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国際
習近平政権の狡猾外交に利用された鳩山氏、日本の国益損なう
【北京=矢板明夫】中国当局の招待で訪中した鳩山由紀夫元首相は、中国側の要人と会談した際に「尖閣諸島は係争地」と表明した後、旧日本軍の残虐さを強調する南京大虐殺記念館をも訪れた。沖縄県・尖閣諸島の問題をめぐり日中間の対立が深まる中、鳩山氏は中国の期待に応える形で自身が提唱する“友愛精神”を演出したが、一連の行動によって鳩山氏は習近平政権の狡猾(こうかつ)外交に利用され、日本の国益を大きく損なったと言わざるを得ない。
そもそも中国がこの時期に鳩山氏を招待したのは、日中関係を修復させるためではない。鳩山氏が安倍晋三政権に対し全く影響力を持っていないことを中国側は承知しており、日本政府と対話するつもりなら、ほかに適任者はいる。日本への強硬姿勢を隠さない習近平政権には、鳩山氏の元首相という肩書を利用して、安倍政権が展開する対中外交の無力化を狙う目的があるとみられる。
現在、東南アジアを歴訪している安倍首相は、尖閣問題で中国の理不尽さを訴え、日本への支持を広げようとしている。このタイミングで、3年前まで日本の首相を務めた人物が中国の言い分に同調すれば、日本の世論が二分している印象を国際社会に与え、安倍外交の説得力を弱めることができるというわけだ。
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