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詩織と一哉?
2006-08-06 Sun 09:07
お風呂から出た俺達は、リビングに置いてある三人掛けのソファに並んで座っていた。
外国製だからか、四人でも座れそうだ。
母さんが特注で取り寄せたイタリア製のミノッティとかなんとか…、そのソファはしっとり馴染んで、非常に気持ち良い。
大画面の液晶テレビからは今日一日のニュースがまとめて流れていたが、頭には入ってこなかった。
心地良い脱力感が心と体をまったりとさせていた。
姉さんはというと、俺に軽くもたれ掛かかりながら指を絡めている。

『姉さん、寝てる?』
『ううん、起きてる…。一哉の心臓の音、聞いてたの』
『それじゃ、聞こえないでしょ?』
『聞こえるよ…トクントクンって…』
『嘘だぁ』
『今少し早くなった』
『ホントに聞こえるの?』
『…内緒』

姉さんは可笑しそうに、クスクスと笑った。

『姉さん、ちょっと聞いて良い?』
『なあに?』
『姉さんって、いつから俺のコト好きになったの?』
『いきなりな質問ね…』

また姉さんは笑った。

『そうね?、昔からだったような、最近のような…』
『なんだよそれ…』
『好きになったのは、入院してからかな』
『毎日お見舞いに行ったからとか…』

堪え切れず、大笑いする姉さん。

『笑わなくても良いのに…』
『ごめんなさい…。それも少しはあるわね』
『少し…』
『気付かない?』
『…わかんない』
『だよね?』

またクスクスと可笑しそうに笑う。

『だって一哉、私にスッゴク好きだって毎日言ってたじゃない』
『い、言ってないよ、そんなこと!』
『言葉にしなくても…、ココでね』

姉さんは、俺の胸に手をあてると、人差し指で、ツンツンと心臓の真上を突いた。

『ええ?!』
『最初は姉弟愛かな?って思ったけど、すぐに違うと分かったわ。気持ちがこもってる…っていうのかな?だから入院してる一ヶ月間は一哉がお見舞いに来てくれるのが嬉しかった。その時思ったのよね』
『…なんて?』
『あぁ、私は一哉の事が好きなんだ…って。一哉が話し掛けてくれたり、私に触れてくれたり…、凄くドキドキして嬉しかった』
『…』
『どうしたの?』
『いや…、嬉しいけど…なんか恥ずかしい』
『どうしてよ…』
『いや…別に…』

もし自分の好意がバレバレの状態で一ヶ月も姉さんと接していたのを思い出せば、恥ずかしくもなる。
俗っぽく言えば『下心』なんだから。
まあ、お互い風呂場であんな恥態を見せ合った後では、気にしなくても良いかもしれないけど。
それでもやっぱり恥ずかしい…。

『一哉…』

姉さんは、何故か嬉しそうに微笑むと、もたれ掛かった俺の肩に頬を擦り寄せた。

『どうしたの?』
『なんでもない』

ふふっとまた笑った。

『姉さん…』
『なあに?』
『俺、幸せだよ…』
『あっ、ズルイ!私が先に言うと思ってたのに!』
『知らないよ、そんなの』

今度は俺が笑う番だ。

『わ、私にも言わせて!』
『なんて?』
『え、え?っと、私も、はうんっ?!』

悪戯心と、勢いだった。
俺は姉さんの桜色の唇を塞いだ。
柔らかく、しっとりとした感触が伝わってくる。
いきなりの事で、姉さんの動揺が伝わってくる。
それでも、徐々に姉さんの身体から力が抜けていった。
俺は、そっと唇を放した。

『…ずるい』

姉さんが、小さく抗議した。

『嫌だった?』
『いや…じゃない。もっと…して…欲しい』

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