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2013年1月18日(金)付

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テロでの人質―救出進め再発防止も

アフリカ北部アルジェリアの天然ガス関連施設で起きた人質事件で、現地の部隊が救出作戦に突入した。未確認情報も多いが、日本人2人らが脱出した一方、多数が死亡したとの報道もあ[記事全文]

桜宮高校体罰―生徒に罪はない

体罰を受けた体育科の生徒が自殺した大阪市立桜宮高校について、橋下徹市長は、体育科とスポーツ健康科学科の入試を中止するよう市教委に求めた。願書の提出期限は約1カ月後だ。受[記事全文]

テロでの人質―救出進め再発防止も

 アフリカ北部アルジェリアの天然ガス関連施設で起きた人質事件で、現地の部隊が救出作戦に突入した。

 未確認情報も多いが、日本人2人らが脱出した一方、多数が死亡したとの報道もある。

 とらわれたのは、プラント建設会社日揮の社員3人を含む外国人40人以上と多数のアルジェリア人。国籍は日本のほか米英、ノルウェー、アイルランドなどだ。

 国際テロ組織アルカイダ系のイスラム武装集団に襲撃された。許しがたい蛮行である。日本政府は関係国と連携しながら人命第一で解決に全力をあげてほしい。

 この地域は天然資源が豊富で、外国企業が進出しているが、政治情勢は複雑で、治安の悪化も目立つ。

 武装勢力の一部はもともとアルジェリアにいたが、弾圧を逃れるため、政府統治の弱い南隣のマリに入ってきた。一帯では外国人誘拐が横行している。

 今回の人質事件の引き金となったと見られるのが、マリへのフランス軍の軍事介入だ。

 マリ北部では地元民族による反政府運動が続いている。イスラム武装勢力もこれに加わり、南部へと支配地域を広げてきた。旧宗主国であるフランスは、マリ政府の支援要請を受け、年明けから空爆を行い、地上部隊の投入にも踏み切った。

 マリの武装勢力ともつながる犯人グループは、マリからの仏軍の撤退を求めていた。仏軍の領空通過を許したアルジェリア政府も非難していた。

 まず人質事件の解決が大事だが、再発防止にはマリ情勢の安定化が欠かせない。

 国連安保理は、マリ北部制圧のため、アフリカ各国に部隊派遣を求めていた。急きょ、派遣されることになったが、事態は楽観を許さない。

 カダフィ政権が崩壊したリビア内戦で、外国から大量の武器が提供された。それがマリなどにも流出しており、秩序の回復は容易ではない。

 武装テロ組織を抑えるためとはいえ、仏軍介入は、安保理で十分な議論を経たわけではない。地上での軍事行動を今後、どう収拾していくのか。

 アフリカ全体で見れば資源開発や工業化で経済が伸びつつある。しかし、政治混乱などにつけこみ、アルカイダ系組織の活動領域も広がっている。

 この大陸が持続可能な発展へと離陸していくためにも、人質事件やマリへの対応を、テロと武力行使の負の連鎖の新たな始まりにしてはならない。

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桜宮高校体罰―生徒に罪はない

 体罰を受けた体育科の生徒が自殺した大阪市立桜宮高校について、橋下徹市長は、体育科とスポーツ健康科学科の入試を中止するよう市教委に求めた。

 願書の提出期限は約1カ月後だ。受験予定の中学生たちに、何の落ち度もないのに進路の変更を強いるのだろうか。子どものことを第一に考えよう。橋下氏は要請をやめるべきだ。

 橋下氏の論理はこうだ。

 顧問の暴力をだれも止められず、生徒が死に至った。実態の解明もできていない段階で新入生を受け入れられない――。中止しないなら市長権限で予算をとめる可能性も示した。

 両科の定員計120人は普通科へ振りかえればよいという。だが受験科目がかなり違う。

 大阪市立中学の校長会は「生徒、保護者に不安と動揺を与える」として、入試を求める緊急要望書を市教委に出した。

 橋下氏は「そんな校長はいらない」と一蹴した。議論がかみあっていない。子どもたちの近くにいる校長たちの声を、重く受けとめるべきだ。

 体育科は、スポーツで力を伸ばしたい生徒が集まる学びの場だ。桜宮高では体罰があったバスケットボール部、バレーボール部以外にも、ボート部、水泳部、剣道部などがあり、多くが全国大会に出場する。

 入学者は大阪一円におよぶ。

 入試の中止は、子どもの一生を左右してしまう。

 橋下氏は桜宮高の全教員を異動させる「総入れ替え」も求めている。その前に、体罰の被害実態を明らかにすべきだ。

 体罰を許す空気が学校全体にあったのか、あったならなぜなのか。生徒からも聞き取りして調べるのが先だ。無法を黙認した先生を他校に拡散させ、一方で心ある先生を理不尽に追うことにならないか、心配だ。

 橋下氏は「廃校もあり得る」とも口にした。

 亡くなった生徒の命の重みを考えるなら、学校を再生する道をとるのが先ではないか。

 原因を明らかにする段階で学校の全否定や、トップからの極端な提案は慎むべきだ。傷つくのは在校生や受験生だ。

 一昨年、体罰情報を受けたのは市の公益通報の窓口だった。通報で体罰を止められなかった責任は、市長の部局にもある。

 教育委員会は、この事件で受け身になってはならない。体罰がなくならない現状や指導のあり方を考え、対策をとるのは市教委と学校の役割だ。

 子どもたちのために。それを第一に、市長と教委は責任ある判断をしてほしい。

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