その最大の理由は、家事や育児を一手に引き受けることによる「内助の功」への評価である。「夫のみが所得を稼得した場合でも、妻は家庭内の勤めを果たすことにより夫の所得の稼得に大きく貢献しており、これに配慮すべきである」というわが国の伝統的な考え方である。
加えて最近では、家庭で一生懸命子育てすることには大きな社会的な意義がある、専業主婦の優遇は少子化対策につながる、という論点も加わり、存続論を補強してきた。
多くの先進国では女性の
労働力率が高いほど出生率も高い
図表は、女性の労働力率(女性がどのくらい働いているかを示す指標)と出生率との関係をグラフにしたものである。縦軸にOECD諸国の合計特殊出生率(TFR)を、横軸に女性の労働力率をとって、双方の関係を図にしたのだが、極めて興味深いことが分かる。
1980年には、双方は「負の相関関係」にある、つまり、女性の労働力率が高いほど出生率は低くなっている。女性が働く比率が高い国は出生率が低い、これは常識的で受け入れやすい。
しかし、20年後の2000年を見ると、女性の労働力率と出生率は「正の相関関係」になる。つまり、OECD諸国は、20年間で、「女性の労働力率が高いほど出生率も高い」、あるいは「女性の労働力率が高く出生率も高い」ということになったのである。