ノッポ姐とチビ舎弟8
苔生した洞窟

   (一)


ファンタゴナの街、帝国の西側ではかなり大きな街である
街の一角を占める大きな三階建ての建物
帝国最大の規模を誇る冒険者酒場兼旅館である
この一階が冒険者ギルド
これまた帝国中で取り扱い依頼数最多を誇る
びっしりと貼り出された依頼書の中から
高報酬の依頼を発見し、眼を輝かすセライア姐がいた
「ライオン鷲が棲みついてる洞窟だと?
 それはいいことを聞いた」
「姉貴、いくらなんでも私達だけでは危険では?」
「そおっすよ
 さっき手に入れた火輪弓は
 ライオン鷲は熱耐性高いすから
 効き目が薄いんでないすか?」
「心配するな
 ミッセラおまえのタコ笛は確か氷術撃も出来たな
 ジェロム、おまえは眼くらまし玉投げ捲くり
 二人かかりで援護し捲くればどうにか倒せるさ」
「無茶言わないでよ姉貴
 この笛での術撃なんてタカが知れてるわ
 私の術力不足が原因だけど…
 とにかく、やるなら仲間を募ろうよ
 そうでなければ私は行かない!」
姉も強情だが、妹も一度臍を曲げると梃子でも譲らない
腹を立て初め、歯軋りを開始した姉に対し
妹はぷいっと膨れっ面で横を向いている
間でジェロムが冷や冷やしていた
すると、近くの席に座っていた二人組みの男が
立ち上がり、やにわに近寄って来た

「こんなとこで姉妹コントすか?
 それよりストリップショーが見たいなボクは」
背の低い少年がからかい顔で口を開く
姉妹と舎弟、一斉に声のほうを向く
セライア姐が最初に応える
「なんだ、おまえらは?
 つまらんちょっかい出すなら
 表に引き摺っていって、顎を徹底的に矯正してやるぞ」
「うひっ! おっかねえ女だぜ
 ベン、やっぱ、よそうぜ
 洒落の通じねえ連中とは組みたかねえや」
わざとらしく、びくつく姿勢を作ってみせる少年に対し
宥めるようにもう一人の青年が話し出す
「テッチノ、おまえの態度のほうが問題だ
 怒るのは当然だろう
 何度、初対面の者に対し軽々しい口を利くなと
 言えばわかるんだ」
うっ…と言ったまま斜めを向いてしまった少年
青年はセライア達の方に向き返りにこやかに挨拶をする
「相方がいきなり失礼いたしました
 横から話を聞いておりまして
 よろしければ、その依頼共同で受けませんか?
 実は我々も受けようと思っていたのですが
 二人きりでは踏ん切りがつかずにおりました」
セライアが口を開く前にミッセラが応える
「歓迎するわ、ベンさん
 それとそっちの彼も、いいわね?姉貴」
おまけ扱いされた少年と一方的に仕切られた姉が
むっとした表情を浮かべる
しかしセライアは二人を一瞥すると、
瞬時に決断する態度に改まる
コホンと一度咳払いすると二人に対し話し始めた
「あたし等はあくまでトレジャーハンターであり
 バウンティハンターであり、モンスターハンターだ
 外道な依頼は一切引き受けない」
ベン某が応える
「我らも一緒です
 以前は相方が少し悪の道に染まりかけていましたが、
 今は大丈夫です」
真紫の視線が相手の顔を一頻り撫でる
そして、ふっ…と鋭い眼差しが柔らかくなる
「そうか、では今回、パーティーを組むとしよう
 あたしはモイロ=セライア」
いとも簡単に相好を崩すセライア
妹と舎弟分に名乗るよう顎をしゃくる
「あ、俺はリンボル=ジェロムと言います」
「私はモイロ=ミッセラです」
「ぷっ… 本物の姉妹か? 全然、似てねえじゃん」
「いい加減にしろ! テッチノ!」
青年が少年をどやしつける
不意にミッセラが眼を細めてぽろりと溢す
「…トロゥ人にはろくな人がいないわね」
「な… なにぃ…」
からかい口調の少年の表情がガラリと変わる
テッチノは聖族人種のひとつトロゥ人であった
薄緑色の髪に尖った耳
そう、かつて、セライアを辱めた
『白昼の道化師』と同種族であった
「自分から煽りまくっておいて
 何、腹立ててるのかなぁ」
「ふざけやがって、このガキが」
「あんたのほうが充分ガキじゃないの
 頭悪すぎて話しになんないわ」
頭に血の上った少年が懐のナイフの柄を掴めば
対する少女の掌にボゥ!と炎色の光が宿る
それを見て少年の顔にやや驚きの相が浮かぶ
「…なんだ、こいつ… 術撃士かよ」
「やめないか!ミッセラ」
意外にも止めたのはセライアだった
「種族そのものを侮辱するのは言い過ぎだ」
「う…姉貴」
「へ、へへえ〜
 お姉さま、ものわかり良いじゃ… うぼっ!」
バキッ!と鈍い音が響く
横からベン某のパンチが飛んで来てふっとぶテッチノ
壁にたたき付けられ、そのままトロゥの少年は
伸びてしまった
改めてセライア達のほうを向き直すベン
「重ね重ねの無礼の数々、深くお詫びいたします
 こいつはお調子者でこんな言い方もなんですが
 久しぶりの美人の方々に照れていただけなのです
 口は悪いですが、決して悪人ではないので
 どうか、お赦しください」
「美人かぁ…
 方々というからに、私も含まれてるわけだね♪
 うん、私は許すことにする、ベンさんに免じて」
調子のいいミッセラに対し、セライアのほうは
観察眼をはたらかせていた
伸縮式の槍、ブランディストックに目が行く
「冒険者槍か、あんたは槍使いか」
「はい、私はハスカー=ベンイードと申します
 お察しの通り、幼少の頃より父につき
 槍の技を修練して参りました」
「術刻が施されているな、かなりの腕とお見受けする
 どうかよろしく」
「はい、こちらこそよろしく
 『紫レンズ』のセライア殿
 ご一緒出来て光栄です」
「やっぱ姐御のこと知ってたすね
 楽しくやってきましょうや」
ようやく口を挟むジェロム
同年輩と思われる、しかしはるかに背が高く、顔もよく
しかも戦士として腕が立ちそうな彼に
ずずいとしゃしゃり出て握手を求めた
「はい、ついさっき思い出したところです
 ジェロム殿もどうかよろしく」
「ところで、そっちの彼は?」
「ああ、こいつですか…」
一同、壁にもたれて気絶してる若者を見やる
ベンイードが近寄り、背負いあげた
「…彼はエリゼプランネクス=テッチノ
 ある事件が切欠で出会い、腐れ縁となって
 今に至っております
 今のところ、脚の早さ、すばしこさだけが
 身上ですが時に役に立つこともあります」
「何とも派手な名前だわ
 何よりも先に、性格を修正してもらたいわねぇ」
ミッセラが呆れた眼を細める
ベンイードが気絶してる相棒の肩を持った
「まあまあ、ミッセラさん
 そのへんで勘弁してやってくれないかな
 彼もこれで目が覚めると自己嫌悪しきりに
 陥ることが多いんだ
 そんなわけで、今日の所はこれにて
 では、明日朝、この場所でお会いしましょう」
立ち去る二人を見送るセライア達
ミッセラが口を開く
「姉貴、随分簡単に仲間入りOKしちゃったけど平気かな?」
「最初にOKしたのは、ミッセちゃんすよ」
ジェロムが、指摘されて思わず自分の口に手をやる
ミッセラにさらに御託を並べる
「この場じゃ言葉以外信用するものは無いっすからね
 後は野となれ、山となれ
 これぞ冒険マインドってやつっすよ」
「そういうことだ」
欠伸をしながらセライア姐が相槌を打った


