中国の国家統計局は、2012年の国内総生産(GDP)が物価の動きを考慮した実質で前年に比べ7.8%増えたと発表した。成長率が8%を割り込んだのは、アジア通貨危機の影響が色濃かった1999年以来、13年ぶりだ。
足元では景気が回復する兆しも見える。12年10~12月期の成長率は8四半期ぶりに、前の四半期に比べ上昇した。ただ、2ケタ成長が当たり前だった2000年から07年までのような勢いは、もはや期待できないようだ。
一つには、労働人口(15歳以上60歳未満)がついに減り始めたことがある。12年1年間で345万人減った。馬建堂・統計局長は2年ほど前、労働人口が13年までに減少に転じるとの見通しを示していた。想定の範囲内とはいえ、比較的早く転機が来たといえる。
中国経済の高成長を引っ張ってきた最大の原動力の一つは、豊富で比較的低賃金の労働力だった。馬局長によれば労働人口の減少は「少なくとも30年ごろまで」は続く見通し。いわば最強の成長エンジンが、当分の間は弱まり続けるとみなければならない。
高成長を引っ張ってきたもう一つの重要なエンジンである投資にしても、過度の期待はできない。過剰設備の問題が深刻なうえ、国民の反発が強い不動産バブルの再燃を招くおそれがあるからだ。
中国経済は新たな成長エンジンを必要としている。すでに共産党政権は技術革新や新産業の育成といった方針を打ち出し、なかでも個人消費の拡大を重視している。そして個人消費の振興には、成長の果実が低所得層にも行き渡るような改革が欠かせまい。
馬局長はGDPの発表にあわせて、中国の貧富の格差がかなり深刻なことを裏付けるデータも明らかにした。格差を是正して、高まる一方の社会的な緊張を和らげるためにも、低所得層の収入を増やす必要がある。
胡錦濤国家主席が率いていた前指導部はかねて、賃金制度や税制など包括的に所得分配のあり方を見直す改革案を検討してきた。遅くとも12年中には改革案を発表したい意向とも伝えられていた。
しかし、具体的な成果を出せないまま、前指導部は昨年11月の共産党大会で第一線を退き、新年を迎えた。習近平・共産党総書記が率いる新指導部は、前指導部から持ち越された「宿題」に断固として取り組まなければならない。
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