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姉とにゃも?・終
2006-11-07 Tue 00:07
『駄目だよ姉さん、俺達姉弟なんだから…』

ドラマや漫画に出てくるような、そんな常識的な台詞なんて全く出て来なかった。
その代わりに聞こえたのは、姉さんの小さな喘ぎを含んだ吐息。
そして感じるのは、唇に触れる柔らかで甘く、濡れた感触だった。
優しく優しく、労り、愛しむようなキスを心掛ける。

『んっ、はむっ、…んはっ』

絶対『弟』には聞けない、『姉』の可愛い媚声に、俺は理性を抑えきる事なんて、出来なかった。
一度姉さんから唇を離すと俺は、『本気のキス…、していい?』と耳元で囁いた。
姉さんは、囁かれたのがくすぐったかったのか、竦めるようにキュッと肩を寄せると、こくんと小さく頷き、再び瞳を閉じた。
頬にうっすら朱を挿し、長い睫毛を震わせながら、俺に身を任せる。
俺は姉さんの僅かに開いた唇を、自らの唇で…塞いだ。

『んんっ』

たっぷり唾液を乗せた舌を、姉さんの口腔に滑り込ませる。
予期はしていたのだろうけど、身体はビクッっと震えた。
姉さんはそれでも怖ず怖ずと受け入れてくれる。
俺は、はやる気持ちを何とか抑えて、差し出された姉さんの舌をゆっくり、そして濃密に絡め取った。
姉さんの吐息、喘ぎ、肌から伝わる熱、舌を滑る感触…。
その全てが、俺の頭の中を熱を加えた蜜のように蕩かす。


最初は消極的だった姉さんも、次第に、熱心に自らの舌を絡めようと夢中になっているようだった。
見た目、ちょっと激しいだけのキスなのに、今まで感じた事も無いようなキス。
始めてのキスのように、体中にビリビリと衝撃が突き抜ける。

『んっつ、はぁ…ん、くふっ、ん、んんん?っ』

激しく絡めた最後に、こくんと姉さんの咽が鳴った。
口腔に大量に溜まった、お互い交換しあった唾液を嚥下したんだ。
ぶるるっと姉さんの身体が奮え、俺は唇を離すと、弛緩したように、ぐったりと俺に身体を預けてきた。
俺は、ぎゅっと姉さんの身体を抱きかかえた。
思いっきり抱いたら壊れてしまいそうだ。
それでも、俺はぎゅっと抱きしめる。
本当は、胸に抱くことすら、禁忌の存在なのに、その唇まで奪ってしまった事を、今やっと実感する。
このまま、その大罪を犯してしまって、良いのか…。
姉さんに、もちろん自分や、二人を取り巻くモノ全て否定してしまわないか?
それに、彼女を…、沙織を悲しませる事に、ならないか?
今まで忘れてしまっていた沙織の、悲しむ顔が浮かんでは消え、消えては浮かんだ…。
きゅっと胸が痛む。

『姉さん、ごめん、俺…』
『智也…』
『俺、やっぱり…、出来ない』
『…うん、そうだね』
『ホントに、ごめ…』

姉さんが、俺の唇を人差し指でそっと塞ぐ。

『智也、謝らないで、ね?私、嬉しかった、それに、元気…でたよ』

姉さんは、瞳に涙を溜めながら微笑んだ。

『姉さん…』
『だから、謝らないで欲しいの』
『うん…』

姉さんは、何もかも、お見通しだったんだろうか?
あのまま、俺が止まらなければ、姉さんは受け入れてくれていたと思う。
それは、愛や恋といったものよりも、どちらかといえば、血の繋がった『信頼』からだと思う。
俺は、そっと姉さんの身体を、この身から…、離した。



『姉さん、忘れ物ない?』

俺は、乾燥機でしっかりと乾かした服を着ると、背を向けたまま姉さんに話しかけた。

『うん、一つだけ…』
『え?』

俺は振り返って、姉さんを見た。
姉さんは、着替えを済ませると、さっきまで二人で居たベッドの上を見つめている。

『でも、それはここに置いていくの』

俺は、それが何か分かった。
この部屋を出れば、また今まで通りって姉さんは言いたかったんだと思う。
起こった事を無かった事には、俺には出来そうにないけど、努力しなくちゃいけない。
他人との関係は、朧げで、儚いモノかもしれないけど、姉さんとの関係は、そういったモノじゃ無いから…。
抗っても、否定しても、拒絶しても、決して変わらないモノ。
それを、胸の中にしっかりしまっておこう。
だって、俺達は紛れも無く『血』の繋がった姉弟なんだから…。



『…さん、姉さんってば』
俺は車のエンジンを切ると、帰りの途中でウトウトと眠りに落ちた姉さんを揺り起した。
久々に海なんて行って、はしゃいだもんだから、疲れてしまったのかもしれない。
お陰で、小説の良いネタも浮かんだし…。
(さすがに、自分をネタにするのは、ちょいと恥ずかしいけど…、まあ良いよね)
ただ当面は、寝ぼけた姉さんと、びっしょり海水と泥にまみれた助手席をどうやって綺麗にしようか…。
それが問題だった。

          【で、お知らせ…】

え?、このクダラナイ(とは思いたくないんですが)妄想に付き合っていただいた方、ありがとうございます。
もう、途中からお気づきでしたでしょうけど、にゃもの妄想です。
一話目の☆印から最終章の☆印の間は、フィクションです。
ただ、某読者様のように、実話なのか、小説なのか?どっちー?って思わせるのが今回のテーマだったので、そう思っていただければ、今回はにゃも的に正解なんです。
以前『にゃもの独り事』でコメントしたように、実際の姉とのこういった禁断な関係は、まずありえないと思います。
じゃないと、こういった小説なんて書いてる必要ってないんですよね。
現実に有り得ない(有り得にくい?)非現実的な題材によって、自分で楽しみ、同じ趣向をもった方にもドキドキしてもらう事が、本来のテーマなんですから。

PS,今回の事で、滞った『拓海と真紀』の最新版は現在トロトロと執筆中なので、近日中にUP予定です。
もしお待ちの方いらっしゃいましたら、ゴメンナサイ@@;
もちっと待ってね。




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