 

   (二)


一行はファンタゴナから馬車で南西へ丸二日かけ
ノシュケの町に到着
ここからさらに徒歩で一日、現場である水晶川の
ほとりへ辿り着いた
ほとりといっても、川面から高さ50bは
あろうかという岩壁がそそり立つ断崖の渓谷
一行はその上から下の川を見下ろしていた
彼らの足元には直径三bほどの竪穴があり
かなり急角度で下へ、崖の中を通って
水面の位置まで伸びていた
この竪穴は人工のものであり
かつてこの場所は青色術気を含有する物質
天然の冷水晶の採取場であった
今ではすっかり採り尽くされ
苔と蔦に覆われるばかりとなっている
水面に降りるまでに崖の中腹を貫くように
換気と光取り用の穴が幾つか空いている
この一連の竪穴の一つにライオン鷲が
棲みついてるらしいのだ
「こんな水気の多い場所にライオン鷲が
 棲みついているというのか」
「ガセかもしれないっスねえ」
「しかし、ノシュケの住人からはかなりの目撃談
 が出ています」
「それにしても、すごい苔だらけだな」
「夜光性のヒカリ苔だ
 夜間の作業用に植えられた物がいまだに残り
 繁殖し放題になってる、お陰で足場がかなり悪い
 垂れ下がってるロープを伝いながら降りるが
 一緒に下がってる蔦を間違って掴むなよ
 それじゃ行くぞ」
セライア姐を先頭に、一行は緑の洞内へ
足を踏み入れていった


ライオン鷲は魔族の人造魔獣ではなく
自然の術気の影響により生じた天然魔獣である
一般に前者より後者のほうが強力で寿命も長い
しかし、魔物であることの性格的な特徴
無闇に生物を襲い殺傷する狂犬さながらの性癖は
まったく同じであり、放置しておけない危険な対象である
街の傍に出没した場合は軍隊が討伐に乗り出すが
このような人の通わぬ辺鄙な場所の場合は
人手不足という理由でモンスターハンターに
委ねられることが通例であった

