海老ボコ元リーダー　六本木襲撃で逮捕状

　東京・六本木のクラブで昨年９月、男性客が目出し帽をかぶった男の集団に金属バットで殴られ殺害された事件で、警視庁が凶器準備集合の疑いで、暴走族「関東連合」（解散）の元リーダー石元太一容疑者（３１＝詐欺罪で起訴、公判中）の逮捕状を取ったことが９日、分かった。事件の前後、同容疑で逮捕状が出ている男らと連絡を取り、現場近くに行った疑い。現場近くの防犯カメラに、石元容疑者の姿が写っていた。近く逮捕に踏み切る方針。

　逮捕状は７日付。捜査関係者によると、石元容疑者は事件の前後、同容疑で逮捕状が出ている男らと連絡を取った上で、都内の自宅から、タクシーで事件現場のクラブ「フラワー」（当時）の近くに行った疑いが、持たれている。

　逮捕状の決め手となったのは、現場近くに設置された防犯カメラに、男らと接触する石元容疑者の姿が写っていたことだった。

　既に公開された防犯カメラの映像には、男らが乗っていたとみられるワンボックスカー２台から降りて、店に向かう様子が写っていたが、関係者によると、この２台とは別の高級外車が、近くに止まっていたことが分かった。この外車の後部座席で、石元容疑者が男と何かを話している姿が写っていたという。

　警視庁は、石元容疑者が事件について何らかの協議をしたとみて、事件への関与が強まったと判断。近く逮捕に踏み切る方針だ。

　事件は昨年９月２日未明、同クラブのＶＩＰ席で起こった。友人らといた飲食店経営、藤本亮介さん（当時３１）が、店内に突然入ってきた目出し帽の男らに金属バットなどで殴られ、死亡した。

　今回の事件で逮捕状が出ている容疑者は、石元容疑者を含めて１７人。うち７人は、事件直後に中国やハワイなどに出国したことが判明し、警視庁が行方を追っている。昨年末、警視庁の要請を受けた外務省が、パスポートの返納を求める命令を出し、今月２２日の期限を過ぎるとパスポートが失効し、不法滞在となる。

　石元容疑者は昨年８月２２日、自伝出版と俳優デビューの会見を開いた。しかし、六本木の事件直後の同９月８日、他人名義でマンションの賃貸契約を結んだとして、詐欺容疑で逮捕された。その後も、ネット上に「パチンコ必勝法を教える」と、うその広告を出し、登録料の名目で現金約４１７万円をだましとったなどとして、同１１月までに、詐欺容疑でさらに３回再逮捕された。起訴され、現在も勾留中だ。

　昨年１２月に東京地裁で行われた、パチンコ虚偽広告に関する初公判では「全く身に覚えがない」と起訴事実を否認し、無罪を主張した。

　◆石元太一（いしもと・たいち）１９８１年（昭５６）１２月１３日、東京・浅草生まれ。関東連合系の暴走族、千歳台ブラックエンペラーの元リーダー。１０代の大半を少年院などで過ごす。暴走族引退後は、広告代理店などに勤務。１０年１１月のいわゆる「（市川）海老蔵殴打事件」で現場に同席していたことで名前が知られる。１２年に総合格闘技ジムを東京・渋谷に開業。同８月には自伝「不良録」を出版、俳優転身を発表するなど積極的にメディアに登場した。その後、パチンコ攻略法詐欺事件で逮捕、昨年１１月３０日に追起訴された。

　［2013年1月10日9時7分　紙面から］