村宮白帆
-WAIT UNTIL DARK-


 自然に笑みがこぼれた。体中でくすぶっている快感の起爆剤も、この顔を見ているだけで違う何かに一瞬にして昇華してしまった。

 「はぁ…はぁ…はぁ…」

 皆斗の腰の上でつながり、力を放った後の皆斗の無防備な顔を見ているとなんだか食べてしまいたくなっていた。

 今皆斗は目をつむり、肩で呼吸を繰り返し、半開きになった口からは弟の体中を駆け巡った酸素の屑がひっきりなしに私の肌にふりかかる。誰かの生の躍動感がこれは夢じゃないと教えてくれた。

 「姉貴ぃ…」

 正座した足みたいに痺れる股間の中でまだ皆斗のが蠢いている気がする。感じていた固い感触も弾けた後なのに治まる気配が無い。弾けた、そう、一番皆斗が可愛い顔をしたあの瞬間に、彼は精子を私の中に出したのだ。痙攣の数だけ吐いたのならば、どれくらいの量を出したのか想像すらつかない。私にしがみついて何度震えていただろうか。4回5回…数えるのが嬉しくなってしまう。自分が達することができれば、それはそれで良かったけど…まだ私達には時間があるし、皆斗が気持ち良いなら…

 「――みなと」

 まだ苦しそうにあえぐ弟の額に唇を当て、静かにベッドへ体を預けさせてやった。私もその上に覆いかぶさる。ベッドに手をついて体重をかけないようにして、すぐ間近で顔を見つめる。皆斗は…照れたのか自分の額に手をやってまた目をつむった。腰はまだつながったまま、ようやく堅さが静まってきてるような気がする。

 晴れやかだった。結ばれた満足感がこんなにも素晴しいものだとは思わなかった。酒を飲むより、一緒にタバコを吸うより話たり遊んだりするよりも全然幸福感が違う。それぞれは私の中で一輪の綺麗な花だ、これは間違いない。だけど今の感覚はその花が満開の花園にいる気分だ。

 「姉貴…」

 「うん?」

 あえぎ声じゃない意味のある呼び声に、私は頬を寄せた。

 「中で出してごめん…」

 震えた声、泣きそうな声だった。

 「馬鹿だね…」

 そんな簡単にできないよ。耳元で囁いてやると、皆斗の体が震えるのを感じた。

 「それにできたって構わないよ」

 う、と皆斗はついに泣き出した。

 私の方が泣きたいよ



 美汐のコトは釘を刺された。私と皆斗のコトは言うなってコトもあったけど、何度も念を押されたのは仲直りについてだった。

 「大丈夫」

 なんでも今なら笑ってやれる気がする。それに美汐には悪いことをしたとは、本当に思っている。

 だから私は皆斗の家に美汐を迎えに行くことにした。空は初夏の青空が広がる良い天気だった。風も心地よくて、窓を開けっぱなしにして昼寝ができたらどれだけ心地良いか想像がつかない。

 家を出て、皆斗の手をとった。

 「…姉貴!?」

 周囲を気にして小声で声を上げる赤面した皆斗がとても可愛い。これで私よりも身長が低かったら抱っこでもしてやりたい気分だ。

 「どうしたの、皆斗」

 腕を抱いてやると、体を縮こませて体一杯で照れた。これからの事を考えると、涼風の昼寝なんて遠くも及ばない。

 あんなに嫌いになった美汐だって自然に抱きしめることができた。

 私の胸の中で泣きつく美汐。思えばこの子のおかげで私は皆斗と結ばれることができたのだ。

 「ありがとう、美汐」

 「ううん…ごめんねお姉ちゃん…」

 美汐、か。

 その日は、皆斗の家で美汐が作った晩御飯を食べた。ほとんどコイツの部屋に来たことなんて無いけど、もの凄く片付いていたのには驚いた。きっと美汐が片付けたんだろうけど。

 「お兄ちゃんの家ってずるいんだよ?」

 台所に2人で並んで、食器を洗っている時に美汐が私の肘をつついた。

 「ん、なんかあった?」

 「うん、お姉ちゃんも見たと思うけど炊飯器がウチのより良いの」

 「へぇ」

 今日の美汐は少しテンションが高かった。

 「何が良いんだ?」

 「マイナスイオン」

 「あれか…」

 「美味しく炊けるんだって」

 「…そうだった?いつもの美汐が焚くご飯と変わらなかったけど」

 「そうかなー」

 真剣に悩みだしたのを見て、私はついに声に出して笑ってしまった。

 「美汐ぉ、おばさんじゃないんだから。変なコトで悩むんじゃないの」

 「変って…ありのままのことを言っただけだもん」

 「おいおい、泡のついたまま皿を渡さないで」

 「あっ」

 舌を出して美汐も笑う。馬鹿なんだから、と肘でこずくと静かに美汐は呟いた。流しっぱなしの水道の音にかき消されるくらい小さな声だけど。それは問いかけだった。問われたのなら、私は答える。

