翻弄される姉弟

放尿を終え、身も世もあらずに啜り泣く楓の傍らに上機嫌のお文が立った。
「この情けなさそうな顔を見てやってくれ」
楓の髪を乱暴に掴んだお文が勝ち誇ったように屈辱に歪む楓の顔を晒すと光秀は耐えられなくなったように席を蹴った。女が泣き喚いても一片の燐情も示さない冷血動物のような信長の性格に光秀は不快を通り越してむしろ憎悪さえ感じていた。

お文の陰湿な痛ぶりは更に加速を早めていた。
「楓、見て御覧、桶からこんなに漏らしちまったじゃないか」
お文に髪の毛を掴まれ、床に広がる水溜を無理矢理目撃させられた楓は女っぼい声を上げた。
「ああ、お許しくださいませ」
「ふざけるんじゃないよ。新乃助の褌は剥取らせてもらうよ」
乱暴に髪の毛を揺さぶられた楓は遂に新乃助を屈辱を味合わせてしまうことになった自分の不始末を心の中で詫びるのであった。

男たちが面白がり、色白の新乃助の肌を覆う最後の楯を剥ぎ取ろうと手を延ばすと新乃助は塞がれた口のなかで悲鳴を放ち、猛烈に抵抗を示した。
しかし、両手を縛られている身では必死の抵抗も男たちの失笑を買うだけになってしまう。遂に、褌を剥ぎ取られた新乃助は両足を閉じあわせ、好奇な視線からその部分を必死に隠そうとする。
「姉が堂々と晒しているのに男のお前が恥ずかしがることはないぜ」
図に乗った男たちにより、両足首を掴まれ、あおむけに逃げも隠れもできぬ姿にされた新乃助を目にした一同から大きなどよめきが上がった。
「あはは、楓、新乃助の男を見て御覧。お前さんの身体を見て興奮しちゃったようだ。愉快じゃないか」
笑い転げるお文に強制されて惨めな新乃助の姿を目にした楓は正視に耐えられず目を閉ざしてしまう。
姉の放尿図と兄のあまりにもあさましい姿を目にした桔梗が失神すると信長はそれを捨て置き薄笑いを浮かべながら新乃助を見下ろした。

「新乃助、お主、立派なものをぶる下げておるな」
男たちに抑えられている太腿を震わせ、真っ赤になった顔を歪ませて屈辱にあえいでいる新乃助を目にした信長は妖しく胸をときめかせていた。
「しかし、姉の姿に挑発され、そそり立たせるなぞ不届きせんばん。国吉、仕置台を持て、こ奴の性根を懲らしめてやろうぞ」
国吉が部屋を出て行くと楓はおろおろした声を出すのだった。
「信長様。楓との約束をお守りください。楓が恥じを晒せば新乃助には一切、手出しはしないはず。お控くださいませ」
信長はくるりと楓の方に向きを変えると、その涙に汚れた顔を覗き込んだ。
「ならばこうしよう。楓が仕置台に乗り、気をやる姿を新乃助に見せろ。それまでに矛先を納めていれば許してやろう。しかし、依然、隆々とさせておれば悩みを解いてやる。こうしようではないか」
「………」
信長に肩を揺さぶられ、言い含められた楓は黙り込むしかなかった。悪鬼のような連中に翻弄される悲しい姉弟の屈辱は始まったばかりであった。

茜の汗と涙が染み込んだ仕置台が大広間の中に運び込まれると、楓はお文の手により鎖から外され、そのおぞましい舞台に引き立てられて行く、代わって取り乱す新乃助が男たちの手により鎖に縛られ、全裸の哀れな姿をそこに晒すことになった。
「新乃助、恥じを知りなさい」
お文に両足を開かれ、固定されているという恥ずかしさも忘れ、楓は無残な屹立を晒している新乃助に血を吐くような言葉を掛けた。

どうにでもするがいいとばかりに、極端なまでに両足を開かれた楓の腰辺りに国吉が道具箱を手にしゃがみこんむと好奇な視線を注いでいる男たちの方を向いた。
「さて、お立合、兵頭一族の女間者の楓はこれより、私の手管により、死ぬより辛い姿を皆様に晒すことに相成りまする。他では味合うことのできないこの世の桃源境に楓を誘いまする。とくと、ごろうじろ」
居並ぶ男たちに自慢げに口上を述べた国吉は楓に添い寝をするように寝転ぷと縄に締め上げられた乳房を刺激しながら、首筋辺りに舌を這わし始めた。
辛そうに眉を寄せながら、国吉の隠微な愛撫を必死に耐えていた楓ではあったが国吉の指先が微妙な襞を間探り始めると楓の口からはやるせない溜息が洩れ始める。

