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2007-10-15 Mon 22:18
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目の前の可愛い男の子が、顔を浅く朱に染め…、そして舌に乗せた言葉は想いも因らない台詞だった。
『ごめん秋くん…、よく聞き取れなかったんだけど…。今…、何て言ったのかな?』 私が秋くんと呼んだ男の子は、更に顔を真っ赤に染め、可哀相なくらい動揺をあらわにしながら、もう一度口を開いた。 『だ、だから…、もし良かったら、なんだけど………、ぶら…、じゃー外す練習させてくれないかな…って』 ブラ? ブラって、ブラジャー? 下着の? それを外す練習って? ま、まさかぁ…。 いやでも、確かに聞いた。 秋くんは、確かに『ブラを外す練習をさせて欲しい』って言ったんだ。 この突拍子もない申し出を理解するのに、私は少しばかりの時間を要してしまった。 だって、そう言ったのは…、今まで目に入れても痛くないと思って可愛がっていた、実の弟なんだから…。 ほんの少し前… 私は夕食中、目の前の男の子が常に何かに気を取られているのだと、感じていた。 私は菅沼美月(すがぬま・みつき)二十歳。 県内の大学に通う二回生だ。 そして目の前の男の子は、弟の秋くん十五歳、中学三年生。 私は、秋くんが少し歳が離れている事と両親が共働きで忙しくしている為に、家の事は勿論、秋くんの面倒は小さい頃から私がずっと見てきた。 勿論その事で、年頃の女の子に通常あるべき自由な時間が失われる事は多かったけれども、不満に思った事は一度もなかったんだ。 そればかりか、クラスが変われば名前すら忘れてしまう希薄な人間関係を維持するよりも、弟の面倒を見る方が私に取って何倍も有意義な時間だったんだ。 だって…、だって秋くんったら、すっごく可愛いぃんだもん! 幼い頃の、アノはにかんだ笑顔や仕草に私はもうメロメロで、将来の美少年を予測するのは、全く簡単な事だった。 実際その予想は現実のものと成りつつあり、今では街中でスカウトされる事も珍しくはない。 でも性格は…、そんな事があっても擦れる様な事は無く、素朴で優しく、私に良く懐いてくれている。 だから私も秋くんのコトは大好きで、いつもそれとなしに気を配っていた。 だから今回の様に、秋くんの心の揺れ動く様というのは、ある程度見て取れるんだ。 『秋くん、ご飯美味しくない?』 『え!?』 『だって、お箸進んでないよ?それとも、体調悪いの?』 『ううん…そんなコトないよ、美味しいよ?』 そう言うと、秋くんは、さっきの三倍くらいのスピードで、ご飯を口に運んでいく。 (ん?、明らかに怪しい…) かといって、問い詰める訳にもいかない。 後でそれとなしに聞いてみようかな。 私は、残り一口になったご飯を口に運ぶと、秋くんの為に、お茶を入れ直した。 スポンサーサイト
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