ライオン鷲は体長3b余りの獣の体に
猛禽の顔、前腕には鋭い爪
背中には12bもの翼を持つ
体重比でハゲヒゲ鷲の約三倍
強靭な体力もさることながら、何より恐ろしいのは
強烈な電撃を四方八方に放射することである
但し、この攻撃手段を持つのは完全な成体だけ
またかなり接近されない限り使って来ない
弓や純術撃のような間接攻撃を行えるメンバーが
いれば凌ぐ事が可能
電撃をある程度軽減出来る装備を身に付けた
囮を立て、遠距離から撃破するわけである


「おっ!…と」
「おいおい、もう少し慎重に足を運べよ」
「すまねえな、ジェロさん」
緑の絨毯を敷き詰めたような急勾配
下へ降りていく一行、途中足を滑らしそうになる
テッチノを後ろからジェロムが肩を掴んで支える
そうしてる間に、洞窟の中ほどの踊り場のような
場所に降り立った
セライアとベンがライオン鷲の巣の形跡が無いか調べ始める
「羽根や毛は落ちてませんね」
「餌を持ち込んだ跡もない」
「糞尿は?」
「あのなテッチノ君
 ライオン鷲は巣の中じゃ用は足さねえよ」
調べる二人に、背後から眺める野次馬の言葉が混じる
「この穴には居ないな、それじゃ他回るぞ」
「姉貴、ここより下は見なくて平気?」
「この下は水かさが増すと、洞内が水を被る
 そんなところへは入り込まないさ」
「といいますか、下はいかないほうがいいでしょう
 ロープが切れてて降りたら登れませんよ」
再び一行は上を目指し始めた
今度はミッセラが先頭でテッチノ、ジェロム
ベンイード、セライアと続く
「ミッセラ、おめぇ、いいケツしてんな」
「バカ! 蹴っ飛ばすわよ!」
「冗談だよ、ひへへ…って、 おおっ!…と」
「ほら、ふざけてんなよテッチ君」
よろめいたテッチノを後ろからまたジェロムが押さえる
そして溜息混じりに自分も体勢を整えロープを掴み直す
「え? あわ!」
次の瞬間、ぶちっ!と掴んだ物が切れた
ロープと蔦を間違えて掴まってしまったのだ
「うわ!」「ばか…」
完全に体勢を崩したジェロムが後ろの二人をも
巻き込んで下へ滑落していった
「姉貴! ジェロさん!」「ベン!」
ミッセラとテッチノの呼ぶ声虚しく
まったく滑り止めの利かない洞窟の中を三人は
瞬く間に転げ落ち、ゴテン!という音に続き
バシャァ!という水の中に落ちる音が遥か下方で響いた
慌てて来た道を戻るミッセラとテッチノ
先ず、先ほどまでいた踊り場で倒れてるジェロムを発見
他の二人はさらに下まで落ちたようだ
「あんた、ここで待ってて 見てくるから」
テッチノに告げると、ミッセラはタコ笛に
アタッチメントを組入れ、ふぅ〜…と吹いた
フワリと浮き上がるミッセラ
「おまえ便利な物、持ってるな」
感心する彼を他所にさらに深い場所へ降りていった
「あれ? 二人ともいない… きゃっ!」
脱ぎ捨てられたベンイードの服を見つけ飛び上がる
最下部にいた姉が川に落ち、
それを彼が助けに行ったことが一目で察せられた
すると間もなくざぱっ!と音がした
「う…」
姉を抱えて水から上がって来たベンから眼を逸らすミッセラ
ベンはまったく意に返さず話し掛ける
「彼女の道具も流されちまった
 もう一泳ぎ探しに行って来るから
 ミッセラさん、彼女から濡れたもの脱がせて
 毛布で包んでおいてくれないかな」
そう言い残すと、再び川の中に身を投じて行った


 

   (三)