 「そうだね、皆で食べたから美味しかったんだよ」

 「うん…」

 美汐はそう頷くと、エプロンの裾で目頭をぬぐい始めた。まだ洗い物の最中なのに水道を止めて私に寄り添って肩を震わせる。

 「お姉ちゃん、私幸せだよ」

 「そうだね」

 寝そべってテレビを見ていた皆斗と目があった。何、と目で聞くと美汐を見つめる。

 口元に浮かんだ寂しそうな笑みを私は見逃さなかった。



 へへへ、と美汐が笑う時は甘えてくる合図だ。皆斗と並んでヤニをふかしてテレビを見てると美汐は私の膝を枕にしてきた。

 吸いかけのヤニを灰皿へこすりつけて、空いた手で頭をなでてやると声にして喜ぶ。

 「お兄ちゃんの部屋で3人って初めてだよね」

 「だな」

 美汐が伸ばした手をとって軽く握りながら皆斗が頷く。優しい声に、皆斗がどれだけこの時間を楽しんでいるか判った。昼間のイっている姿なんか全然想像がつかない、大人の笑みだ。

 久しぶりに3人での晩餐をしたので、折角だから今日は皆斗の家に泊まることになっていた。

 提案したのは私じゃない。美汐がベッドで3人で寝ようよと微笑んだのだ。皆斗がそれに嫌というはずもなく、皆斗がYESなら私もYES。美汐がいても…皆斗がいる夜は私も嬉しい。美汐が言わなくても私が言うつもりでもあったし。

 部屋にブザーがなる。クッキングタイマーが風呂のお湯が溜まったと教えてくれたのだ。

 「あ」

 ちなみに一番風呂は美汐だ。着替えは(下着)は夕食を買うついでに一緒に買ったし、寝間着は皆斗のシャツなりを使うつもりだ。

 「じゃぁお先にお風呂いただきまーす」

 美汐が嬉しそうに風呂場へ消えていく。ドアが閉まるなり、私は美汐みたいに皆斗の膝の上に頭を乗せた。

 あの子みたいにへへへとは笑えないけど。妙に背筋が伸びた皆斗の首に手をまきつけた。

 「やめろよ…」

 「えー?」

 「美汐、いるだろ…」

 首筋がどんどん熱くなっている気がする。

 「大丈夫だよ。お風呂、あの子長いから」

 遠いな。私は起き上がるとあぐらを組んでいる皆斗の足の間に身を滑らせた。皆斗も逃げようとはしない。でも顔を真っ赤にして必死に顔を反らそうとしている。

 「可愛いなぁ…皆斗は。何照れてるの?」

 「…照れるだろ…普通」

 「そうかな」

 「っ…」

 首筋にキスをしてやると、皆斗は思い切り目をつむって固まった。こうして皆斗の体に包まれてるわけだが、こいつの体温がどんどん高くなって、心臓もばくばく言っているのが凄いわかる。

 「そんなに首弱いの?」

 「…わかんね…なぁ、今日はしないよな」

 「そうだね、美汐もいるしね」

 「だよ、だからもう…」

 「キスだけにしとこう」

 私は緊張の塊の皆斗の口に吸い付いた。皆斗を味わいつつ、背中で風呂場の音を聞く。はちきれそうになっている皆斗のをズボンの上からさすりながら、嬉しくてこのまましたくなってしまう。私を感じて興奮してくれた証をどうにか楽にさせてやりたかった。

 チャックを下ろそうとすると、抵抗の声

 「やめっ…」

 思わず叫びかけた声が苦しそうに耳元であえぐ。

 「シないって言ったじゃんか…」

 「あんたがいつもシてることを私がしたげるよ」

 体を膝の上から下ろし、私は開いたチャックから皆斗の敏感な肉の棒を取り出してやった。可愛そうなくらいに膨らんでいるペニスの先端はべったべたに涎を流している。反り立ちすぎてシャツの腹に染みを作ってしまいそうなモノを取り出されて、皆斗はどうしようもなく目を堅く閉じている。

