前回、「ひろしの名言集」という動画について取り上げました。紹介されていた30の名言のうち、実際にひろしが言ったのは3つ(実際は4つでした)だけに過ぎないということで、クレしんがネットでねつ造された例の一つだと思います。 それで、クレしんがネットでねつ造される例ですが、今回はWikipediaについて取り上げたいと思います。 私が以前から気になっていたのが、Wikipediaでのクレしん関連の怪しげな記述です。 いくつか例を羅列します。 (クレヨンしんちゃんの登場人物一覧より) むさえ(みさえの妹)の年齢:26歳 まさえ(みさえの姉)の年齢:35歳 よし治(みさえの父)の年齢:63歳 ひさえ(みさえの母)の年齢:58歳 つる(ひろしの父)の年齢:62歳 (かすかべ防衛隊より) 風間君の血液型:7月19日 風間君の誕生日:O型 ネネちゃんの誕生日:6月5日 ネネちゃんの血液型:B型 ネネちゃんの身長:104.2cm ネネちゃんの体重:14kg マサオ君の誕生日:2月4日 マサオ君の血液型:A型 ボーちゃんの身長:116.9cm ボーちゃんの体重:25kg ボーちゃんの誕生日:9月10日 ボーちゃんの血液型:AB型 これらは何が根拠になっているのか、私にはまったく分かりません。というのは、私は原作と劇場版は全て見ており、テレビアニメも半分以上は視聴してきましたが、上記の各キャラのスペックについては、まったく見たことが無いのです。 ちなみに、Wikipediaでは銀の介の年齢は65歳とされていますが、これは(アニメのみでの設定ですが)正しいです。確か、1997年頃だったとおもいますが、この頃に放映されたアニメで、銀の介が野原家にやってきた時、息子のひろしが「おやじは65歳」と言っているシーンがありましたので。それと、ひろしの兄貴のせましが40歳というのも正しいです。原作の単行本24巻で明記されています。ただ、つるの年齢については不明です。 ですから、よし治やひさえ、まさなど90年代から登場しているキャラについては、もしかしたら私が見ていない、もしくは失念しているテレビアニメの話の中に年齢が明かされている可能性があります。 しかし、むさえの年齢は明らかに虚偽です。むさえが登場したのは原作では35巻、アニメでは2006年3月17日ですが、それ以降の話の中で、むさえの年齢が登場したことは一切ないからです。 私は2009年以降のテレビアニメはほとんど見ていませんが、それ以降もテレビアニメを全て鑑賞されている「クレヨンしんちゃん的ページ」さんのMr.Kさんに、数か月前のオフ会でアニメの中でむさえの年齢が言及されたことがあるかを訊いたことがあります。しかし、Mr.Kさんも知らないとのことでした。 それと、Wikipediaのクレヨンしんちゃんの記事では、「あらすじ」という コンテンツがあり、クレしんの流れを紹介していますが、原作とテレビアニメをゴチャゴチャに記述してあり、クレしんをあまり知らない人が読んだら、変な誤解を招くと思います。例えば、「みさえ髪型激変編」はアニメのみ、「まつざか先生悲恋編」は原作のみです。しかし、そのことに関する注釈がありません。 あと、これはWikipediaに限ったことではないのですが、ネット上ではマサオ君の名字は「佐藤」であるという記述が驚くほど多く目にします。 しかし、原作には一切登場していない、テレビアニメでも一瞬しか映っていない、公式には「なかったこと」にされている節がある(公式サイドではマサオ君の名字については一切言及がない)事を考慮すると、何の注釈も無しに掲載することに違和感を覚えます。 マサオ君の名字を紹介するのは別に良いのですが、上の三つの事についても言及すべきではないかと思うのですね(2011年4月以降、私はマサオ君の苗字についての見解を変更しました)。 その事は、以下の記事でも書いたことがあります。 http://crashinsti.at.webry.info/201006/article_7.html >「佐藤マサオ」という名前について http://crashinsti.at.webry.info/201011/article_6.html >「佐藤マサオ」という名前について(その2) あと、風間君の紹介の記述で「しんのすけの友人で、しんのすけ曰く「大親友かつお互いのホクロの数まで知り尽くした関係」。」とありますが、確かにしんちゃんがそういう発言をしたのは事実ですが、この発言の内容自体は事実ではない可能性が高いです。互いのホクロの数を知り尽くしているという描写は見られません。 この記述自体は明確に間違っていないかもしれませんが、クレしんの事をよく知らない人が読んだから、しんちゃんと風間君がホモの関係にあると勘違いしてしまうような、ミスリードを招く表現だと思います(まあ、この二人がそういう関係である描写はギャグとして散見されますが、あくまでもギャグとしての範疇に留まるでしょう)。一体、誰が書いたのやら。ボーイズラブの愛好家による記述ですかね。 それと、ネネパパについての記述で「娘には、婿養子であることは、だまっている。」