しばらくしてベンイードが水から上がって来た
眼を逸らす二人の女性
「ふぅ… 弓は拾って来れましたけど
 矢筒やら鞄は見つけられませんでした」
「そうか… 手を掛けさせて本当にすまぬ」
セライア姐は目を伏せたままベンのほうに向き直し
深々と頭を下げた
同時にミッセラに話し掛ける
「そういうわけだ
 ロープ矢も流されちまった
 あたしらは当面、ここで足止めだ
 それでおまえ、一度、町に戻って
 長めの縄梯子を取りに行ってくれるか」
「わかった姉貴」
すると遥か上のほうから気絶から回復した
ジェロムの声が響いてきた
「あねごーーー! す! すんませんーー!
 今、いきやーーす!」
「ばかぁ! お前が来たところでどうにもならーーん!
 ミッセラ達と、一度町にもどれーー!」
「うぅ… あねごぉ」
「おーーい! ベぇーん! 無事かぁーー?」
「おぉ! 俺は平気だぁーー!」
一通り無事の確認が済み、間もなく洞窟内は静かになった
二人きりになった洞窟の底
ざぁ…と流れる川音を聞きながら、
セライア姐がぼそりと呟いた
「初っ端から下手うっちまったね」
「泳げなかったとは存じませんでしたよ」
「誰だって不得手はあるさ
 いや、忝い あんたは命の恩人だ」
「…寒く、ありませんか?」
ベンイードは少し照れた表情で誤魔化すように尋ねた
「あんた、いい奴だね」
照れ性と知った年下の青年にセライア姐から笑みが漏れる
ベンイードはいよいよ顔が赤くなっていく
それを見せまいとするように川面を向いた
「ミ… ミッセラさん達はどれくらいで戻るでしょうか」
「夜通し歩いてくれれば、明日の今ごろだね
 まあ丸二日はここにいる腹で正解だろう」
「二日ですか…」
「まあ、慌てないことさ」
この手のことには馴れっこのセライアが欠伸をしてみせる
そして、再び流れる沈黙
ベンイードも決してこのような状況に不慣れでは
ないものの何故か落ち着かない
槍を手に取り、折り畳み式の柄を目一杯伸ばした
そして川面を見つめ始める
ひゅっ!と槍先が一閃したかと思うや水しぶきが立つ
そして引き上げられた槍先にはばたつく小魚がいた
思わずセライア姐は感心する
「ほお! 上手いもんだな」
「重要な食料調達手段です
 何なら、泳いで川の中のやつも…」
「やめておけ」
傍らで服を乾かし、毛布を纏ったセライア姐が
徐に立ち上がり、水面近くまで寄った

「あんたには見えないかな」
「え?」
「向こうの崖までの途中、少し岩が頭を出してるだろう
 あの影に鋸ナマズがいる
 7bやそこらありそうな奴だ」
「そんな… よく見えますね さすが『紫レンズ』…」
「あたしら相当やばかったってことさ」
国内有数の大河である水晶川
透明度は精々2bくらい、並の目では
ただ濁った流れが見えるのみ
彼女は桁外れの遠視能で、淀みの中にちらりと
見え隠れする微かな魚影を捕えていた
セライアはこっちに来て落ち着いて座りなよと手招きする
「この辺りは冷水晶が採れなくなったとはいえ
 青術気が濃い場所であることに変わりない
 あんな化け物が水の中を右往左往してる」
「…7b級じゃ、さすがに手に余ります
 4・2bの奴を仕留めたことがありますが」
「ほぉ…」
感嘆に続いてセライアの口から
負けじと魔物退治の武勇話がこぼれる
しばし冒険話で盛り上がる二人であった


   (四)


洞窟の上から射す日の光が弱くなると同時に
周囲の苔がぼんやりと光を放ち始める
「なんだか返って夜のほうが明るいですね、眠れ無さそうだな」
「それなら寝なきゃいいのさ」
ベンも自分の鞄から毛布を取り出し、苔の絨毯の上に広げた
緑のベッドはふわふわで冒険者用の防水毛布を挟めば、
下手な宿の寝床より寝心地良さそうであった
実際、冒険稼業の彼等に寝るのに明るさは関係ない
ベンイードにとって寝付けなさそうな理由は他にあった
「あんたは女はいないのかい?」
「今はいません、セライア殿は?」
唐突なセライア姐の問い掛けに
声だけは平静さを装い即答し、さらに問い返す
「特定の相手はいないな」
「そうですか
 てっきりジェロム殿と深い仲なのかと思ってました」
「深い仲ではあるよ、特に最近はね
 あんた達と会った日の夜も宿でたっぷりとお愉しみだったさ」
直な女の物言いに、唾を呑む音を堪えることが
出来ない青年であった
彼の頭の中で何がよぎっているのか
じっと見つめる真紫の瞳には全てお見通しであった
「そんな水際にいないでこっちに来なよ
 水から顔出した鋸ナマズに食われちまうよ
 あんたは命の恩人だ、構いやしないさ」
聞こえない振りして横を向くベンイード
惚れっぽい性格であることを大いに自覚してる彼は
必死に何やら耐えてる様子であった
「あんた、女は今はいないと言ってたけど昔はいたのかい?」
「…最初は娼婦でした」
初めての相手であった娼婦に惚れてしまい
さんざん貢がされたこと
人妻に惚れ、相手の男に半殺しにされたことを
ぼつぼつと話し出すベン
そして、これは口に出さなかったが年上の女性はもう懲り懲り
年下の妹みたいな娘を可愛がり、守ってやりたい
そんな気持ちが彼にはあった
「そうかい
 あんたは何時まで冒険者稼業を続けるつもりなんだい?」
「え? 当分続けます
 一生続けるかもしれません」
いきなり質問の筋が変わり、ベンは拍子抜けしながらも
少しほっとしたように答えた
「それならしょうがないね
 もういいから、こっちに来なよ そこは危ないからさ
 あんたが死んだら、テッチに申し訳が立たないよ」
「え、はい、では…」
ベンはセライア姐の声色から誘惑をやめたと判断し
水際から、彼女の脇に移動した
そして次の瞬間、やられた!と思い知るのであった
もふ…と苔のベッドに寝転んだ瞬間、隣の女身が
もぞりと己の毛布から抜け出して、彼の毛布の中へ
最初に手を、次いで足を、そして体までも…
「セ… セ… セライア…殿……」
「冒険者同士なら仁義がある
 命を助けられたら、せめてこのくらいは
 返さないと義理が立たないのさ」
わけのわからないことをほざく女の唇が
圧し掛かられ、期待と不安に打ち震える男の唇に
すぅ…と降下して行った
ぬちゅぅ… 湿った唾を飛ばす音が響き始めた

