしれないが、それでも、できると信じてやりはじめ、無理だという事実や分析が積み上がるまでやることが大事なのだ。何をする場合でも、前向きな姿勢で熱心におこなうこと。できない理由ばかりを探してはならない。


5. 選択には細心の注意を払え。思わぬ結果になることもあるので注意すべし。

これはしごく常識的な話だろう。あわてて物事を決めないこと。(中略)いったん選んだら、その結果は自分で引き受けなければならない。選択をまちがえた場合、あとから訂正できることもあるが、訂正できないこともある。


6. 優れた決断を問題で曇らせてはならない。

私は、難しい判断を迫られると必ず、状況の評価から入る。状況はどうなっているのか、どのような任務なのか、ほかにどのような方策がありうるのか、各方策はどう違うのか、成功の可能性が高いのはどの方策かなどだ。これが軍における標準的な手続きだからだ。その上で、事実に基づく直感を信じて決断し、まちがいなく実行する。


7. 他人の道を選ぶことはできない。他人に自分の道を選ばせてもいけない。

軍隊では、「自分の隊がしたこともしなかったことも、また、自分がしたこともしなかったことも、すべてに責任を負え」と教えられる。最終責任を自分が負わなければならないのだから、周囲の圧力や望みに流されるのではなく、自分の判断で選択しろ、と。(中略)

(大統領選に出馬しないという)決断の決め手は、朝、目が覚めたとき「大統領になりたい」と思ったこともないし、大統領選を戦い抜くのに必要となる燃えるような想いを感じたこともないという気づきだった。私は政治家ではない。それは私ではない。直感がそう告げ、ああそうだったと気づいたとき、選ぶべき選択肢はおのずと決まったのだ。


8. 小さなことをチェックすべし。

最終的な成否を左右するのは、たくさんの小さなことだ。リーダーは小さなことまで感じ取らなければならない。小さなことが起きる組織の最深部がどうなっているのかまで感じられなければならない。出世すればするほど、虚飾とスタッフに囲まれてほかが見えなくなる。現場でなにが起きているのか、確認する必要性が高まるのだ。


9. 功績は分けあう。

なにかうまくいったとき、その功績は、組織の底辺にいたるまで全体のものとしなければならない。自分がいたからうまくいったのだと、関係者全員が思うようにするのだ。実際、そのとおりなのだから。

表彰する、お祝いの電話をかける、メモを送る、背中をたたく、にっこり笑いかける、昇格させるなど、さまざまな方法で皆に功績を実感させよう。人はパンと水のみで生きるわけではない。食べ物と同じ暗い、他人の役に立っているという実感や他人からの承認が必要なのだ。

(中略)功績は皆で分け合い、非難はひとりで背負う。そして、おかしくなった理由を探し、そっと直す。「自分の行為の原因を自分以外に求めたとき、それは理由ではなく言い訳になる」——深刻な問題を抱えた子どもたちの学校を運営している心理療法士の言葉だ。


10. 冷静であれ、親切であれ。

冷静沈着であれば秩序が維持される。可能性をきちんと全部検討することができる。秩序が乱れることがあっても立て直しがきく。さらには、どなりあいをせずにすむ。

(中略)リーダーは、健全な感情のゾーンを持つように努力すべきだと私は考えている。そのゾーン内では、ちょっといらいらしたり、ちょっと怒ったり、ちょっと好きになったりすることができる。

(中略)軍であれ企業であれ、「戦いの熱気」に包まれている場所では、冷静さと同じように親切心も部下の安心と信頼につながる。親切心は、尊敬し合うというかたちで自分と他人をつないでくれる。部下のことを考え、親切な態度で彼らに接すれば、部下もリーダーのことを考えて動いてくれる。


11. ビジョンを持て。一歩先を要求しろ。

部下は、リーダーが自分たちをどのような目的でどこへ連れてゆこうとしているのかを知る必要がある。組織が実現しようとしているものを表す言葉としては、ミッション、目標、戦略、ビジョンなどがよく使われる。いずれも有用ですばらしい言葉だが、私は、別の言葉を使ったほうがいいと思っている。「目的」だ。「目的意識」「目的は?」「目的にかなう」など、とてもよく使われている言葉だからだ。

(中略)リーダーは、一人ひとりの部下に自分と同じ目的意識を持たせる必要がある。目的はトップのリーダーを起点に、ダイナミックで情熱的なリーダーシップによって人から人へと広がり、組織全体に浸透していく。こうして、リーダーの相対的な目的とつながりがあるかたちで、部下たちは組織の一員としても目的を持つことになる。


12. 恐怖にかられるな。悲観論に耳を傾けるな。

恐れに対する準備を整え、直面したら恐れをコントロールしよう。恐れにコントロールされてはならない。恐れにコントロールされる人物にリーダーの資格はない。

(中略)我々は、一人ひとり、抜け目のない現実主義者になる努力をしなければならない。そうしなければ、実現不可能な夢を追って時間とエネルギーを浪費してしまうからだ。反対ばかりする人は、別の意味で実現不可能な夢を追っていると言える。彼らは恐れ、皮肉な見方をしているだけで、何かを前に進めることがないからだ。

悲観論者は進歩を殺す。皮肉から生まれた帝国やすばらしい都市、パワフルな企業など、いったいいくつあるだろうか。


13. 楽観的でありつづければ力が倍増する。

常に楽観的であること、自分を信じること、自分の目的を信じること、自分が勝つと信じること、情熱と信頼を示すことも倍力装置である。部下を信じ、準備を整えさせておけば、部下はリーダーを信じてくれる。


「自分がいたからうまくいったのだと、関係者全員が思うようにするのだ。」「リーダーは、健全な感情のゾーンを持つように努力すべきだと私は考えている」あたりは、なるほど!と思わされるルールですね。

ここまでたっぷり引用しても、まだ第一章部分のみ。全体の20%ほどです。かなりボリューミーなのでコストパフォーマンスが良い一冊ですね。他にも素敵な箇所があったのでメモがてらご共有させていただきます。



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