 自分ももういつでもデきてしまう感じだった。だけど本当にしてしまっては…美汐がお風呂から上がってしまう。私は別に構わないけど、皆斗との約束はちゃんと守らないと駄目だ。

 「じゃぁ四つんばいになって」

 「え…」

 飛び出してくる精子で部屋を汚さないようにするには、と少し考えたらこういう形になった。

 しばらく無言の時間が流れる。子供の時はだらしなく垂れていたペニスも今は言葉は変だが年相応の顔をしていた。皆斗はそのお互いの顔を見つめあい、そして私を見てまた自分を見つめた。何照れてんだろう。

 ん?とうながすと、皆斗は目をつぶってジーンズから自分のペニスをむき出しにしたまま、言われるがままに四つんばいになる。

 「私がこすってあげるから、イきそうになったら自分でティッシュあててね」

 「まじかよ…」

 男がイくのってまだよく判らないから、判断は皆斗に任せるしかない。

 「今日ので判ったら、デきない日とか私がしたげるから」

 「いや…いいから…」

 美汐の歌声が風呂場から聞こえてくる。髪を洗い始めた合図だ。まだ時間はある。

 「ぐう…」

 とりあえず後ろから右手を入れてペニスの熱さに驚きながらも先端を包み込んだ。べったりとした粘液が手の平にまとわりつき、体をピクリと跳ねさせ低い唸り声を上げる皆斗。私はその粘液を使って反りあがってお腹にあたっているペニスを前後になであげた。痛くないように優しく…

 「うぁ…姉貴…」

 「うん…?」

 四つんばいも苦しいのか小刻みに皆斗は震えていた。熱い肉の傘の部分と棒の間を擦った時に声は一瞬甲高くなる。感じてくれるみたいだ。

 コレをしごく、という動作は少し難しいことがわかった。叩かれたりしたら男は凄い痛いっていうし、どれくらい力を入れればいいのか判らない。一応感じてくれているみたいだが…ちゃんとイってくれるか不安になってきていた。

 「はぁ…うっ…うっ…」

 「皆斗…気持ち良い?」

 「い、言わせるなよ…」

 ケツを震わせて切なそうに皆斗は悲鳴をあげた。気持ち良くはなってくれているらしい。

 あぁ…男がするようにしてやれば良いんだ。

 簡単なことだ。彼等にはよくある定番なスタイルがあったのを私は思い出した。

 私は皆斗の背中に体重をかけないように覆いかぶさった。そして体の横から手を回すと…

 「あっ、姉貴」

 皆斗の声が変わった。空いた手で必死にティッシュの箱を引き寄せている。

 「イきそう?」

 「ギリ…」

 「もうちょっと強くしても良い?」

 「…うん」

 私の手の近くにティッシュを持った皆斗の手を感じる。私は皆斗の希望通り強く、そして早くこすってやった。そうすればするほどペニスの先端からはよだれが沢山溢れ出て、私の手はべとべとになる。

 「やべ…」

 私の右手ごと皆斗の手が重なる。その瞬間覆いかぶさった皆斗の体が跳ね上がり、ティッシュで覆われた私の右手の中に熱いものがぶちまけられた。なんとも言いがたい熱い粘液が何度も、何度も私の手の中にはきつけられる。上手い具合にティッシュに包まれていると良いんだけど。

 「はぁっ…はぁはぁ…」

 片手で体を支えながら、皆斗は今回も私を感じて弾けてくれた。私は皆斗を起こしてやると、右手とティッシュの中身をこぼさないように蛍光灯の下に出して見た。

 絵の具を溶くのに水が足りなかったみたいな感じの、濃ゆくて白いゼリーみたいなものが蛍光灯の白い光の中で眩しく輝いていた。

 「見んなよ…情けねぇ…」

 「情けなくなんかないよ…私が世話してるんだから」

 手の中の皆斗。

 「この手でオナニーしたら子供できちゃうかな」

 「そういうのマジやめろよ…」

 「…ゴミ箱に捨てても良いの?」

 「…うん」

 AVみたいに舐めてやろうと思ったけど、皆斗が本当にイヤな顔をしていたからそれはできない。後始末をしてやって、何もかもが片付いた時、美汐が丁度良く風呂場から出てきた。

 「お先にいただきましたー」

 皆斗はその時トイレにいた。自分の風呂の番まで出てくることはなかった。







-今回の没文章-
ありませーん

いつも思うんですが年上相手だと男が受けになる率が高いです久我の小説
弟が攻めなのはスキルBの姉弟だけ〜…かなぁ

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