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[2010年11月30日:更新]
[2010年11月11日:公表]

二酸化塩素による除菌をうたった商品
−部屋等で使う据置タイプについて−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文(PDF)」をご覧下さい。

 新型インフルエンザの流行とともに「新型インフルエンザ、パンデミック対策に」「お部屋の空気まるごと除菌」「ポンとおくだけ 空間に浮遊するウイルス・菌・ニオイを除去!」等として二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品が市場で見受けられるようになった。

 PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品に関する相談が、2005年4月から2010年3月末までに20件寄せられており、特に2009年度に多くなっていた。

 そこで、二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品について、使用中にどのくらいの二酸化塩素が放散されているのか等を調べ、消費者に情報提供することとした。

 テスト対象銘柄は、部屋等に置いて使用するタイプとし、販売時からゲル状のもの(ゲルタイプ)5銘柄、使用開始時に液体に粉末剤を入れてゲルを生成させるもの(ゲル生成タイプ)3銘柄、使用開始時に容器に錠剤と水道水を入れるもの(錠剤タイプ)1銘柄の計9銘柄とした。


主なテスト結果

塩素系ガスの放散速度の経時変化

塩素系ガスの放散速度は、1日後までに最大となったが、ゲルタイプの放散速度は小さく、その後も横ばい状態であった。

二酸化塩素及び塩素の放散速度

二酸化塩素の放散は9銘柄中6銘柄でわずかであった。一方で、使用開始当初に放散速度が大きくなる銘柄もあり、銘柄間の差が大きかった。

においの強さと容認性

塩素系ガスの放散速度の大きい銘柄では、臭気強度が大きくなるとともに部屋に長時間いたくないと回答した人も増えた。

表示等

(1)においに関する表示
臭気強度が大きかった銘柄は、換気するなど注意が必要であった。
(2)安全性に関する表示・広告
二酸化塩素が食品添加物として認められていること等から安全であるとうたっている商品があり、消費者に誤認させるおそれがあった。
(3)有効性に関する表示・広告
インフルエンザ等への予防効果をうたった広告があり、薬事法に抵触するおそれがあると考えられた。

事業者へのアンケート調査

(1)商品設計及び有効成分
居住空間における効果の程度を確認している事業者は少なかった。また、有効成分として二酸化塩素以外の成分もあげている銘柄があった。
(2)使用場所
回答のあった7銘柄全てでリビング、キッチン、トイレ等、家庭内のほとんどの場所で使えるとしていたが、乳幼児、金属製品、電気製品の近くでの使用は避けるべきとの回答もあった。
(3)吸入の身体的影響に関するデータと健康被害
ほとんどの事業者が実際に使用した際の安全性を確認していなかった。また、塩素系ガスの放散が比較的多かった銘柄では、使用者からの健康被害等の報告を受けているところがあった。


消費者へのアドバイス

  • 二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品は、さまざまな状況が考えられる生活空間で、どの程度の除菌効果があるのかは現状では分からない。
  • 二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品は、二酸化塩素の放散がほとんど確認できないものがあった一方で使用開始当初に放散速度が大きくなるものもあり、使用に際しては注意が必要である。
  • 二酸化塩素が食品添加物であること等を根拠に安全であるとうたっている銘柄があるが、必ずしも商品自体の安全性ではない。


事業者への要望

  • 二酸化塩素の放散がほとんど確認できなかった銘柄や使用開始当初に放散速度が大きくなるものもあった。日常生活の中で消費者が適切に使用できるよう、商品の安全性と有効性について十分に検証をするよう要望する。
  • 安全性に関する表示・広告が、一部の成分のものか商品自体のものかが不明確な銘柄があった。商品としての安全性を表記するよう要望する。
  • 商品の表示や広告に特定の感染症についての予防効果等、薬事法に抵触するおそれがある表現がみられたため、改善を要望する。


行政への要望

  • 日常生活の中で、二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品が適切に使用されるよう、商品の安全性と有効性について十分に検証をする等、事業者への指導を要望する。
  • 安全性に関する表示・広告が、一部の成分のものか商品自体のものかが不明確な銘柄があった。商品としての安全性を表示、広告するよう事業者への指導を要望する。
  • 商品の表示や広告に特定の感染症の予防効果をうたったものが見られた。薬事法に抵触するおそれがあると考えられるため、監視・指導の徹底を要望する。


要望先

  • 消費者庁 政策調整課


情報提供先

  • 厚生労働省 医薬食品局 審査管理課 化学物質安全対策室
  • 厚生労働省 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課
  • 農林水産省 消費・安全局 畜水産安全管理課
  • 経済産業省 商務情報政策局 商務流通グループ 製品安全課


