ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
1章 4月
1-10 始まったばかりの春
-その日の夜・・・-
私たちは夕食を取りながら雑談に花を咲かせている
内容はもっぱら他愛もない話なのだが、突然今日の体育へと話が向いた

「そう言えば亜希先輩、体育のバスケで大活躍したそうですねー
私達のクラスではその話で持ちきりでした
私も見たかったです♪」

零夢が天を仰ぎ、うっとりとしている
というか普通の体育の授業が一年の方にまで届いているのか・・・

「あ、その話しなら二年の方にも来てましたよ
転入生の茶髪の先輩がダンクシュートを決めたっ!て、それはもうかなりの賑わいでした
そうか、茶髪の転入生ってよく考えれば亜希先輩のことだったんですね」

零夢の話を聞きみゆきちゃんも割って入ってくる
というか二年のほうも行き渡っているのか・・・
と言うことは全校中に話が行き渡ってしまっているのだろう
なんか恥ずかしい・・・

「え?もうその話が下級生の間に広がってるの?
全くそういう事だけは電光石火だね、この学園は・・・

レナはそう言うとやれやれといった感じでため息をついていた
確かに・・・
体育があったのは4時間目
話が広まったとすれば昼休みだろう
たったそれだけの間に広まったのだろうか?
うーん、女の子の情報伝達力はまるでハリケーン並だな・・・

「え・・・?みゆき先輩、ダンクシュートなのですか・・・?
私がクラスで聞いた話では亜希先輩がボールを持った瞬間ゴールに投げ入れたと聞いたのですけれど」

「えっ!?風香ちゃんのところではそうなのっ!?
私のクラスではスラムダンクを決めたてゴールが壊れそうになったて聞いたよっ!?」

私がそんなことを思っていると風香ちゃんと零夢が割って入っていた
ていうか、話がすごいことにっ!?
・・・どうやら話に背びれ尾びれがついて大きくなってしまっているようだ

「感じ的にはみゆきのが近いかな
でも、零夢ちゃんや風香ちゃんのもそう外れてはいないよ」

「そうだね、でもあの時は本当にすごかったよ
ボールを持った瞬間亜希ちゃんがゴールを目掛けて一直線に進んでいったんだけど
誰も止められなくてね
あの時の動きは本当にすごかったよ、シュンシュン抜いていくんだもん」

「それでどうにか私が亜希さんの前を塞いだと思ったらいきなりシュートを狙ってくるし
まさかあそこで狙ってくるとは思わなかったよ
てっきり右か左に抜けてもう少しゴールに近づくと思ってたんだけど、完全に裏を書かれた感じだった」

「そうそう、でも結局入らずにバックボードとゴールの間に当って上に弾かれたんだよね
だけどいつの間にか亜希ちゃんが走りだしてジャンプしたかと思ったら落下中のボールを掴んでそのままダンクシュートを決めちゃったんだよ
あれにはホント驚いたよ」

かなたさんとレナがその時の様子を3人に説明している
というか傍から見るとそんな感じだったのか・・・

「で、でもかなたさんやレナもかなり凄かったじゃない、
特にかなたさんなんかその後すぐにダンクシュート決めてたし、レナのスピードには誰もついていけなかったよ」

「いえ、そんな事はないよ
私がやっても亜希さんの二番煎じみたいな感じだったし」

「そうだよ、そのボクのスピードに難なく付いて行ってボールを取ったのは誰だよ?」

「あう・・・」

私は二人にまくし立てられ、ぐうの音もでなくなってしまった
どうやら話題の対象は私から変わらないらしい
というか元男である私の筋力が思ったよりも落ちていなかっただけの話で
要は女の子の中で男がプレイしていたようなものだ
あまり褒められたものではないんだけど・・・

「へぇ~、そんなに凄かったんですか、
じゃあ、バスケ部の人がいたらすぐにスカウトに来ちゃいますね♪」

みゆきちゃんが笑いながらそんな事を言っていた

「あのね、みゆき、実はもう私達にスカウト来たんだよ・・・
私達のクラスに水無瀬 紗由理さんって言う人がいてね、その人バスケ部のキャプテンだったんだ・・・
それでしつこく勧誘されてね・・・」

「ああ、それ覚えてる・・・断ってもしつこく迫ってくるんだもん・・・
こんな大型新人逃す手はないーって嬉々としながら・・」

かなたさんとレナはあの時の紗由理さんのことを思い出しているようだ
たしかにあれはしつこかった・・・

「私達三年生だからって言ったんだけど、全然勧誘の手を緩めなかったもんね・・・
放課後はさっと逃げれたのは良かったけど・・・
もし捕まってたらきっとバスケ部に引っ張りだされていつの間にか入部させられていたよ、きっと・・・」

私もあの時のことを思い出すと苦笑しかでなかった
明日にはもう勧誘に来ない・・・よね?

「あはは、そうだったんですか」

みゆきちゃんは笑いながらそう言ってるが私達にとっては笑い事ではない

「みゆきちゃん、笑うなんて酷いよ、こっちは大変だったんだから」

「まあ、先輩方は有名税みたいなものだと思って諦めてください、あはは♪」

みゆきちゃんがそう言いながら笑うと、私達はぐうの音も出ないといった感じでテーブルに突っ伏した
そんな私達を見てみゆきちゃんたち下級生3人は笑っており、そんな笑い声に釣られてか、私達までいつの間にか笑っていた

最初はお嬢様学校なんて・・・と思ってたけど、今こうして見るとそれも悪くないような気がしてきた
少なくともこの寮に住んでいる人たちとこれからも仲良くやっていければ、と思っている自分が居る
これから先どの様なことが私を待っているのだろう・・・?
この先の期待や希望に胸を膨らませながら、私は窓の外を見てみると、夜の裏庭に桜の花びらが舞っている
春はまだ始まったばかりだ・・・


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。