ryoko174の混沌日記

体罰問題にみる橋下氏の危機管理能力の欠如

桜宮高の「体罰」問題を巡る橋下氏の対応からは、危機管理能力を感じることができません。

◆当事者意識の欠如

体罰問題が報じられた当初、橋下氏は教育関係者を「批判する側」に回っていました。しかし市長である橋下氏は「批判する側」ではなく「批判される側」です。

橋下市長「どんな学校なのか。最悪」　市教委と学校の対応に怒り

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130108/crm13010822560027-n1.htm

なぜなら橋下氏は大阪府知事・大阪市市長を歴任してきた責任者であり、さらに過去に体罰容認発言をしたことも報じられています。もし「体罰」を加えた教諭が「市長が体罰容認発言をしているから大丈夫だと思った」と供述したらどうするおつもりだったのでしょうか？

橋下市長、体罰を容認するともとれる発言をしていたが、「考え方を改めないといけない。反省している」と語った。

http://www.47news.jp/CN/201301/CN2013011201001564.html

初動において評論家のように「批判する側」に回っていた橋下氏からは当事者意識を感じることはできませんでした。

◆問題点追及の怠り

問題解決のためには問題点の特定が必須ですが、なぜか部活動の無期限停止という「連帯責任制」に基づく措置をとっており、そこに問題点追及の意思は見えません。

桜宮高バスケ部活動、無期限停止　体育科入試中止と橋下氏

http://www.47news.jp/CN/201301/CN2013011501001634.html

本来ならば、なぜ自殺が発生したのか原因を特定した上で必要な措置をとるべきです。他の部員に責任があるかどうかも分からない段階でこのような措置をとるべきではありません。

もしも体罰自殺が起きると部活動が無期限停止させられる「連帯責任制」が正となるならば、生徒はいじめや体罰などの「問題の表面化」を防ぐ隠蔽や予防措置を、有力な選択肢とみなすようになるリスクがあると思います。それは原因探しにも犯人探しにつながらないどころか、むしろ被害者の声を圧殺する危険性さえあるのではないでしょうか。

また、「脱体罰が必要」でも述べた通り、そもそも体罰という「物理的暴力」に問題点を矮小化することもスコープ設定の誤りだと思います。「教師自身が暴力を振るわなければOK」と捉えられないような問題解決を図らなければなりません。

問題点追及を怠り、責任の所在も分からない状態でのパフォーマンス的な措置は、問題解決どころか悪化さえ招きかねません。

◆副作用を無視した対処療法

問題の悪化さえ招きかねないパフォーマンスの典型は、桜宮高の入試中止措置です。

橋下市長「桜宮高体育科　入試中止を」

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20130116-OYO1T00186.htm

橋下市長“桜宮高の全教員の異動を”

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130116/k10014841401000.html

これらの措置は「桜宮高のバスケ部・バレー部」、「桜宮高」だけが問題を抱えており、それ以外の高校には問題がないという前提条件がなければとれないはずです。しかしその根拠は示されておらず、リスク測定は脇において問題が顕在化した高校だけをとりあえず狙い撃ちをするという対処療法に見えます。

そもそも問題箇所を「桜宮高のバスケ部・バレー部」や「桜宮高」に矮小化することもスコープ設定の誤りです。もし他の高校で同じ問題が起きたらどうするつもりなのでしょうか。

このように効果も疑わしい対処療法をとり、入試希望者を排除し人生を狂わせるという副作用を無視するのは、問題解決からは程遠い判断だと思います。

橋下氏には冷静な判断をして頂きたいです。

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