できごと【桜宮高2自殺】大人の失敗、背負わせて良いのか…橋下市長の対応に疑問2013.1.17 01:00

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できごと

【桜宮高2自殺】
大人の失敗、背負わせて良いのか…橋下市長の対応に疑問

2013.1.17 01:00 体罰問題
 高2男子自殺問題で記者会見する橋下徹大阪市長=15日夜、大阪市役所

 高2男子自殺問題で記者会見する橋下徹大阪市長=15日夜、大阪市役所

 橋下徹・大阪市長の市立桜宮高の入試をめぐる対応には疑問を感じざるを得ない。

 責めを負うべきは自殺した生徒を指導したバスケ部の顧問であり、事後の対応を誤った学校や市教委だろう。大人の失敗の責任を子供に背負わせるようなやり方はいかがなものか。

 本番を目前にした今、桜宮高の入試を中止し、合わせて他校の定数をいじるようなことは混乱を招くだけだろう。特に体育科を志願する生徒は学校の特色をみて志望校を選んでいる。いきなり志望校変更を強いられる生徒たちの困惑ぶりが目に浮かぶ。入試は例年どおり実施すべきだ。新年度までに調査を終え、人事も刷新して新入生を新生桜宮に迎える。それこそが目指すべき方向と考える。

 市教委が決めたバスケ、バレー両部の無期限活動停止も同様だ。そもそも部活は体育科にとって必須。2年生で来年度に大学推薦入試を受ける生徒への影響は決して少なくない。大学進学を視野に入れて桜宮に入学し、日々努力してきた生徒も多いはずだ。スポーツにかけた生徒たちの夢を壊していいわけがない。現在の顧問を外し、後任を決めて一日も早く活動を再開させる、生徒の教育を受ける権利を守ることに為政者や行政は全力を注ぐべきではないか。

 橋下市長の「生徒、保護者の意識を変えないと再生できない」「校風、体質を一回ゼロにする」といった発言にも引っかかるものがあった。

 「ゼロ」というキーワードを聞くと、橋下市長が労働組合や文楽協会など“敵”を明確にさせて進めてきた市政改革を思い出す。今回の問題をきっかけに、学校現場、教育行政の病巣にメスを入れるという狙いは理解できる。が、そこに生徒を巻き込んでいいものだろうか。今、守るべきものは何か、考えてほしい。

(社会部長 安東義隆)

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