「ん! …ふぬぅ……」
…これだ、女の口の感触だ…
今までさんざん自分を翻弄した年上女の唇
またしても、自分を…
ベンイードは、誘惑に負けてたまるかと口を固く閉じる
セライアの唇が、何時まで持つかしら?と
からかうように彼の口にへばりつき
舌先が閉じた唇の継ぎ目をちろちろと舐め回す
…ふぅ! ふんぅぅ!…
呼吸が口で出来ない分、異様に鼻息が荒い
彼女の髪や肌の香りが容赦なく鼻腔に流れ込む
ふっ…と息苦しさが限界に達し
薄く口を開いてしまうベンイード
それを待っていたかのように、それまで口の周りを
べろべろと嘗め回す、ぬめった感触が
ちゅるりと割り入って来た
「ふ! ぐぅ…」
女の舌に歯茎をくすぐられ、浮いた歯の隙間から
遂に口の中へ差し込まれる
うっすらと眼を開けると、その僅か数a上で
真紫の瞳が、もう観念しなと呼び掛けるような
妖しい光を放っていた
…なんという…甘い香り…
口の中をくすぐる女の舌に吸い付いていく男の舌
ぬちゅりゅ……たっぷりと唾液を含んだ舌同士が絡み合う
自分よりほんの僅か背丈も歳も上の女からの
熱の篭った口付けに頭の中が熱くなっていくベンイード
ちゅぱっ… ちゅうぅぅ…
「たま…ら…なぃ……
 セラ…イア…どのの…口の味……」
久しぶりの甘く香る、女の唇と舌の味わい
互いに巻きつけ合い、夢中で舐め扱きあう
容赦なく喉に鼻の奥に流れ込み、男の頭の中を
興奮の色に染めていく

ぬろ…と糸を引きながら、ようやく解放されるベンの口
すっかり緩み、自身とセライアの唾の混じった涎を
たらりと垂れこぼしていた
そんな彼の顔をじっと見つめながら、毛布の中では
彼女の指がごそごそと動いていた
まるで蛇に睨まれた蛙のよう
女の指にされるがままに脱がされ、
バサリ、バサリと毛布の外に着ている物が
放り出されていった


   (五)


ぼんやりと翡翠色に明るい洞窟の中
川のせせらぎに混じり、ぴちゃぴちゃと舐め回す音がする
輝く天然の絨毯の上、浅黒い男の肌が白い女の肌の上を這いずるように蠢いていた
ベンイードの顔がセライア姐の胸の中に埋まり彼の舌が、彼女の敏感な頂きを摘み取っていた
…やわらかい…セライア殿の肌…勇猛な戦士とは…思えぬほど……
夢中で乳房を貪られる当のセライアは、男の髪をやんわりと撫でながら、時折、うぅ…と
艶かしい息を漏らす、その声はベンの頭の中で響き愛欲を増幅させる
…この声…この香り…この手触り…
胸を弄りつつも押さえつけるように触れている彼女の肉体のどこか
押さえつけながらも、すりすりと摩らずにおれない
…なんという女の体の甘い心地良さだ……何度もこれに苦しめられて来たのに…
ベンの頭がゆっくりと下へ移動していく
しなやかな腹筋の上をなぞり、臍をほじり、腰の稜線を伝いながら、長い長い脚へ



