アルジェリア軍がイスラム武装勢力に拘束された日本人を含む人質の救出作戦に踏み切った。人質の一部は助け出されたものの激しい戦闘で死傷者が出たもようだ。日本人ではプラント建設会社、日揮の関係者7人の無事が確認されたが、10人の安否は不明という。
死傷者が出たとすれば残念だ。軍事作戦はまだ続いているという。アルジェリア政府や関係国と連携して情報を集め、残る日本人の安否を早急に確認してほしい。
今回の事件で許してはならないのは、日本や米国、英国など様々な国の出身者が働くプロジェクトを狙った卑劣な武装勢力だ。
ただ、アルジェリア軍はもう少し慎重に対処すべきだったのではないか。日本政府は人命第一での解決を求めてきた。安倍晋三首相はアルジェリアのセラル首相に直接、攻撃の中止を要請したが、すでに遅かった。
欧米諸国も攻撃が事前に知らされなかったことへの不満を示した。不便な砂漠地帯で起きた事件とはいえ、事件発生以来、現地の状況は断片的にしか伝わらず、情報が錯綜(さくそう)した。アルジェリア政府は関係国と緊密に情報を交換し、人質の安全を優先する方策を探るべきだった。
一方、重要なのはテロの根絶である。国際社会の結束が必要だ。アルジェリアでは1990年代、イスラム勢力のテロで10万人以上が犠牲になった。その教訓から、同国政府は事件当初から「テロリストとは交渉しない」と武力解決を示唆してきた。テロとの戦いの非情な現実から日本だけが例外ではいられない。
人質事件は日本政府や企業に、海外でのリスク管理の重要性を改めて突きつけた。
アフリカでは資源をめぐる国際競争が激しさを増している。日本企業は事件の再発を防ぐために、テロや争乱に備えた情報収集体制や、非常時の行動を定めた安全対策を再度点検する必要がある。
国際協力銀行の最新の海外事業展開調査によると、2011年度31%の製造業の海外生産比率は15年度には38%に高まる。なかでも新興国の重要性は一段と増す。
中国での反日暴動や、インドの日系自動車工場での従業員の暴動など、新興国事業には先進国とは異なるリスクがある。治安や労務などのリスクをどう最小化できるかが、新興国市場で勝ち抜くための条件となる。
セラル、安倍晋三、アルジェリア軍、日揮
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