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真紀と拓海?
2006-09-27 Wed 22:57
気がつくと、私は拓海が愛用している大きめのタオルケットを掛けられて、ベットに寝かされていた。

『た…くみ?』

私は朦朧としながらも、上体を起こして拓海の存在を探した。
しかし部屋には拓海の姿はなく私は心細くなり、はだけた胸元を隠す為にタオルケットを引き上げた。
拓海の部屋は私の部屋と殆ど同じ造りをしている。
多少の違いはあっても、部屋面積を有効に使えるように、机やベッドの配置はかなり似ている。
だから部屋の広さには馴れているはずなのに、拓海の居ないこの空間は、何故か広く、心細く思えた。
私はとりあえず、我が家といえど、うろうろ出来る格好ではない為、暫く待つことにした。


程なくしてカチャリと扉が開き、拓海が姿を現した。

『拓海!』
『びっくりした!どうしたの?』
『あっ、えっと…なんでもない…です』

さすがに寂しくて…なんて、恥ずかしくて言えない。

『ごめん、ちょっと下行ってた』
『ううん、気がついたら拓海いないし…どうしたのかなって』
『いや、シーツをね…』
『シーツ?…あれ?』

私は疑問に思って見ると、いつの間にか予備のシーツに変わっていた。

『覚えてない?』
『え?何を?』
『覚えてないなら良いよ』
『やだ、気になるよ!』
『つまりさ…』
『つまり?』
『姉さん、潮…吹いたんだよ』
『しお?』
『あぁ、分からなければ、良いよ』

拓海は手をヒラヒラさせるとベットに腰を下ろした。
私は追及してヤブヘビになるといけないので、後で調べてみようと思った。

『で、どうする?』
『へ?』

呆れ顔で溜め息をつく拓海。

『姉さん、目的忘れてない?』
『…、あぁ!』

確かに…。
今回無理言って拓海にお願いしたのは『セックスが出来るように』というのが目的だったはずだ。
気持ち良くしてもらうのが、目的ではない。

『キツイなら止めとくけど…』
『あっ…と、た、拓海さえ、よければ…』
『続ける?』
『あ、うん…、お願い出来る?』

私は少し上目使いで拓海に聞いてみた。
何か媚びてるみたいでどうかと思ったけど、何故かそうするのが自然な気がした。

『うん、そりゃ良いけど、ここからは気持ち良いだけじゃないよ?どちらかと いうと…痛いし苦しいかも』

拓海の顔には誇張した様子は伺えない。
勿論、脅すような感じも、ない。
ただ、事実だけを述べているといった感じだ。
私は息を大きく深呼吸すると、心を決めた。

『うん、我慢するから』
『あまり我慢しちゃダメだぜ?前も言った通り、素質ないと、キツイだけだから』

いきなり決心が鈍るコトを言う。
困惑した私の表情を読み取った、拓海は少し笑った。

『気持ち良ければ続ければ良いし、痛いだけなら止めれば良い』
『そ、そんな』

私は焦った。
だって拓海に見放されたら、多分一生、気持ち良いセックスへの扉は閉じてしまうから…。

『大丈夫!今回駄目でも、まだ手はあるから…。今回は気楽にしていて…』
『そ、そうなの?』
『あぁ、大丈夫』

そういうなり、拓海は私の肩を抱き寄せると唇を重ねた。

(拓海って…キスが上手い)

今更ながら、そう思った。
さっきは、ただただ気持ち良いだけで、上手いとか下手とか判別する余裕はなかったけど、今なら分かる気がする。
一度拓海の指技に因って、快楽に狂わされ、絶頂での恥態を晒した。
しかし一つ経験した分、少しだけれども余裕が生まれていて、キスの善し悪しを判断することが認識出来ようになったのかもしれない。

(勿論、自分の感覚と、つたない経験からしか推測出来ないケド…)

今までのキスはこれに比べて、ささやかな口づけだったり、まるで空腹の子供が食事を貪るような一方的なキスだった。

それに比べて拓海のキスは、とにかく優しい。
唇を重ねるだけではなく、甘く唇を噛んだり、優しく髪を撫でたり…、いやらしく無いキスを前提としている。
しかしそれは、焦らすようなキスでもある為、自然とこちらからエッチなキスを求てしまいたくなる。
今でも私の舌は拓海の舌に絡め取られたいと、期待している。
たまに瞬間触れ合う舌先が、私の身体をジワジワと熱くさせ、理性を溶かしていく。
キスだけなのに、感じさせられてしまう。
どんどん、拓海に逆らえなくなる、勝てなくなる。
でも、それが、気持ち良い…。

『んっ、はむっ、はあっ、んんっ、た…、たくみ』
『…んっ、なに?』

私の言葉に、拓海が少し間を置いた。
いつの間にか、どちらからともなく求め、舌と舌を絡める合う激しいキス…。
大きな吐息が漏れる。
お互いキスの最中は、鼻からの呼吸がほとんどな為、たまに唇を放し呼吸を整えなければならない。
その時、絡めた舌から伝う唾液が、糸を引くのは何ともエッチだったりする。

『拓海は、キスが上手だね』
『…っ!!』

拓海にしては、珍しく狼狽した表情。
だけど、それは一瞬のことで、少しムッとする。
ちょっと褒めて上げたかったのに…。

『意外と余裕あるね、姉さん…』
『え?余裕…ないよ…全然!』

私は慌てて頭を振った。

『ふ?ん、まぁ良いや』

キスが上手と言われて照れるなんて、可愛いトコあるよね。
やられてばかりの私が『クスっ』と笑った。
そんな拓海は、私を一瞬睨むと少し意地悪そうな顔付きになった。

『じゃ、姉さんココでよつんばになって』
『え?』

いつの間にか、手放していたタオルケットを胸元に引き上げた。

『「よつんば」って分からない?』

少し意地悪そうに拓海が微笑む。

『そ、それくらい、わ、分かる…けど』

そんなワンちゃんみたいな…、お尻を突き出すような格好…、恥ずかしくて…。

『出来ない?』

拓海はわざとらしく溜息をつく。

『ど、どうしても?』

想像しただけで、羞恥で頬が熱くなる。
もちろんそんな格好したことない。
元彼にだって…。

『出来ないなら、ここまでだけど…仕方ないね』

拓海はベッドから立ち上がった。

『待って!』

私は拓海のシャツの裾を慌てて掴んだ。

『なに?』

まただ…。
拓海は私がどう動くか分かっていて、そういう意地悪をする。
だけど私には、切るカードがない…。
まるで手内がバレたポーカーのように、絶対勝ち目がない勝負をしている。
私は真っ赤になった顔を拓海に見られないように伏せ、小さく、小さく呟いた。

『ゆ、ゆうとおりに、するから…』
『良いの?』

拓海が再確認する。
まるで、『俺が強制してる訳じゃない。姉さんが、そうしたいんだよね』と。
それでも私は…

『…うん』

私は、怖ず怖ずと拓海の目の前で、膝を立て、両腕をついた格好で、拓海の次の指示を待った。

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