…噂で聞いていた紫レンズの脚…
実のところ、ベンは初見から既に瞼に焼き付いていた
…ここのところだけ少し日焼けしている…
パンツとブーツの間から覗いていた白い部分
しかしいざ一切の遮蔽物を取り除いた隠れていた部分は尚更白かった
…この脚を、これまでどれだけの男が……こんなふうなことを……
男の為すがままにさせるべく脱力した長美脚
ベンはその一本を持ち上げ、自らの首にしゅるりと巻きつけてみた
太ももの感触と匂いが彼の頭を取り巻く、そして残りの一本に顔をつけ頬擦りする
…ここもいい香りだ…
男の舌が伸び、女の太ももがひくんと震える
「あぁ…ん…」
セライアの感じ易い場所が唾液に塗れていった
くすぐったげに捩れようとするしなやかな曲線のオブジェは抱えられ
生温かいナメクジが太ももの表側から膝を通って、ぐるりと脹脛に回り込み、
たっぷり足跡を引いた後、折り返して太ももの裏から尻へと這い上がっていく
セライア姐は裏返しにされた、そして、むぐっと尻に被りつかれた
…こんなに引き締まった女の尻は見たこと無い…固そうだと思っていたが、ぜんぜん……
ベンの顔と手はセライアの尻の弾力性とすべやかさを堪能する
「う…ふん」また、くすぐったさにセライアが腰をよじる
その度、むちっむっちん…と形のいい尻タブが弾みベンの顔を叩くのだった
尻の割れ目、彼女の呼吸に合わせて収縮する穴
…こんな綺麗な人でも臭いものをひり出す…それ故、愛おしい…
ベンは匂いを鼻一杯一度だけ嗅ぐと、もう一度セライアを表に返した
青紫の茂みに囲まれた股の付け根、彼女の最も芳しい部分が、ベンの鼻の下にあった
男を誘う淫らな液が微かに体の内と外の境界に滲んでいた
吸い寄せられていく彼の顔
…父さん…僕はつくづく駄目な男だよ…また同じ過ちを犯そうとしている…
ベンは彼女の下の唇の香りを数秒嗅いだ後、神聖なるこの場所にそっと口付けをした
「うっ…」
セライアの身がぴくんと軽く反る、ベンイードの顔がその股深く沈んでいった
じゅる…ちゅるぅ…「は! あぁぅ…」
男の顔と女の股座が深く接吻を交わす、セライアの上の口からは嗚咽が漏れた
淫らな女の陰の唇は、男の唇に咥えられ舌で割られて、内側を啜られた
これから情を捧げるべく敬愛を表す男の鼻を青紫の縮れた茂みがくすぐった
やがて、数本の毛を顔に張り付かせた血走って潤んだ目が、女の股から真っ直ぐ
這い上がってきた
彼の唾液と手垢でやや紅潮した白い肌を浅黒い厳つい体躯が平行に覆う
真紫の瞳も吊り眼の目尻を下げ潤んでいた
見詰め合う潤みあう目、熱い鼻息を吹きかけあう
セライアの指が男の股間に触れる、固く隆々と怒張した物が確認された
「セライア殿… セライアさん… 俺は… 私は… ぼくは…
 もはや… あなたを…愛さずに…おれない…」
セライアは指で掴んだ脈打つ物を自らの股に誘導しながら白い歯を見せる
「…来な …ベンイード」
静から動へ、それまで興奮しながらも、震えながらセーブを続けていた男の動きが堰を切った
ベンイードの両腕が、セライアの両足をぐわっと大きく広げる
男の肉の穂先が割り込むようにその開いた真ん中に宛がわれる
男の固い腰が女の柔らかい腹の内側へ、ぐぐっ!と熱した剣身を挿し入れる