とありますが、これも初耳(目?)です。ネネパパが婿養子であり、かつそれを娘(ネネちゃん)に黙っているというのは聞いたことがありません。単に、私がそれについて触れられている話を見ていない(もしくは忘れている)のかもしれませんが。 こういうネット上での怪しげな記述によって、間違った噂が広まって既成事実化していくのではと考えると、ある事件を思い出します。それは、何年か前に「ドラえもん」の同人誌が話題になって、著作権法違反として版権保有側の小学館が出版差し止めを求めた事件です。この事に触れた日経新聞の記事では、以下の小学館担当者のコメントが紹介されています。 これまでもそこそこのことであれば見過ごしてきましたが、ネットで野放図に拡大されていくことには強い危機感を覚えます。もしドラえもんに最終回があるとすれば、それは亡くなられた藤子先生の胸の中だけであり、この『ドラえもん 最終話』によって、先生が作り上げた世界観が変質してしまうようなことがあってはならないと思っています。 (当ブログなどの著作権はもちろん私に帰属するものの)私は特定の漫画やアニメの著作権を管理する立場の者ではないです。ただ、その私からしても、上のコメントのは何となく共感できます。Wikipediaのクレしんの怪しげな記述を見ると、あるいはそれ以外のネット上でのウェブサイト上にある怪しげな記述を見るたびに、クレしんが誤解されていくのではないかと危機感を覚えます。 私はクレしんの作者や版権保有者とは何の関わりも持っていない単なる一ファンに過ぎませんが、自分の好きな作品が誤解されて受け止められるのは、非常に嫌な気分です。 そしてこれは、私自身に対する自戒であるとも思っています。私もネット上で情報を発信する者ですから、デマをまき散らさないように注意しなければ、クレしんに対する誤解を広めないようにと常に心掛けていきたいものです。 それにしても、Wikipediaにおけるクレしん関連の記述を見ると、どうも書き手の知的レベルが低いようにも思えたりします。例えば、私は長谷川町子さんや秋月りすさんの漫画も好きですが、この人たちの作品に関する記述は、(たまに妙な記述も見られることがありますが)クレしんに比べたらあまり誤りがありません。 クレしんの登場人物に関する記述は、なんでこうも誤りが多いのか。もしかしたら双葉社の工作員が既成事実化を進めるべく、Wikipediaに日々ああいうことを書き込んでいたりして。まあ、それはさすがに冗談(というより下衆の勘繰り)ですが、政治(歴史問題)や宗教など論争が起こりやすいテーマに関連した記事ならともかく、単なる娯楽作品でこうも多くの誤りが見られる記事は見たことがないです(単に誤りだと気付いていない可能性ももちろんあります)。 いろいろ考えると、やはり書き手の平均的な知的レベルが低いように思えるのですね。前回の記事で取り上げた「ひろしの名言集」と言い、事実を(おそらく)意図的に捻じ曲げることから、精神レベルも低いとも思えます(知的レベル、精神レベルの低さについては、私自身も自戒しなければならないことであります)。 制作側は、こういう間違いだらけの記述についてどう思っているのか、少し気になったりします。まあ、スタッフの方々はかなりお忙しいでしょうから、あまり気に留めていないかもしれませんが、変な誤解が広まることに快く思うわけがないと思いますが。 こうやって書くと、Wikipediaのクレしんに関する記述は大部分が間違いと思われそうですが、もちろん大半は正しいです。例えば、銀の介について、以下の記述がありますが、これはその通りです。 車の運転はとても荒れており、アニメの場面でしんのすけとみさえが秋田へ行ったとき、2人が乗っており時速100kmで走っていた特急たざわ号と並走し、2人を驚かせた。さらに西大曲駅(架空の駅)から家までは、みさえが安全運転をお願いしたにもかかわらず、またも暴走運転をした(「母ちゃんと二人旅だゾ」)。 ここで結論を。やはりWikipediahaは辞書としては使い物にならないので、他の資料も参照する必要がある、ということです。ただ、Wikipedia以外にも、ネット上の情報はデマが多いですし、そもそも一流の出版社から発行された書籍にも誤りが書かれていることもありますし。次回はこの事に触れるつもりです。 ところで、Wikipediaのクレしんに関する記述のいい加減さを取り上げましたが、じゃあお前(チョルス)がWikipediaの編集をしたら良いじゃないかという声もあるかもしれません。正直言って、そこまで手が回りませんです。当ブログと「クレヨンしんちゃん研究所」の更新だけで精一杯なのです。それと、無用な編集合戦にも巻き込まれたくないです。私がやることは、自分のサイトやブログを通じて、自分の書きたいことを書くだけです。ネット上の書き込みは、社会的に私がやらねばならない事ではないです。 |
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前回の記事で、次回(つまり今回)ネットや出版物におけるデマ情報を取り上げるつもりだと書きましたが、予定を変更して、東京都の漫画規制条例について書きます。 ...続きを見る |
