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「もう死のうと思わなくて済む」
2013年01月18日 08時00分

【高橋惠子 芸能生活42年回顧録「女優物語」(26)】

 

 昭和54(1979)年7月20日、私は大阪空港からタイへと出国していました。2年ぶりの復帰作である舞台「ドラキュラ」の初日を翌21日に控え、誰にも知らせず突発的に旅立ったのです。関係者の方々に致命的な迷惑をかけることは分かっていましたし、二度と女優に戻れないことも覚悟していました。

 このときの私は本当に不安定な精神状態としか言いようがありません。本人でさえこうなのですから周囲に理解できるわけもなく、後にマスコミから何度も「失踪してタイで何をするつもりだったのか?」と問われたものです。今になって振り返ってみると、決定的な理由は「本当に死のう」と思っていたことにあったのでしょう。

 この騒動の2年前の昭和52(77)年にも私は大量に睡眠薬を服用するという“自殺未遂事件”を起こしていました。そのときは岐阜県のとある山村で2年間の休養生活を送り、女優復帰への意欲が湧き上がってきたために舞台出演を決めたはずだったのですが…。突き詰めて考えてみると、心の闇の奥底にある「自殺願望」は消えていなかったのだと思います。

 ですから、「死ぬ前に愛読書だった詩人・金子光晴さん(故人)の『マレー蘭印紀行』のようにアジアの国々を旅しておきたい」と思い込み、タイに旅立ったのです。ところが、人間はそれほど簡単に死ねるものではありませんでした。「明日には死のう」と先延ばししているうちに、タイに滞在していることがマスコミにキャッチされてしまいます。

 数日後、タイの滞在先のホテルにマスコミが大挙して押しかけ、私はもう逃げられない状況に置かれました。11月初旬には帰国し、謝罪会見を開くことになります。芸能史に残るような大それた騒ぎを起こしておきながら、私自身は心のどこかでホッとしていました。「これでもう死のうと思わなくて済む」。おかしなことと思われるかもしれませんが、これが当時の本音なのです。

 謝罪会見ではリポーターの方々に舌鋒鋭く追及されました。芸能界での母代わりだった当時のマネジャーともども、繰り返し謝罪したことは忘れられません。この会見の後、私は「今度こそ」の誓いを胸に再度、女優復帰を願い出ました。幸い、所属事務所も私の決意を信じてくれて、出演予定だった舞台「ドラキュラ」の損害賠償も実費にしてくれたのです(通常は契約額の2倍が違約金)。

 翌昭和55(80)年の1月、私は正式に復帰会見を行いました。このときには、もう心の迷いはありません。女優業に本気でまい進する——。大スキャンダルを起こしてしまった私を使ってくれる関係者がいるかどうか、それは分かりません。ですが、私はかつてないほど「きちんと演技がしたい」と願っていました。




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