東京・六本木のクラブで昨年９月、男性客が目出し帽をかぶった男の集団に金属バットなどで殴られ殺害された事件で、警視庁は９日までに凶器準備集合罪の疑いで暴走族「関東連合」（解散）の元リーダー・石元太一容疑者（３１）＝詐欺罪で起訴、公判中＝の逮捕状を取った。石元容疑者はクラブの構造に精通しており、集団を手引きしたとされる。
事件は昨年９月２日未明に発生。目出し帽をかぶった男が次々と飲食店経営・藤本亮介さん（３１）を襲撃し、金属バットなどの鈍器で殴り続け、殺害した。防犯カメラの映像では、実行犯の男たちは示し合わせたように、六本木のクラブ近くに集結。非常口から侵入し、藤本さんを襲ったとみられる。
関東連合を知る関係者によると、石元容疑者は襲撃には加わっていないが、事件前に実行犯の男らと連絡を取り合っていた。石元容疑者は「数人しか知らない」というクラブの非常口の場所などを把握。「道案内役」を依頼されていた可能性があるという。
事件で逮捕状が出ている容疑者は石元容疑者を含め１７人。うち７人は中国、米国などに出国し、昨年１２月に旅券返納命令が出ている。犯行グループは藤本さんを襲撃後、ワゴン車２台に分乗して逃走しており、警視庁では所有者だった東京都渋谷区の会社に家宅捜索に入り、捜査を進めていた。関東連合は韓国、フィリピンなどにも拠点があるという。
石元容疑者は、２０１０年に歌舞伎俳優・市川海老蔵が港区の飲食店で暴行されて重傷を負った際に同席したとされる。海老蔵事件では、重傷を負わせたとして別の関東連合出身の男が傷害容疑で逮捕されている。その後は俳優デビューを宣言したが、すぐに振り込め詐欺などの疑いで４回逮捕、起訴され、現在も勾留されている。
関東連合はもともと暴走族の連合体だが、２００３年ごろに解散。上部団体として位置づける暴力団の組員になる場合もあるが、振り込め詐欺に手を染めることもある。元幹部の命令は絶対服従という。