砂川事件:最高裁長官「1審は誤り」 米大使に破棄示唆

毎日新聞 2013年01月17日 21時21分

 東京都砂川町(現立川市)にあった米軍立川基地で1957年に起きた「砂川事件」の最高裁判決を巡り、最高裁長官が駐日米大使と事前に会い、1審判決を批判する発言をしていたことを記録した米公文書が見つかった。同事件の元被告、土屋源太郎さん(78)らは「司法判断が米国の意向でゆがめられた可能性がある」として今月30日、最高裁に当時の田中耕太郎長官の業務記録などの開示を求める申し出をする。

 砂川事件では基地拡張に反対するデモ隊の一部が基地内に入り、土屋さんら7人が日米安保条約に基づく刑事特別法違反で起訴されたが、東京地裁の伊達秋雄裁判長は59年3月、米軍の駐留自体を憲法違反と判断する異例の無罪判決(伊達判決)を出した。しかし、最高裁は同年12月、1審判決を破棄。差し戻し審で土屋さんらの罰金刑が確定した。

 田中長官が最高裁判決前、ダグラス・マッカーサー2世・駐日米大使と内密に話し合ったとする米公文書の存在は08年に明らかになっている。その後、在日米軍問題を取材しているフリージャーナリストの末浪靖司さんが11年9月、最高裁判決前後にマッカーサー大使が国務省に送った公電2通を米国立公文書館で新たに発見。土屋さんらに提供した。

 判決約1カ月前の59年11月5日の公電には、田中氏が「伊達判事の判断は全く誤っていた」「来年初めまでには判決を出せるようにしたい」などと語ったと記されていた。

 また、判決翌日の12月17日の公電は「全員一致の合憲判断は大変有益な展開」などと判決を歓迎。「田中長官の手腕と政治力に負うところが大きい」と称賛している。

 土屋さんらは09年にも最高裁に関連情報の開示を求めたが、文書が存在しないとして退けられた。裁判所は情報公開法の対象外のため、文書開示は内規に基づく対応となり、法的拘束力はない。【日下部聡】

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