【永田豊隆、有近隆史】生活保護の基準額引き下げの流れが鮮明になってきた。社会保障審議会の作業部会が16日、子どものいる生活保護家庭などへの支給額が、低所得世帯の支出を上回るとの結果を公表。これを受け厚生労働省は、2013年度予算編成で引き下げ幅などの検討に入る。ただ基準額の引き下げは広く国民生活に影響するだけに論議を呼びそうだ。
「一定の数字を出して頂いたので、それをもとに適正化をはかる。全体として引き下げることになると思う」。宮城県石巻市を訪れていた田村憲久厚労相は16日、受給者213万人に達した生活保護の基準額引き下げに意欲を示した。
よりどころにするのは、この日公表された生活保護基準と低所得世帯の消費実態を比較した5年に1度の検証結果だ。
夫婦と子ども1人の3人世帯では、生活保護で支給される生活費(生活扶助)の方が、低所得世帯の消費支出よりも月約1万3千円多い、というものだ。子ども2人の4人世帯では、差は約2万6千円に広がる。
ただ検証では、60歳以上の高齢者世帯で、低所得世帯よりさらに厳しい受給者の生活状況も浮き彫りになった。「基準額を上げないといけない世帯もある。つまみ食いはしないで欲しい」。作業部会の委員は国に注文をつける。