アベノミクス:海外から批判…通貨安競争を助長
毎日新聞 2013年01月18日 23時11分(最終更新 01月19日 00時37分)
【ロンドン坂井隆之】大規模な金融緩和と財政政策を組み合わせる安倍晋三首相の政策「アベノミクス」が急速な円安を誘導しているとして、海外から不満の声が出始めた。日本側は「行き過ぎた円高の修正局面」との立場だが、自国通貨を弱め輸出産業を支援する「通貨安競争」との受け止めが広がれば、国際的批判が強まる恐れもある。
ドイツのショイブレ財務相は17日の議会演説で、安倍政権下での金融緩和が国際金融市場に過剰な通貨供給をもたらすとして、「非常に懸念している」と言及。同国では、安倍首相が日銀に公然と緩和圧力をかけていることへの批判的論調が目立っている。
さらにゼネラル・モーターズ(GM)など米自動車大手3社(ビッグスリー)で構成するロビー団体の米自動車政策会議のブラント会長は17日、安倍政権の通貨政策について「貿易相手国を犠牲にして自国の成長を図る『近隣窮乏化政策』で受け入れられない」と非難する声明を発表。対抗措置をオバマ米政権に要請した。
ウリュカエフ・ロシア中央銀行第1副総裁も16日のロイター通信の取材に、「世界各国が日本に追随し、分断の道に向かいつつある」と述べ、日本を批判。2月に予定される主要20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議で、日本への圧力が高まる可能性もありそうだ。