新年明けましておめでとうございます。1月1日付『朝日新聞』の「天声人語」はなかなか面白い内容でした。
「思えば暮れから新春への10日間ばかり、私たちは毎年、不思議な時空を通り抜ける。師走の25日まで、街はクリスマス一色に染まる。それが、あくる日からは、ものの見事に迎春モードに一変する▼ゆうべの除夜の鐘で百八煩悩を消し去って、きょうは神社で清々しく柏手を打つ。キリスト教に始まって仏教から神道へ。いつもの流れに身をゆだね、この国の年は暮れ、年は明ける(後略)」
私が若い頃は、1週間に3つの宗教を体験する日本人の宗教観にどうもしっくりいかないものを感じていましたが、国内に深刻な宗教間の対立がないのは、日本人の宗教に対する柔軟性のおかげであると考えるようになりました。グローバル社会を考えたときに、国民が宗教に対して寛容であるという姿勢はむしろプラスになるのではないかという気さえします。
国際社会を見渡したときに、例えばイスラエルとアラブ諸国の両方と、同じように関係を結ぶことができる国というのは、貴重な存在ではないでしょうか。新年の「天声人語」を読んでその思いを強くしました。
新しい年を迎え、思いを新たに「新年の誓い」をする人がいると思いますが、1月6日付『朝日新聞』“Globe”に、アメリカのデイリー・ネブラスカン紙(The Daily Nebraskan )の「新年の誓い」にまつわるコラムが紹介されていました。
「米国人の45%が『新年の誓い』を立て、絶対に守ってみせると自分に言い聞かせる。精神的な区切りをつけるという意味もある。その内容で上位にくるのは、①
体重を減らす ②整理整頓 ③消費を減らし貯蓄を増やす ④新しいスキルを身につける ⑤禁煙、などだ。(略)これだけ多くの米国人が挑戦する『新年の誓い』だが、目標達成できる人はわずか8%だそうだ。4分の1は1週間以上続けられないという。(略)」
このコラムを読んで、「新年の誓い」を立てるのは日本人だけではなく、アメリカ人もするのだという新たな発見がありました。それも45%の米国人が、です。あるアメリカ人が、私の送った年賀状の返事に「新年の誓い」のようなものを書いて送ってくれたことがあります。その時には「こういうことをして、きっとどうかしていると思われるかも知れないが・・・」と文頭に書いてあったので、一般的なアメリカ人は「新年の誓い」ということはやらないのだろうと思っていたのですが、そうでもないということが分かりました。
目標達成できる人はわずか8%というところも面白いと思いました。日本人の目標達成率はどのくらいなのか興味があるところです。これを読んでいる皆さんは今年はどんな New Year's resolutions をたてましたか。
ともあれ、「三日坊主」はどこの国にもいるようです。The Daily Nebraskan の実際のコラムを見つけましたので、一部を次に記しておきます。アンダーラインのところがアメリカ版「三日坊主」のくだりです。
It’s Dec. 31, and as the clock strikes midnight, people across the world shout in celebration for the year to come. As confetti rains down and noisemakers ring out, the joy among strangers and friends alike is palpable.
Once we’ve had the time to reflect on the past 365 days, each individual is faced with the decision to make resolution or not. One will make the conscious choice to either change behaviors and habits or to continue traversing current paths. But we make resolutions, what prevents us from sticking to them?
