海江田万里代表記者会見
2013年1月10日(金)15時20分~15時45分
(項目ごとに順序などを編集してあります。)
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
http://www.ustream.tv/recorded/28365224
http://www.youtube.com/watch?v=04qXfHaoKEs
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■冒頭発言 ■質疑***********************************************************
■冒頭発言
○民主党再生の年にあたって
【代表】
皆様、新年明けましておめでとうございます。一部の皆様とは4日の伊勢神宮参拝後の会見でお目にかかって新年のごあいさつを申し上げましたが、そこにお見えになっていない方もいらっしゃいます。
きょうはインターネットの中継もあるということでございますので、インターネットの中継でごらんいただいている皆様にも謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
おめでとうございます。(一礼)
さて、言うまでもありませんが、私は2013年、新しい年を民主党再生の年にしたいと思っております。今年の4月末には山口県で参議院の補欠選挙がございます。6月には東京都議会の選挙があります。そして7月には参議院の通常選挙がございます。
これらの選挙で1つずつ議席を獲得して、民主党の再生に道を開いていきたいと思っております。特に民主党の再生ということでは、さきの総選挙をはじめとしたこれまでの民主党の政権時代、3年3ヵ月の時代を総括する必要があります。この総括の中から、新しい2013年度の運動の方針、選挙にあたっての方針なども確立されてまいります。今、仮称でございますけれども、「党再生本部」をつくりまして、明日、この再生本部の役員会をスタートさせることになります。この役員会での積極的な議論を通じて、民主党の再生の第一歩にしたいと考えております。
どうぞ、今年もよろしくお願い申し上げます。
■質疑
○参院選に向けた野党間協力について
【共同通信・鳥成記者】
代表は野党間協力の必要性を大変強く訴えているが、「日本維新の会」「みんなの党」ともに、民主党との協力には現段階では否定的な考えを示している。これをどのように乗り越えていくおつもりか。
【代表】
野党の共闘関係、これはもちろん今お話のありました参院選での共闘もございますが、その前の段階で、今月末から始まります通常国会の中での共闘もあろうかと思いますので、その両方を含めて、せんだって私から細野幹事長に「まず野党の間で話し合いを十分してください。そういう幹事長の会談を持ってください」というお願いをいたしました。今、細野幹事長が野党の幹事長の方々とそうした会談を持つ努力をしている最中だと思いますので、私はそれを見守りたいと思っています。
「維新」や「みんな」の方がいろいろ発言したということは、マスコミを通じて私も存じ上げておりますが、これは直接聞いたわけではありませんので、全体の流れが、どういう発言があったのか、その中のおそらく一部分だと思いますが、どういうことを意味するのかということは今の段階では私ははっきりわかっておりません。ですから、正式な幹事長同士の会談を通じて、それぞれの政党のお考え方も聞かせていただきたいと思っております。
【時事通信・佐々木記者】
明日、「維新」の橋下さんと安倍総理が関西で会うと思うが、「維新」のこういった動きに関して、野党第1党の党首としてどういう見方をされているか。
【代表】
これは安倍さんがお決めになったことでありますので、私のほうからとやかくと申しますか、特にお二人の会談が行われてどういう話し合いが行われたかもまだ全くわかっていない今の段階で、あれこれコメントすることはできません。
【産経新聞・坂井記者】
野党共闘に関して1つのネックは、「維新」とか「みんなの党」は公務員制度改革などを掲げているので、労組依存体質の民主と組むのにはちょっと後ろ向きというのがある。ただ、参院選候補者の多くは労組をバックにしているので、ジレンマもある。労組依存の民主党の体質をどうやって乗り越えて、「維新」や「みんな」と連携していこうとお考えか。
【代表】
「労組依存の体質」と決めつけるのは少し控えていただきたいという思いがございます。私どもは今、実は綱領もバージョンアップをしたものにと議論している最中で、解散前にある程度のところまで議論がありまして、これからまさにその継続をして、綱領をしっかりしたものにしていくわけです。
私どもは、働く人たち、そして生活者の方々の立場に立とうということは基本的な考え方として持っております。労働組合の方々もその意味ではまさに働く方々であり、同時に生活者の立場であります。そういう方々の意見はしっかり聞いていこうという基本的な考え方がございます。そういう意味でいろいろな形で協力関係を持っているわけで、この協力関係は今後も続けていきたいと思っております。
