2013.1.18 05:05

松井星稜vs桑田PLも!高野連が歩み寄り(2/2ページ)

PL学園時代の桑田氏(中央、右隣は清原氏)と星稜時代の松井氏。近い将来、それぞれの母校の監督として甲子園で対戦する夢も膨らむ

PL学園時代の桑田氏(中央、右隣は清原氏)と星稜時代の松井氏。近い将来、それぞれの母校の監督として甲子園で対戦する夢も膨らむ【拡大】

 長い長い時間をかけて、高校野球とプロ野球とが、雪解けの瞬間を迎えた。日本高野連はこの日の会合で、プロ側、学生側双方で座学による研修を受ければ指導者資格を認めるという条件緩和案を提示。5月をめどに双方の研修の具体的なカリキュラムなど詳細を詰めることで合意した。

 学生野球の指導資格回復を希望する元プロ選手は、各球団の推薦を受けて申請。NPBと日本学生野球協会の研修を修了し、学生側の審査を経て高校、大学双方の指導ができる資格を得る。

 日本高野連のプロアマ健全化委員会の西岡宏堂副委員長は「元高校球児の『恩返ししたい』という思いを聞いてきた。それを素直に受け止めた」と踏み込んだ決断に至った理由を説明。NPBの下田邦夫事務局長は「選手の思いを理解していただいた。今年のオフには実現できるようなスピード感を持ってやりたい」と話した。

 プロ野球選手にとって、セカンドキャリアへの展望が大きく開けることになった。NPBは毎年、秋季教育リーグ参加選手に対し、引退後の進路希望に関するアンケートを実施している。「高校野球指導者」は常に70%を超え、選択肢の中でトップを占めてきた。中日・井端弘和(社団法人日本プロ野球選手会理事長)は「辞めてから(高校野球指導者へ)行こうと思っている選手もいる。頑張ろうという気になる」と日本高野連の提案を歓迎した。

 これまで学生野球資格を回復したプロ経験者は32人。昨春のセンバツで元ダイエー(現ソフトバンク)の大越基氏(41)が山口・早鞆の監督として甲子園出場を果たしたが、今後は元プロ監督対決実現の期待も膨らむ。

 201X年夏の甲子園で、PL学園・桑田監督vs星稜・松井監督-。こんな対決が、実現するかもしれない。

 東京六大学リーグ、東大の特別コーチに就任することが決まった桑田氏は「小学生、中学生を指導してきて、今度は大学生を教えられるのはやりがいがある。でも、今のルールでは、本当に教えたい高校生に指導できない。それが残念」と思いを打ち明けていた。

 一方、松井氏も「やりがいが大きい仕事だと思う。高校野球はまっさらだから。責任は大きいけれど楽しいだろうね」と高校野球指導者への思いを語り、恩師の星稜・山下智茂名誉監督(67)も「星稜の監督を空けて待っている」とラブコールを送った。

 巨人の元エースと元4番が、高校球児を率いて対決する。世界を舞台に戦った最高の技術が、次代の若者たちに伝授される。夢が現実になる日は近い。長い冬が終わり、日本の野球に、明るい春の光が満ちてきた。

(紙面から)