生活保護基準に関連する他の制度は、他にも数多く存在する。地方税の減免、障害者向け公共サービスや介護保険の利用料の減免基準、社会福祉協議会による貸付制度の利用、公共住宅への優先入居や利用料の減免。子育て世代に対しては、保育園利用料の減免、就学援助、公立高校の学費減免。日本国民の何%が影響を受けるのだろう? 10%台後半にある日本の貧困率から見て、少なく見積もっても25%程度だろうか?
宇都宮氏はさらに、生活保護基準の引き下げがデフレを推進する可能性についても「基本的に誤った政策」と鋭く指摘した。生活保護基準引き下げは、間違いなく、国民の多くにとっては所得を引き下げる方向で影響する。国民の所得を引き上げないと、内需は拡大されず、従って、デフレを脱することは困難になる。これは、現在の安倍政権が推進しようとしているデフレ脱却政策と矛盾する。また、生活保護基準に関する「厚生労働大臣が基準部会の議論を受けて結論を出す」という現在の制度についても、「国会で決めるべきです」と異議を表明した。そして最後に「なんにしても、生活保護基準が引き下げられると、当事者は大きな影響を受けます。経済的にも全く誤った政策です。反対します」と締めくくった。
基準部会の傍聴者による傍聴報告につづいて、弁護士の木下徹氏と林治氏は、主に基準部会での統計的手法の取り扱いについて、疑義を表明した。
木下氏は、自立助長にきわめて効果的であった勤労控除が廃止されることについて、「この合理的な制度を廃止するとは、極めて間違っている」と主張した。
また、林氏は、年末に行われた困窮者向けの電話相談会の結果についても報告した。
記者会見で提供された資料には、相談内容として「夫婦2人で月6万円の年金で生活している。借家住まい。医療費もかかるので生活困難。生活保護を受けたいが、ニュースで取り上げられているのを見るとためらってしまう(70代女性)」「失業中。残金2万5000円。福祉事務所に相談したが『まだ若い。どんな仕事でもやってもらう』『家族に相談して』と高圧的に追い返された。不安感が一杯で生きているのがイヤ(30代男性)」など、切実さに言葉もなくなる文言の数々が見受けられた。基準部会での議論・統計的検討については、次回、改めてレポートする。
勇気を奮い起こして記者会見に臨んだ
生活保護当事者たちの現在の思いは?
この緊急記者会見では、4名の生活保護当事者・元当事者も発言した。
障害を持つ子ども2人を抱えたシングルマザーである女性は、民主党政権下で生活保護の「母子加算」が復活したことに対して、「おかげで子どもを修学旅行に行かせることができた」と語り、基準引き下げ方針に対して「子どもたちにデイサービスを利用させることができなくなります。弱者をいじめないでください」と語った。