According to a study done by Statistic Brain, the list of top 10 most popular New Year’s resolutions from 2012 included things such as weight loss, organization, spending less/saving more, learning a new skill and quitting smoking. While 45 percent of Americans actively make resolutions, only 8 percent are successful in achieving their resolutions, while a resounding 24 percent fail on their resolutions each year. When considering these numbers it’s difficult to ignore that nearly one in four people find it impossible to keep a promise they’ve made.(後略)
ちなみに、The Daily Nebraskan is the University of Nebraska-Lincoln's only independent student newspaper.ということで、“Globe”でも「学生の文章にしては力強く、質も高い」と褒めています。今月の校長室の春夏秋冬は、このコラムのタイトルを使わせてもらいました。皆さんならどう訳しますか。
11月の終わりにサウジアラビア大使館から、佐川信子先生の「第4回アラビア書道展」のお誘いがありました。体験学習を兼ねて生徒を連れて行くことを快諾していただき、12月22日、生徒と共にサウジアラビア大使館の門をくぐりました。
大使館からいただいた解説によれば、「アラビア書道とは、アラビア文字を専用のペンを使って美しく書く技芸です。イスラームの聖典クルアーン(コーラン)を書写する作業を通して生まれました。クルアーンの章句は神の言葉そのもの、神様から人間に下された尊い教えです。聖なる章句をより美しく書くことに精進を続けた写本家たちは、種々の書体を編み出しました。とりわけ優れた書体は、現代にいたるまで千数百年にわたり師から弟子へと伝えられています。」
大使館に一歩入れば、そこはもう外国です。入り口では、空港と同じようにX線の手荷物検査をうけ、携帯電話を預けての見学となりました。
生徒達は、アラビア書道を鑑賞するだけでなく、約30分にわたり、佐川先生から直接アラビア書道の手ほどきを受けました。竹製のペンと墨を使って、実際にアラビア文字を書きました。アラビア語を知らないはずの生徒たちですが、センスの良さが光りました。アラビア書道の体験学習の後は、アラブの民族衣装を着て記念写真を撮りました。今月の写真はその時のものです。写真のバックは大使館の中で組み立てられた本物のベドウィンのテントです。中に入ることもでき、生徒たちは興味を持ったようです。
日本で使われる石油の約33%はサウジアラビアからの輸入です。2番目の輸入国は約23%のアラブ首長国連邦ですから、サウジアラビアから石油の輸入が止まれば日本の産業や家庭生活は成り立たなくなります。日本は、身の回りに石油や石油製品がふんだんにある生活をしていますが、国同士がいがみ合うことなく仲良くお付き合いをすることが如何に大切であるかがサウジアラビアとの関係でもよく分かります。
また、国同士のお付き合い(外交)は、物と物との関係だけでは表面的で、長続きしません。お互いを理解する上でも文化交流はとても大切であると私は思います。
昨年のことですが、本校フェンシング部卒業生の会である「湘騎会」の総会に参加いたしました。フェンシング部は、本校の特色ある部活動の一つで長い歴史を誇っています。「湘騎会」の皆さんには、日頃より技術指導を担っていただいておりますので、学校としては大変有り難いと思っています。
卒業生の願いが通じたのか、去る12月2日に慶応義塾高等学校日吉キャンパスで行われた「神奈川フェンシング新人大会」において、本校フェンシング部は素晴らしい成果をあげました。
男子エペ個人戦 優勝 2年 平松直也君
女子サーブル個人戦 優勝 2年 西本美早希さん
女子エペ個人戦 2位 2年 村上 夢さん
女子エペ個人戦 3位 1年 旭 水色さん
女子フルーレ団体戦 3位 村上 夢さん、西本美早希さん、旭 水色さん
男子エペの平松君は、顧問の松岡先生によれば、「決勝戦の前半は交互に点を取り合う試合でしたが、途中からリードをにぎり、最後は突き放すように10対6で勝利をおさめました。決勝の相手は、JOCのカデ部門(年齢制限)において、エペ種目で日本3位となり、エペの日本代表として欧州カデサーキットに出たことがある選手」ということです。まさに快挙といえるでしょう。生徒たちの日頃の鍛錬や努力はもちろんのことですが、「湘騎会」の皆さんの献身的なご指導の賜物と深く感謝申しあげます。
年の瀬も押し迫った12月27日、関内ホールで行われました吹奏楽部の“KSK Winter Concert”に出かけました。東日本大震災で被害を受けた岩手県大槌町では、昨年から「槌音」という名前の音楽ホールをつくる活動が始まり、その活動を応援するために希望ケ丘高校、川和高校、湘南高校の県立3高校の吹奏楽部がこのチャリティーコンサートを開催しました。KSKとは、それぞれの高校の頭文字を表しています。
「ホール建設には総額1億5千万円がかかる見込み」と伺いましたが、3校の生徒達は、当日会場で寄付を募りました。それぞれの高校の生徒達の若さあふれるトークや演奏に、私自身が元気をもらい、年末の寒さが吹き飛ぶ思いをしました。高校生らしい素晴らしい社会貢献であったと思います。
これからも3校の吹奏楽部のますますの活躍を期待しています。それぞれの同窓会である桜蔭会(希望ケ丘高校)、緑和会(川和高校)、湘友会(湘南高校)にご後援いただきましたことをお礼申しあげます。
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民族衣装に身を包んで (サウジアラビア大使館) 右から、小野間教諭、生徒たち、羽入田 |
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本校校舎から撮った秀麗の富士 |