○補正予算並びに日銀総裁人事への対応について
【NHK・羽田記者】
来週にも出される補正予算への対応方針と、日銀総裁の国会同意人事についての現時点での方針を伺いたい。
【代表】
まず補正予算でありますが、おそらく明日の閣議で「緊急経済対策」という形でその中見、大枠のところが決まるかと思います。
この補正予算の必要性は私も前にも申し上げました。昨年末、解散がありました。これは野田総理の決断で解散したわけですが、結果的に平成25年度予算の編成が大幅に遅れることになりましたので、平成25年度予算の成立も、これは国会の動きを見なければいけませんけれども、年度内・3月31日までには無理だろうということは自明の理であります。当然のことながら補正予算をつくらなければいけないことについては、私どももそういう認識を持っています。
問題はその中身であります。まさに明日閣議決定される「緊急経済対策」の中身、それから予算案として国会に提出される中身、それを見て態度を決めたいと思っております。
日銀総裁についても、いろんなことが報道を通じて伝わってきていますが、与党がどういう方をということはまだもちろん決めていない段階でありますから、まず与党がどういうお考えなのか、具体的にどういう方をイメージしておられるかを伺ってからだと思っております。
【朝日新聞・山下記者】
報道されている中身では、公共事業の比重が非常に高く、民主党政権でやってきた「コンクリートから人へ」という流れとはかなり色合いの異なったものになるのではないか。現時点で報道されている中身に対して、どういう印象を持っているか。
【代表】
まあ、いろんな報道がありますが、私はある程度の規模になるのはやむを得ないかなと。単に本予算の成立が遅れることだけではありませんで、今、日本の経済は大変厳しい状況にありますから、これを何とかして上向かせなければいけないということで、ある程度の規模になるのもやむを得ないかなと思っております。
ただ、その中身につきまして、今おっしゃった公共事業。一くくりに「公共事業」というお話ですが、本当に命にかかわってくる公共事業、例えば笹子トンネルの例、そのほか首都圏のインフラも老朽化しておりますから、安全性を維持するための手当てをするとか、そういうことは私どもは反対するつもりはありません。
ただ、「国土強靱化」に名を借りて、本当に必要なのかな、と思うような公共事業が入っていれば、当然そういうものにお金を使うべきではないという考え方であります。とうしてもその中身を見なければ、一概に悪いということは言えないと思います。
○日銀総裁人事について
【日本経済新聞・飯山記者】
国会での野党協力が必要な中で、「みんなの党」の渡辺さんや社民党の福島さんは、財務省OBの起用には否定的な考えを示されているが、これについてはどう思われるか。
また、代表ご自身としてどういう総裁像というか、資格を持った人がふさわしいとお考えか。
【代表】
今の段階で財務省のOBがいいとか悪いということはまだ全く、その1つの基準は決めておりませんので。ここは政調会長とも話をしなければいけないと思っています。それから 国会の人事でありますので、これは国対とも話をしなければいけないと思っております。
そのうえで、日本銀行、これまで私も経済財政担当の大臣もやっておりました。そのときにも日本銀行には幾つか注文をしまして、国債の会議での機構などもつくったわけであります。前原さんもその後、経済財政の担当大臣をやりまして、最終的には確認書のようなものもつくりました。
こうした考え方の背景の中には、日本銀行の独立性はもちろん大切なことであります。この独立性は守っていただかなければいけないわけでありますが、俗に言われていましたけれども、「自分の家の庭先だけをきれいにして、ほかのところはどうでもいい」ということではないんじゃないですか、ということを私も思っておりますので、そういう日本経済全体の成長に資する、日本経済全体の回復に資するような金融政策のかじ取りをやっていただきたい。その中で独立性も守っていただきたい。そういう方が日本銀行のリーダーになっていただきたいと思っております。
○鳩山元総理の訪中について
【フリーランス・安積記者】
15日から鳩山由紀夫元総理が訪中されるという報道がある。鳩山さんが昨年4月にイランに行かれたときの発言がイラン側に政治的に利用された経緯がある。日中間に尖閣問題などがあるこの時期に、鳩山さんが訪中されることについてどうお考えか。また、鳩山さんから何かご連絡はあったか。
【代表】
鳩山さんからそのお話は聞いておりません。
行かれるということは鳩山さんご本人の判断だろうと思います。特に尖閣の問題については私どもなりの主張がありますので、その主張をご理解いただいたうえで発言をお願いしたいと思っております。
【フリーランス・安積記者】
