アルジェリア人質事件は、拘束された日本人を含む外国人の状況がわからず、安倍晋三首相は20日未明「厳しい情報に接した」と述べた。日本政府は人質の安否確認に向け、米欧諸国とさらに連携を強めてほしい。
訪米中の岸田文雄外相はクリントン国務長官との会談で、日米が緊密に連携して、事件に対応していくことを確認した。首相が2月後半に訪米する日程も決まった。
事件では米国や英国、フランスなど、様々な国々の出身者も人質にとられた。日本政府は各国と協力し、状況を把握しようとしているが、情報はなお錯綜(さくそう)している。
都市部から遠く離れた砂漠地帯で起きた事件であることから、日本が自力で対策を練ろうとしても限界がある。米英なども十分な情報を持ち合わせていないようだ。
だとすれば、もっと速やかな情報の提供と人質の安全確保への協力を、アルジェリア政府から引き出さなければならない。日本は各国と組み、アルジェリアへの働きかけをさらに続けてほしい。
とりわけ大切なのは、同盟国である米国との協力だ。岸田外相はクリントン長官との会談に先立ち、今回の事件について、米側から特別に機密情報の提供を受けたという。こうした協力は同盟国ならではのことだ。
クリントン長官は岸田外相との共同記者会見で、18日朝にアルジェリアのセラル首相に電話し、人命を守るため、慎重に対応するよう求めたことも明らかにした。
会談では、尖閣諸島の情勢も話し合われた。中国が尖閣の領海や領空への接近をくり返していることについて、クリントン長官は「日本の施政権を一方的に害するいかなる行為にも反対する」と警告し、従来よりも踏み込んだ。
中国が挑発を強め、仮に日本の施政権が揺らいだとしても、尖閣が日米安保条約の適用対象であることは変わらないとの立場をにじませたものだ。日本防衛への決意を示す発言として、評価したい。
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