「うっ! くぅ…」
ベンイードの固い脈打ちがセライアを貫いていく、一瞬の出来事でありながら長く感じる瞬間
セライアの鞘口の中へずぬずぬとベンの剣身が収まって行く
やがてセライアの体は一番深い場所まで隙間無くベンイードを包む鞘と化した
…はぁ はぁ… とうとう…入って…しまった…セライアさんの…体……
…ふぅ… ジェロ…また、あんた以外の男に…ハメラレちまった…
深い結合に至って僅かな感慨ののち馴染ませあう動きへと移っていく
ず…… ずず… ずぷ… ずぅ…
「ん あ あぁ… ベン…イード……」
「ふぅ うぅ セ セライアさんと… 噂の… 紫レンズと… お、おれは…
 体で! …愛しあっている!」
ずっぷ! ずぷぅ! 端から逞しい律動で男は女を打刻にかかる
あっという間にセライアの肌は波打ち、乳房が揺れ弾まさせられる
性急な男の腰の動きに女から喘ぎが漏れ出す
「あ! あぁ! ちょっと! はげし…」
「ん! んぅ! セラ…イア…さんん! ぼくの心を… あなたに… ささげます!
 だ…だから あなたのこの身… ぼくの! ものに……」
ベンイードの一方的に刻む動きが加速する、一刻も早く自分を貴女に染みつけたい、
一刻も早く貴女を自分に染みつけたい、その一心で、セライアをがつがつと突き上げる
「ん! ぐ! そ、そんな! あせる…な」
舌を噛みそうなセライアの声を無視して強引な抱擁を続けるベンイード
…だめだ! もお! とまらない! あなたに! あなたに! 早く!早く
…ぼくの…想いをぉ!……
ずぷ! ずぷん! ずぷ! ずぷぅ!セライアにしがみついたベンイードの腰が
必死の勢いで振られる、大きく開いた彼女の身で貪欲に扱き、その一番奥底をいよいよ熱く
固くなった穂先がしきりに叩いた
「あ! あぅ! 出す… 気! なんだね…」
己の胎の中の様子から察するセライア姐、彼の熱情を受け止める心を決める
…う! う! で! でそぉ! …だ! ださずに! おれ! ないぃ!
折り曲げられたセライアの身を打ち捲くり、快感の摩擦が最高潮に熱したベンイードの腰が
彼女と骨盤同士噛みあうように圧着した
「う…おぉ!」
低い唸りと共にぶるぶると戦慄き、押し潰すように繋がった部分を通って
彼女の内側へ流れ込んで行く
どぽ! どくぅ… セライアの胎の中で迸るベンイードの濁った滾り
「ん……」眼を細めるセライア、己の胎内で繰り広げられる性の極みに肌をぴくんと震わせる
男は女の体に溜まり切った濃い匂いを忙しく吐き出し、ふぅ…と溜息をついた
「どうだった? あたしの体」
セライアの頬にベンイードの汗が垂れ落ちる
「はぁはぁ… さ…最高でした」
そう言いながら、ろくに萎えていない物を抜こうとする
そこへ、長い脚がぐるりと巻きついて再び己の体内に挿し戻した
「う… セライアさん…」「勝手に出して、勝手に離れる気かい?」
次の瞬間、彼の返答を待たずに耳を掴まれて顔を引き寄せられ、
ごろりと体を入れ替えられて熱い接吻を施される
…もう少し… のんびりと愉しまないとね<…時間はあるんだからさ…
口の中で囁かれる
長く深い接吻から解放された頃には、繋がった部分はすっかり勃起を取り戻し
鞘を内側から圧迫していた
「うぅ… セライアさん…」
「さて… あたしら、すっかり馴染んだみたいだし
 今度は、たっぷりと味わいあう番だよ…」
「は… はい…セライアさん」
蠢き出す男女の肉体、熱くなった体は毛布の中から苔の上に転がり出た
翡翠色に輝く天然のベッドの中、男の腰が女の腰に圧し沈む度、
もふんと苔のベッドに女の尻型が深く押される
「あ! あ! この… もふ…もふした… 感触…が」
己の内側を擦る熱い脈打つ感覚の強弱に併せて熱した肌を撫で摩る湿ったもふもふ感
病み付きになりそうな絶妙さにセライアは甘い息を吐き捲くる
ずっ! ずっ! もふん… もふん…
セライアの顔に似合わない色っぽい喘ぎにベンの腰がまた忙しくなっていく
今度はセライアも同調して、尻を振り立てる
「う! おぉ! セ! セライ! アさ…!」「あ! あは! ベン! イー! ドォ…!」
ぱちゅ! ぱちゅん! ばふ… ばふぅ…
烈しいまぐわいに光る苔が飛び散る、全身苔塗れになった二人が獣の如き動きと咆哮を響かせる
一瞬の甲高い絶叫、そして低い唸り声、がくがくと性の極みに達する苔男と苔女
「ん… んぅ… まだ… 出さずに… お…れ…なぃ」
「あ… はぁ… 腹の奥… しび…れる……」
ベンイードはセライアの胎にへこへこぐりぐり腰をめり込ませ、貪欲に精を射っていた
じーんと烈しい性交で痺れる子宮にたんまりと熱く濁った印を刻み付け
萎んだ男の剣は鞘を後にした
「…二度も出してしまいました」「満足したかい?」
大股開きで苔の上に寝そべるセライアを見やるベンイード
翡翠色に輝くベッドの上、反射して輝く白い肌、ところどころ千切れた翡翠色が塗され神秘的な風情
唯一、彼女の薄紅色の陰の唇が垂れ溢す、己がさんざん吐き出した濁液だけが
滑稽な卑猥色を添えていた
吸い寄せられていくベンイード、今一度合体したいわけではない
とにかく触れてみたい、ただそれだけのこと
姉に甘える小さな弟のように、彼はセライアの肌に身を沈めた
「したくなったら、何時でもいいよ ただ一つ、約束して欲しいことがある」
「何でしょうか、セライアさん」
「妹には、ミッセラには手を出さないでくれ」
「僕は、私はあなた一筋です」
余りの惚れっぽさにやや呆れつつも、ふっ…とした表情を浮かべるセライアであった




   (六)