できれば行かないでほしい、というお考えはあるか。
【代表】
それは今考えておりませんが、今安積さんから15日に訪中されるという話でありますので、鳩山さんに私のほうから電話をかけてみようかなと、今思いました。
○選挙制度改革について
【共同通信・鳥成記者】
昨年秋の臨時国会終盤で、民主・自民・公明の3党で、選挙制度の抜本的な見直しも検討したうえで、定数削減について今年の通常国会中に結論を出すという合意を交わしている。民主党はそのとき、定数を40削減するという法案を出している。通常国会でもこの40削減の方針は堅持するのか、あるいは新たな案を出し直すのか。現段階でのお考えをお聞かせください。
【代表】
定数削減、選挙制度の改革は、私は、野田前総理と安倍現総理との間で交わされた大変大切な約束だと思っておりますので、これは安倍総理にもぜひ、おっしゃったことを守っていただきたいと思っています。
そのうえで、40人削減は法律案として提出しましたけれども、結果的には廃案になっておりますので、一応「40削減」はいったん廃案になったという事実を重く受け止めるということであります。
ご承知だろうと思いますけれども、昨年末の総選挙で私どもは、まず「0増5減」ですからマイナスの5、それからマニフェストではプラス75、トータルで80の削減をお約束したわけですから、そのことも念頭に置きながらどういう形になるのかを考えていかなければいけない。私は、その意味ではマイナス5、さらにマイナス75、この数字は非常に重たい数字だと思っております。
○軽減税率および所得税の最高税率について
【フジテレビ・羽山記者】
税率について今、与党の中で話し合っていると思うが、公明党の一部から軽減税率が主張されている。民主党は簡易な給付措置を訴えてきた。軽減税率についてはどうお考えか。
また、所得税の最高税率について、民主党としてはこれまで「5,000万円以上で45%」を提案されていた。3党で話し合う中でその案は変えずに訴えていくのか。
【代表】
軽減税率ですが、これは民主党の税制調査会の中でも随分議論いたしました。今、与党の中でその議論が行われているということでありますが、これはプラス・マイナスがあるということであります。私どもは最終的には、まず8%の段階では簡素な給付措置。ただ、「簡素な」という言い方をしますと、どうしても大変シャビーな(粗末な)給付になるのではないかというイメージもありますので、手続きは簡素だけれども、しっかりとした給付措置にしなければいけないかなと考えています。
この簡素な給付措置の中身は、実は食料品、これはいろいろなデータのとり方がありますけれども、本当に生活に必要な食料品は消費税の中でもおよそ20%になろうかなと思っているんです。これはもちろん所得の多い少ないによってその割合は随分違ってきますけれども。その20%なら20%ぐらいの食料にかかってくる消費税の上がった分の戻しというか、それは税金が戻るという形と、それから給付ですからまた別な財政措置というのは違いますけれども、わかりやすく言えば、最初は一回払っていただきますよと。一回払っていただきますけれども、ある程度所得の低い方、これは残念ながら納税者番号などがまだしっかり行き渡っていませんから、そこはある程度アバウトな線引きになろうかと思います。所得税を払っていない方、あるいは住民税を払っていない方とか、かなりアバウトな線引きになろうかと思いますが、そういういわゆる低所得の方々には、一回お店で払っていただきますけれども、おおよそそれに相当するぐらいの、特に消費税が上がった分に相当するぐらいの金額は、後からお戻しをしましょうという形で。10%になりますと、これは給付付き税額控除ということになりますけれども、これはカナダなどでやっています。一回とにかく払っていただく。けれども所得の低い方々には、小切手ですが、それでバックするという考え方がありますので、それに近い考え方で意見がまとまっていますから。
これが一番合理的なことは合理的なんです。特に食料品で、所得が本当に低くて、あるいは年金生活などで厳しい方々は、食料品の消費税が上がることによってかなりダメージを受けますので。だけど、所得が何億円もあるような方々は負担能力はあろうかと思います。全部を軽減税率にしてしまいますと、それで税収が抜け落ちますから。片一方で使い道は既に大枠決まっているわけですから、そうしたらその不足分をどうするのか、また消費税を上げるのかということになりますので。この方式が私はベストだと思っておりますので、そういうことを主張していきたいと思っております。
所得税は、おっしゃるとおりに「5,000万以上・45%」というのがこれまでの税調で決めた話でありますから。もちろん、民主党もあした税調の役員会で議論しますから、今私がお話ししたような方針で引き続き臨むのかどうなのかということは、あらためて合意を得ていただきたいと思いますが、そういうこれまでの議論の蓄積を大事にしていきたいと思っております。