原子力規制委員会は16日、関西電力大飯原子力発電所(福井県おおい町)の断層調査に関する評価会合を開いた。敷地内北部の地層のずれが生じた原因を巡り専門家の見解が割れた。島崎邦彦委員長代理は「安全性に関して全てクリアではない」とし、今後も調査・検討を続けると表明した。審議は長期化しそうだ。
16日の会合では、活断層か地滑りか判別できなかった敷地内北側の地層のずれが議題になった。産業技術総合研究所の重松紀生主任研究員は「地滑りならノコギリ歯のような割れ目が目立つ。地層のずれは全体的に砕けている」と、地滑り説を主張した。立命館大の岡田篤正教授も「地滑りの可能性が高い」との見解を改めて示した。
一方、東洋大の渡辺満久教授は「地滑りとは違う。沖合の活断層に連動した可能性がある」と活断層説に言及。信州大の広内大助准教授は「地滑りの可能性はあるが、活断層を否定するに至っていない」と指摘した。
地滑り説の岡田氏が「現地では私と同じことを言っていた」と渡辺氏に指摘すると、渡辺氏は「見ている事実は同じだ。活断層の定義がおのおので違う」と反論する場面もあった。島崎氏は「いくつか抵抗はあるが、地滑りを起こしやすい状況なのは確かだ」とした。
規制委はすでに敷地の南側に新たな試掘溝を掘るように関電に指示した。関電の工事が終わる春以降に改めて評価会合を開く。
島崎邦彦、関西電力、渡辺満久、原子力規制委員会、大飯原子力発電所
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