夜の道を三人の若者が通って行く
「…ねえ、ジェロさん いい加減休もうよ…」
「君らだけ休みなせえ、俺は一刻も早く町に戻るっす」
「だからさミッセラ、俺達だけここで野宿…」
「いやよ! あんたとなんか!
 何されるかわかったもんじゃない!」
言い合いしながらも歩きづめていた
そんな彼らを上空からじっと見つめる眼があった
「あぁ… もお足が限界だよ…」
「あれ? 今何か頭の上を通ったっすね」
「うん、デカイ鳥だったぜ…」
一同足を止める、全員に冷や汗が浮かんでいた
そして判断するが早いか、道の脇の茂みに飛び込んだ
「ラ… ライオン鷲…」
「本当にいたのかよ…」
「夜間、うろついてるとは珍しいな」
バサバサ!という凄まじい羽音が近づいて来たと
思うや、木々が台風のように揺れる
「うぐ!」
「きゃぁ!」
「くそ! ベンも姐御もいない時にどうすりゃ!」













とにかく何もしないでやられるわけに行かない
ジェロムはミッセラに目配せすると
相手の目を一時的に潰す、眼晦まし玉を
森の中をうろうろしてる巨大な影目掛けて投げつけた
ぱぁ!と周囲が一瞬明るくなり
ライオン鷲は驚いたような様子を見せていた
そして、そいつには鬣はなかった
視界を失いキョロキョロしてる化け物に対し
ミッセラが呪文を唱える
掌に宿った炎色の光が、化け物の体に乗り移る
ボワァ! 炎に包まれるライオン鷲
羽根をバタツカセもんどりうつ
「効いてる… よし!」
電撃を発する様子も無く明らかに亜成体である
事を確信するとミッセラは深呼吸して
さらに気を練る、彼女の両手が赤々と光で染まる
「ヤァ!」
気合とともに手に宿った光を対象に投げつけた
ボオゥン! グワァァァ!
火達磨になるライオン鷲、肉を焦がす匂いが
辺りに充満しはじめる
「…すげえ」
「テッチ!感心してないで!
 これでもまだ止めにはならないわ!
 炎が消えたら、あんたのナイフで
 止めを刺すのよ!」
「え? えぇ! お、俺がかぁ!」
「そうよ!
 私にはもう術力が残ってない
 火が消えれば、あいつはほとんど動けないはず
 あんたの… 聖人族の足なら反撃受けずに
 喉を掻き切れるでしょ
 そうしないと、あいつは数時間で
 復活しちゃうわ!」
「うぅ… くそ! やるしかねえか…」
ブスブスと煙が上がり燻る化け物
まるで身動きを取れないでいる様子
「い… いくぜぇ!」
掛け声は一人前、しかし腰から下はへっぴり腰のテッチノ
この調子から進展しないこと数分
「ちょっと、こっち向いて…」
「え? おぅ! む……」
振り向いたテッチノの顔に重なるミッセラの顔
くちゅ!という湿った音と、軽く歯の当る音
「お! ミッセちゃん、大胆だぁ」
ジェロムの観察してる前で、少年と少女の唇は
咥えあっていた
「ん… ふぅ〜…」
咥えあいながら二人の頬が紅くなっていく
紅くなりながらさらに深く咥えあう
ミッセラのほうが一段積極的、
テッチノの口の中に先に舌を忍ばせていった
「すごい… 舌絡ませあっちゃって…」
ライオン鷲そっちのけで見入るジェロムの前で
二人の張り付いた口の中、
くちゅくちゅと舐め扱きあう音が響き、
互いの頬が舌の動きに併せて盛り上がって蠢いた
そして少年側の喉がこくん…こくん…と鳴る
背丈は同じくらいの二人、
ミッセラの唾液がテッチノの喉奥へ流し込まれていた
「ん… みっしぇ… ら〜…」
「てっ… ふぃの… ゆふき… だしふぁさひ」
(てっちの、勇気出しなさい)
ミッセラの言葉が、甘酸っぱい息とともに
テッチノの頭の中を駆け巡る
ぷは…!と息を吐きながら離れる二人の口
伸ばしたままの舌同士が引いた糸がたらりと喉を濡らす
「おまえ… 唇、柔らかすぎ…」
「…さっさと行きなさい、男でしょ」
「行ってくるぜ…」
ミッセラから離れるとテッチノは一度深呼吸して気を練った
ナイフを抜くや否や、ひゅん!と跳躍
人間族では真似の出来ない駿足が動けないライオン鷲に
襲い掛かった
「とりゃ!」
ブスリ!と化け物の喉に深々と突き刺さるダガーナイフ
そのまま横へ一気に挽き切る
クエエェ…
力無い断末魔の鳴き声を残し、魔物はどっと倒れた
「随分痩せてるな、相当腹が減ってたんだな」
「ジェロムさんでも止め刺せたかも
 キスしちゃって損したかな」
「ま、そう言うなよ、マイハニー」
「調子に乗ってんじゃない!」
緊張が取れた三人はぐったりとへたり込んだ


(8話終わり)


幻想系成年文書処 四然堂
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