クレヨンしんちゃん分析録 2010/12/17 21:31 |
小島よしおの再登場
今回の記事は雑談みたいなものです。 ...続きを見る |
クレヨンしんちゃん分析録 2011/01/03 23:45 |
トンデモ情報をどう見分けるか
以前、こちらとこちらの記事で、クレしんがねつ造される現状について取り上げました。その際に、後者の記事でネット上のデマ情報一般について取り上げるということを書きましたが、大幅に遅れてしまいました。そういうわけで、今回その件について書いてみたいと思います。 ...続きを見る |
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タイトルの通り、(テレビアニメ版の)クレヨンしんちゃんにおける脚本についてです。 ...続きを見る |
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遂にマーくんのフルネームが公認されました。 ...続きを見る |
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3月11日、東日本大震災からちょうど1年です。私はこの時日本にはいませんでしたが。それでは、3月9日放送のテレビアニメの感想いきます。 ...続きを見る |
クレヨンしんちゃん分析録 2012/03/11 06:00 |
内 容 | ニックネーム/日時 |
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キャラの年齢と誕生日や身長体重、血液型といった設定は漫画だと公式ファンブックのキャラ紹介とかに載ってたりしますが、クレしんにはそういったのは無かったですよね。臼井さん亡き後、生前にその設定を誰かに伝えていたり文字に書き起こしていたら別ですがそういったことが記載されたものは発売されないでしょうね。 |
権兵衛 2010/12/14 21:03 |
本文には書きませんでしたが、Wikipediaでの他の漫画などのページでも、登場人物の身長や体重、生年月日などが作中で触れられていないにも関わらず記載されているケースがありますが、そういうのは大抵公式ファンブックなどに明記されていたりするようです。しかし、クレしんの場合は関連書籍にもWikipediaの記述は存在しないわけで。原作者が非公開としている情報では公開されませんし、そもそも(むさえの年齢など)Wikipediaの間違いの記述は出典が明記されていないので、執筆者がデタラメな事を書いたとしか思えません。 |
チョルス 2010/12/15 04:55 |
(続きです) |
チョルス 2010/12/15 04:56 |
キャラの触れられていない身長や誕生日はきっと執筆者が他サイトの記述を鵜呑みにしかた荒らしなんでしょう。マサオの苗字についてもこのブログやなど、ネットで検索すれば分かるでしょうし、マサオの苗字が分かる「身体測定の時間だゾ」は当時のものや再放送を録画していたのなら別ですが未視聴の可能性が高いです。この回はDVD未収録でビデオにのみ収録されてますので。 |
権兵衛 2010/12/15 19:31 |
マサオ君の名字については、実際に該当の話で確認していないファンの方が多いように思います。しかし、その該当の話以外ではおそらくとうじょうしておらず、現在の公式サイドでは「なかったこと」にされている節があるのを考えると、何の注釈も無しに載せていることに、違和感を覚えないのでしょうかね。 |
チョルス 2010/12/16 04:30 |
クレしんはネットで都市伝説や噂がよく流れる傾向があります。 |
ミルクティー 2010/12/17 19:21 |
そういえば、「マロン公しゃく」が正体不明であるという事で、話題になったこともありましたね。 |
チョルス 2010/12/17 21:27 |
「お互いのホクロ〜」についての文は、もしななこおねいさんやその他綺麗なおねいさんには無関心なしんちゃんなんて、私としては残念です。 |
名無し 2011/01/20 18:02 |
「お互いのホクロ〜」というのは、確かにしんちゃんの台詞として存在しますが、本当にホクロの数を知っているかどうか明確な証拠は無く、冗談である可能性が非常に高いのですね。 |
チョルス 2011/01/24 02:44 |
Wikipediaの件ですがクレしんの漫画アクションの先輩キャラにあたる「ルパン三世」のアニメ映画「カリオストロの城」でもテレビ放送についての記述で「'84年の3度目の放送でノーカット放映がなされた」と書かれています。 |
青たこ 2012/07/03 20:48 |
「カリオストロの城」でも虚偽の記述があったのですか。 |
チョルス 2012/07/04 00:12 |
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