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2006-05-23 Tue 21:09
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『うわ、良い匂い!』
姉さんを席に座らせ目の前に作り立てのパスタを置く。 『え?、本日はシーチキンと新玉葱の和風パスタにしてみました』 『へ?、料理作れるようになったんだ』 『まぁね…』 実際姉さんが入院するまで、俺の分担は掃除洗濯がメインで、料理は姉さんに任せっきりだった。 作れても目玉焼きとみそ汁(味は保証出来ない)程度。 そんな俺に母は料理を作るように言った。 『料理が出来る男はカッコイイものなのよ?』 これは母の口癖なんだけど、確かに死んだ父さんの料理が美味しかったし、台所に立つ姿は印象に残ってる。 お陰でこの一ヶ月、かなりレパートリーを増やすことが出来た。 火傷や切りキズは絶えなかったけど、姉さんが喜んでくれるなら頑張った甲斐もあるってもんだ。 『はい、あ?んして』 かなり照れるが感情には出さない。 俺は麺を小さめに巻き取り、姉さんの口に運んだ。 『ん!美味しい!』 『そう?良かった』 『スープが美味しいね!』 俺も合間にパスタを口に運ぶ。 実際我ながら美味しいと思う。 姉さんは手の込んだ料理と勘違いしてるかもしれないけど、実は『天つゆ』をベースにした簡単料理だ。 邪道かもしれないけど、こういった裏技はネットにも流れてるので非常に助かる。 知識の無い俺には必要なテクなのだ。 後は味に飽きないように、サラダをバランス良く食べさせる。 『あ?、美味しかった!病院の料理は味気なくって…。これだけでも帰って来た甲斐があったな』 『そう?』 『夕食も期待出来そう』 『ううっ、プレッシャー』 『んふふ』 姉さんは楽しそうに笑った。 『さてと…、片付けちゃうかな』 俺は姉さんに新しくお茶を入れ直すと洗いモノを手早く済ませた。 食後にしばらく姉さんと他愛無い話をしていたら、玄関のチャイムが鳴った。 『珍しいな…』 キッチンに据え付けてあるモニターを見ると見慣れた顔がいくつか並んでいた。 (香月達だ・・・) 『誰?』 『あ、うん。高校のクラスメート…、どうしたんだろ。ちょっと待ってて』 とりあえず玄関に向かい、扉を開けた。 『どうしたの、みんな』 玄関に居たのは、香月、柿崎、沢村のクラスメートだ。 香月は一年からの親友で沢村と柿崎は二年のクラス替えで同じになった女の子だ 。 ちなみに、香月と沢村は一年の頃から付き合っていて、この二人を中心に俺と柿崎が集まった形になっている。 俗に言う仲良しグループのようなモノかな。 『ん?、まぁ様子を見にな…』 頭をポリポリかきながら香月が言った。 担任はもちろん香月には話してあったのに、おかしなヤツだ。 『黒崎君、残りの補習は出られないの?』 気の強そうな顔立ちが少し損だが、それを除けば可愛い部類に入る柿崎が、補習用のプリントの束を差し出しながら言った。 『ん?、まあね』 『休み明けの実力テストは重要だから、気をつけないと、来年の特進危ないよ?』 『あれ?心配してくれてんの?』 『別に心配なんてしてないわよ』 柿崎は他人を心配することはあまりしない。 ただ、一度気を許した者にはそうでもないようだ。 親友の沢村はもちろん、俺や香月にも一応気を許してくれてるみたいだ。 ちょっとムッとしながらも心配してくれてるのが伺える。 『ん、まぁ俺が体調悪い訳じゃないらね。』 『身内の方の看病…だっけ?でも、身内っていうと…』 『あぁ、姉さんね。目の手術をしたから。母さんは海外だし…、今日から専業主夫だよ』 『そう…、大変そうね』 『楽じゃないだろうけど、まっ、何とかなるでしょ…。』 結構、楽天家な俺。 この状況を楽しもうとしてるからかもしれない。 『料理とか、どうしてるの?』 『一哉は、料理出来るもんな』 『うそ…』 『今度食べにくる?』 ちまたの女の子には負けない自信はある。 『一哉…、上がってもらったら?』 『姉さん!?』 不意に姉さんの声がした。 わざわざ気を使ってくれたのだろう、壁伝いに玄関までやって来たようだ。 『ごめん!大丈夫?!』 ある程度家の中を歩き回る事は出来るが、神経を使うに決まっている。 人に、今の姿も見せたくないはずだ。 俺は姉さんの手と肩をとった。 『ゴメン!ちょっと待ってて、すぐ戻るから…』 一先ず姉さんを部屋に送っていこう。 『いえ!私達プリント渡しに来ただけですから。黒崎君ごめんね、お邪魔しちゃって』 柿崎が、俺達姉弟の様子を見て察したのだろう。 『いや、こっちこそゴメンな、せっかく来てくれたのに。』 香月はご近所さんだが柿崎と沢村は決して近いとは言えない。 わざわざ心配してくれて申し訳ない。 『じゃ?、今日のところは帰りますか!あ、詩織さん大事にしてくださいね』 昔から姉さんに面識がある香月が声をかける。 『香月君、ごめんなさいね。もうすぐ包帯が取れるから、また遊びに来てね』 『マジっすか!じゃあ、今度来たときは詩織さんの手作りケーキが食べたいな?』 『わかったわ、約束ね』 『ラッキー!』 『普通逆だと思うけど…』 香月に柿崎がツッコミを入れる。 『仕方ねえだろ!詩織さんのケーキはバリウマなんだからよ!』 『香月、それくらいにしとかないと…、沢村がかなりムッとしてるぞ!』 香月の彼女である沢村は、かなり嫉妬深い。鼻の下を伸ばす香月に明らかに頬を膨らましている。 そんなところが、可愛いところなんだか・・・。 『あ?、そういうコトで、またにゃ?一哉』 香月は沢村にほっぺを引っ張られながら帰って行った。 『相変わらず、仲が良いよな』 『そうね…、じゃ新学期にね』 『ああ、今日はありがとう』 俺は、3人を見送ると玄関の鍵をかけた。 スポンサーサイト
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エロ・・・まだ先っぽい
ごめんなさい@@; |
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