駄文 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012-12-16

[]共産党は若者を見殺しにする政党か?

 ワカモノマニフェストにおいても、共産党の公約をおそらく読まずに評価した城氏ですが、今回はこんな記事を書いてきました。

http://jyoshige.livedoor.biz/archives/6143203.html

 共産党が若者を見殺しにする、という結論は、共産党のマニフェストを見ている限りはそういう結論は出ないのですが、そこはしかし論理を持って説明する必要があるところでしょう。

ワカモノマニフェストはどういうアンケートを取ったか

 ワカモノマニフェストは、世代間格差の解消のために、「消費税を増税する」か、「年金の改革」、具体的には「積み立て方式に移行する」「老人への年金を減らして若者との不公平感を除去する*1」、「負担者を年齢で区別しない*2」を実施するかを選ばせようとしました。

 アンケートの生データはこちらです。

 http://senkyo.yahoo.co.jp/enquete/party/wm/

 共産党は、おおむね、世代間格差は問題がないこと、世代間格差の是正のための増税には後ろ向きであること、増税は法人税・相続/贈与税・金融所得税での対応を回答しています。

アンケート自体への分析

 このアンケートは、「世代間格差がある」という認識をさせながら、かつ「若者が得をする選択肢」が、増税を消費税以外で調達すること以外にありません。年金の積み立て方式の移行がおそらく最適解になりそうですが、私がこれを最適だと判断する理由が消去法なので、あまり自信がありません(ぉぃ。

  • 世代間格差」として、「60歳以上の世代は約5000万円の受益超過である一方、20歳未満を含む将来世代は約5000万円の負担超過との推計がある。」という内閣府の推計を先頭にだし、問題があると回答させようとしていること
  • 社会保障改革として、負担増は全世帯がターゲットなので世代間格差解消の役に立たない選択肢ばかりである。

 年金支給開始を遅らせることは、若年層が老人になっても同様の損失を被ることから世代間格差の解消にはなりません。負担増を年齢で区別しない場合、介護保険負担が若年層に襲い掛かってくるので、結局若者の負担が増えることに変わりがありません(もしかしたら、ほかの問題があるかもしれません)。年金支給世代にも年金負担を求めるということを指しているかもしれませんが、これも結局若者が年を取ってから負担することになるから世代間格差の解消にはなりません。

 しかしながら、「年金支給開始を遅らせる」とか「負担増を年齢で区別しない(一見、若者が負担している分を他の年代にも負担させようとしている)」とかで世代間格差を解消する、ということは、とりもなおさず、こういう政策を推進するか否かをアンケート回答者に突き付けているように見えます。

 すなわち、

「厚遇されている老人をシバキ倒して若者向けの財源を作り、政策を推進する」

 というものです。 

共産党は若者を見殺しにする?」

 共産党の若者政策を見れば、そんなことはありませんが、ではなぜそういう結論がでたのでしょうか。

 共産党の若者向け政策(http://www.jcp.or.jp/web_policy/2012/11/2012-17.html )を参照すれば、若者向けの政策として「安定した雇用を提供するためのルールを確立する」「結婚・子育てが安心してできるようにするための障壁を除去する」「新卒者(大卒/院卒だけでなく、高卒や「卒業後3年以内」)の求人を増やし、就職活動の負担を軽減する」「教育の機会均等」「18歳選挙権」があげられます。これらは政策のルールの話なので、財源論がありません。財源論は「税制」の項に記載があります。http://www.jcp.or.jp/web_policy/2012/11/2012-04.html 消費税増税分が法人税減税によって効果が減ったことを挙げ、将来的な消費税の廃止と、富裕層・企業への増税を訴えています。その根拠として、「応能負担」の原則を掲げています。ここでのポイントは、世代間格差の解消の方法論について、共産党は「厚遇されている老人をシバキ倒して若者向けの財源を作り、政策を推進する」のではなく、「税負担可能なところから財源を調達して、若者向けの財源を作り、政策を推進する」と考えているところです。

城氏の報復

 ワカモノマニフェストが仕掛けたアンケートに対し、共産党が彼らの意図に乗らない回答をしたので、城氏は「共産党が若者を見殺しにする!」という分析をしました。これはおそらく、彼なりの個人的な報復措置です。

 若者の世代間格差を解消しようとするのと、若者の苦境を救う方法を検討するのとではやはり相違が出ます。城氏はおそらく城氏なりにあがいて「消費税を増税したり、社会保障負担で老人の既得権益を破壊することで世代間格差を解消するんだ!」と考えているのでしょう。導き出される結論は、老人世代と若年世代を反目させても問題ないと考えているのだと思います。

 「若者が窮状に陥っている!原因は世代間格差だ!解決のために老人の既得権益をぶっ壊せ!」

 という意見と、

 「若者が窮状に陥っている!原因は富裕層、大企業が利益を独占しているからだ!解決のために連中に課税しろ!」

 という意見がぶつかっているのだなと思います。

備考

 今回の件について共産党メールで質問しました。

 アンケートの誘導性については、メールが出展になっています。


*1:といっても、年金支給開始を遅らせるか給付を削減すると書いてあるので、若者も受け取り開始が遅くなり、不公平感の是正にはならない。この選択肢を選んだ人はかなりの間抜けだ。

*2介護保険の負担者は結構年いってからなので、若者の負担という意味では「若者にやさしい」と言えるのだが、これは介護保険の負担を若者にもさせるということなのだろうか?だとしたら、若者との不公平感はなくならないが・・・。