業界の意見 ※2010年11月30日 追加

「大幸薬品株式会社」

「大幸薬品株式会社」より

 商品テスト結果によって当社製品『クレベリン ゲル』は二酸化塩素ガスの明らかな放散が認められることを示していただきました。また、当社による有効性・安全性に対する取り組みを、報告書に記載していただきました。上記2点は総合的見地から消費者に対して有益な情報提供をさせていただいたと考えております。一方、試験された製品群が9銘柄であり、他にも二酸化塩素製品は多数あるため、今後はこれらの製品についても追加試験を実施される方が、より総合的見地から情報発信していただけると考えます。

大幸薬品株式会社 品質保証部 部長 森口 展明

「大幸薬品株式会社」への商品テスト部の見解

 今回のテストでは、テスト対象銘柄から放散される二酸化塩素の放散速度の測定等を行いましたが、明らかな放散があればよいといった判断をしたものではありません。また、事業者アンケートの回答から、実使用での安全性、有効性の検証に取り組まれている事業者が1社あったということは確認しましたが、検証内容が妥当であるのか、十分であるかの判断は行っておりません。

 今回のテストは、最近になって消費者が日常の生活空間で使用できるようになった二酸化塩素による除菌をうたった商品について、インターネットサイトや店頭での取り扱いが多かったものをテスト対象とし、事業者の取り組みを含めて商品群の実情を消費者に情報提供することを目的としたものです。商品の製造・販売に携っておられる事業者には、日常生活で商品を使用した場合の安全性・有効性について、一層の検証が必要と考えております。

「株式会社阪本漢法製薬」

「株式会社阪本漢法製薬」より

 この度、11月11日、国民生活センターにより「「二酸化塩素による除菌をうたった商品」についての発表がありました。この中で、弊社製品ウィクリアについては、二酸化塩素ガスの放散が殆ど無いという内容について驚きをもって受け止めています。

 弊社は、本商品を企画するにあたって、モデル実験系を用い、有効性(ウィルス、菌、臭い)、拡散濃度、急性毒性について検討を進め、ウィルス不活性化作用、除菌作用、消臭作用、安全性を第三者試験機関において確認しております。併せて、測定方法は異なりますが、ゲルからの有効成分の拡散も確認しております。

株式会社阪本漢法製薬 社長室 プロジェクトマネージャー 信貴 政孝

「株式会社阪本漢法製薬」への商品テスト部の見解

 今回のテストでは、テスト対象銘柄から放散される二酸化塩素の放散速度の測定等を行いましたが、放散速度が大きいものには注意が必要ですが、どの程度であればよい、どの程度なければならないといった判断をしたものではありません。消費者が実生活で商品を使用した場合の安全性や有効性の程度をしっかり検証する必要があると考えております。



業界の対応 ※2010年11月30日 追加

「大幸薬品株式会社」より

 当社は、「二酸化塩素による除菌をうたった商品−部屋などで使う据え置きタイプについて−」のご指摘に基づき、当社製品『クレベリン ゲル』に関し、一部不適切な広告表現があった当社以外のウェブサイトに対して、要請文を送付いたしました。

 11月15日には要請を行ったウェブサイトの内容を確認し、すべてのウェブサイトにおいて削除・訂正が行われており、適切な広告となっていることを確認致しました。

大幸薬品株式会社 品質保証部 部長 森口 展明

「株式会社阪本漢法製薬」より

ウィクリアについての各指摘内容について

  • ゲルからの成分放散が殆どみられない。
     弊社の確認資料をお示しし、国民生活センターおよび消費者庁他の省庁に説明を実施したい。更に、有効成分の拡散について確認しているが、より日常生活に近い実験形での検討を行う。
  • 安全性に関する表示が、一部のものか商品自体のものか不明瞭。
     商品に示してある「Stabilized ClO2(安定化二酸化塩素)は、アメリカで開発された除菌消臭剤で、米国環境保護庁(E.P.A)、食品薬品局(F.D.A)、保健教育福祉省(D.H.E.W)、農務省(D.O.A)から有効性と安全性が認証されています。現在、欧米諸国をはじめ多くの国で、飲料水、一般食品、医療、環境浄化などさまざまな分野において、除菌・防腐・消臭の目的で広く使われています。アメリカ環境保護庁E.P.A.承認番号9150-2」の表示は、主語と述語がはっきりしており、商品自体のものではなく、Stabilized ClO2(安定化二酸化塩素)のことを示しています。
     但し、誤解を招かないように、記載の通り安定化二酸化塩素の事であり本商品自体の事ではないという事を、販売店の皆様から消費者にご説明頂く事で対応して行きます。
  • 商品としての安全性を表記するよう要望する。
     急性毒性試験の結果を書く等について国民生活センターおよび消費者庁他の省庁と相談して進めたい。
  • 一部の販売業者のインターネット広告に、新型インフルエンザ対策(豚インフルエンザ、鳥インフルエンザ)等の不適切な表現がみられる。
     当該業者には改善するよう要請する。

株式会社 阪本漢法製薬 社長室 プロジェクトマネージャー 信貴 政孝




本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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