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2006-09-01 Fri 21:08
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『ハァ…』何度めだろうか…。
私、水澤真紀(みずさわまき)は大きなクッションに顔を埋めながら、本日何回目かの溜め息をついた。 『俺の幸せまで逃げてきそうなんだけど』 そう言ったのは、居間のソファーでくつろぎながら情報誌を眺めていた弟の拓海だった。 『彼氏にフラれたくらいで、落ち込むなよ』 ドキッ! 『まだ別れてない!』 私は拓海を睨めつけた。 『そう…』 情報誌に目をやりながら、取り立てて感情を込める事なく答える拓海。 無関心が余計カチンとくる。 『拓海だって長続きしないくせに!』 私は言い返してやった。 『俺の場合、みんな女友達。誰とも付き合ってないから…』 酷い事をさらりと言ってのける。 今のセリフを聞いた女の子の何人かは泣くか怒るかするはずだ。 『ひどい、女の敵!後から刺されるわよ。』 『別に…、女なんて誰でも一緒だよ。』 どこか冷めたような表情をする。 弟の拓海には好きな人がいる(いた?)らしいのだけど、その人とは訳あって付き合えないらしい。 (人妻とかだったりして…) 実際リアルに想像出来るところが怖いのだけど。 実は弟の拓海…、外面はかなり良い男の部類に入ると思う。 背は高いし、顔も身内の贔屓を差し引いてもハンサム君だ。 街中でスカウトもされたこともあって、やたら友達が騒いでたりする。 昔はモヤシっ子だったくせに、中学から始めた水泳のお陰で、凄く逞しくなった。 風呂上がりの、浅く日に焼けた身体を見ると、不覚にも緊張してしう。 美術科の友達が見たら、モデル依頼を願い出るに違いない。 昔は守ってあげなくっちゃ!って可愛がってたのに、手が掛からないというのは少し淋しいものだ。 しかしそれは外見の話。 性格はどこで間違ったのか、かなり『いけず』だ。 特に私の事なんて『姉』だなんて認めない的言動も多い。 そりゃ、頼りない姉ケドさ…。 ちょっと凹むなぁ。 『姉さんさぁ、何か原因あるわけ?』 『え?』 『いや…だってさ、仲良くなると、別れるよね』 ギク!! 仲良くって…アレのこと?! 何か鋭いんだよね。 実際拓海の指摘は的を得ていた。 大学入学して、すぐ彼氏が出来た。 徐々に二人の仲は進展。 そしてついに結ばれる…と思ったとき、思ってもいない問題が発生した。 最初は『初めて』の痛みが原因で、彼のを受け入れる事が出来ないのだと思った。 でも、二回目、三回目も受け入れる事が出来なかった…。 結局気まずい雰囲気が流れ、彼から離れていった。 どうやら私のアソコは極端に狭いらしい。 人差し指一本を挿入するのにも、鈍い痛みで諦めてしまうくらい。 男性自身を受け入れるなんて、とても考えられない。 色々調べてみると、そういった事例は稀だけどあるそうだ。 解決作は、根気よく馴らしていくしかないらしい。 でもこの年頃の男の子は、ヤリたいばかりでそんな面倒な事に時間を費やしたりはしないみたい。 現に今まで二人と付き合って、この壁にぶつかると必ず同じ結果になった。 気長になんて待ってくれないのだ。 『一生処女かも…』 『はあ?』 拓海は明らかに不審人物を見る目でこちらを見た。 『あ?いや、なんでもないよ』 私は照れ隠しに、頭をかいてごまかした。 『よければ、相談のるけど…』 相談?!実の弟に?セックスが出来ないから、彼氏に逃げられます。 どうしましょう、って? 無理×3!笑われちゃうよ。 (でも…) 昔こそ、私が弟の面倒を見て来たのだけど、高校入学する頃には立場は逆転していたように思う。 友達に相談出来ない事は、決まって拓海に相談してきた。 そして、その殆どが好転している。 私は悩んだ末…、意を決して相談してみることにした。 弟の拓海に…。 スポンサーサイト
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