北アフリカのアルジェリアで、イスラム武装勢力が天然ガス関連施設を襲撃し、複数の日本人を含む多数の外国人を人質にとる事件が起きた。アルジェリア軍は武装勢力の攻撃に踏み切ったもようだが、人質の安否などは確認できていない。日本政府は関係国と連携し、早期救出にあたってほしい。
襲われたのは、アルジェリアの政府系企業と英石油大手BPなどが取り組む多国籍プロジェクトの施設だ。人質には日本のプラント建設会社である日揮の関係者のほか、米国人や英国人、ノルウェー人らが含まれているという。
菅義偉官房長官はアルジェリア治安部隊が人質救出のために軍事作戦を開始したとの連絡を英国から受けたと述べた。日本人の安否は確認中という。現地からは人質の一部が脱出したとの情報がある一方、人質が多数死亡したとの報道もあり、情報が錯綜(さくそう)している。
東南アジア歴訪中の安倍晋三首相は、情報の集約や日本人の無事の確認に全力を挙げるよう指示した。米政府も襲撃を強く非難している。米国、アルジェリアの旧宗主国であるフランスなど関係国と緊密に連絡をとり、正確な状況把握に努めてほしい。
今回の事件の難しさは、日本人だけでなく多くの国の人々が人質になったことだ。アルジェリア政府は当初から「テロには屈しない」と主張してきた。欧米も基本的に同調したとみられ、人命第一で粘り強く交渉するという日本流の主張が通ったとは言い難い。
国際テロ組織のアルカイダに近い武装勢力は犯行声明で、フランスによるアルジェリアの隣国マリへの軍事介入の停止を求めた。マリではイスラム武装勢力が北部を実効支配し、首都バマコを含む南部を統治する政府との間で国土が分断されている。マリの混乱は周辺国の安定も脅かしかねず、仏軍の介入はやむをえない。
こうした地域でイスラム勢力の活動が活発化したのは、アフガニスタンやイラクなどでの米欧による掃討作戦で追われた過激派が拠点を移しているためだ。リビアのカダフィ政権崩壊で大量の武器が流れ込んでいるとの情報もある。
アルジェリアの人質事件は、アフリカの混乱が日本にとって遠い地の話でないことを知らしめた。事件の解決に全力をあげると同時に、生活水準を底上げし、産業を育てる地道な支援を続けたい。
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