国吉は身悶える楓への攻撃を中断すると道具箱の中から鍼を取り出した。
「この鍼を楓の身体に打ち込み、たまらない思いにさせまする」
鍼を打たれると聞いて楓の心は戦慄に震えた。茜屋敷での非情なまでの仕置きは楓の心に拭い去ることのできない恐怖を埋め込んでいたのだ。
「ああ、鍼だけは嫌にございます。何卒、御容赦くださいませ」
「恐れることはない。今日はお主を楽しませるために鍼を打つのだ」
楓の恐怖を抑えた国吉は白い下腹部を焼酎を使って消毒すると恥ずかしげに息付く縦長の臍の下辺りを狙って鍼を打ち込んだ。

鍼を打たれた瞬間は痛みもなく、ほっと息を付いた楓ではあったが国吉が陰核を刺激し始めると鍼を打たれた効果を思い知らされ、身悶えるはめになった。
楓の肉体が国吉の刺激に少しでも反応すると、臍の下に打たれた鍼がその反応を何倍かに増幅して楓の神経に伝えるのであった。
「ああ、耐えられませぬ、何卒、うぐっ」
おびただしい反応を楓が国吉の指先に伝え始め、錯乱状態に陥り、国吉が張り形を取り出しても、楓は狼狽するどころではない。一刻でも早く頂点に辿り着きたい楓はむしろそれを待ち望んでいたかのように上体をのたうたせ甘い収縮を繰り返しながら、押し進められた張り形を身体の奥深くにまで導こうとしている。

信長は目に見えて変貌し始めた楓の反応に目を瞠っていた。茜を狂乱に追い込んだ大内の手管に舌を巻いた経験を持つ信長ではあったが、国吉の恐るべき手管はその衝撃をはるかに超えていた。
臍の下に深く鍼を突き立てられたままの楓は国吉の操作する張り形に揺さぶられくぐもった声を上げている。腰が揺れるたびに無残に突き刺さった鍼が震える楓は官能を噛み締めるように頂上に徐々に追い詰められて行く。

遂に、快楽源を突き破られ、頂点を究めた楓はその瞬間、極端にまで割り広げられた太腿を硬直させ、怪鳥のような叫びを上げた。
あまりにもすさまじい楓の反応ぶりに男たちは声も出さずに、乳色に輝く肌をのたうたせる甘美な生物の断末魔を凝視している。
抑えが利かなくなり、感極まった楓が激しい鳴咽の声を上げると、満足した国吉は楓の愛液にまみれた張り形を引き抜きほっと息を付いた。
「よくやった国吉、こちらに来い、話がある」
いまだに痙攣が納まらず、波打たせる楓の下腹から鍼を抜いた国吉が隣に座ると信長はその耳に口を寄せた。
「これからは新乃助と楓を夫婦にしてしまえ」
「えっ、二人を夫婦に」
信長の発想の突飛さにさすがの国吉も驚愕の表情になった。
「姉弟といえど、種子違いじゃ、二人の間具合を見世物にできるように仕込め」
「かしこまりましてございます」

信長と国吉が身の毛もよだつ相談をしている頃、楓にはまたひとつ難儀が降りかかっていた。
「楓、見て御覧、はちきれんばかりじゃないか」
面白半分に男たちに身体を間探られていた楓が涙に潤んだ瞳を開くと、後ろ手に縛られた全裸の新乃助の背後からお文が興奮の証を握りしめ、愉快そうに笑っているお文の姿が目に入った。
「お前さんが激しいもんだから、弟をこんなにさせちまったんだよ」
熱く屹立したものをお文に握り締められ、抵抗することさえ諦めた新乃助は姉の姿を正視できず、真っ赤に頬を染めて下を向いてはとめどなく涙を流しているのだった。
「ああ、新乃助を辱めることはお許しくださいませ」
我が身に受ける辱めより、弟をかばいだてする楓の姿を目にすると、笑いを浮かべながら信長は何やら国吉に耳打ちした。

国吉は楓の両足を縛った縄を解き、ぐったりとした上体を起こさせると羞恥に身を揉む新乃助の前にしゃがませた。
楓は新乃助の惨め屹立を目にすることができず、顔を背けてしまう。しかし、国吉に顎を掴まれ、無理矢理真正面からそれを目撃させられてしまう。
「立派なものだろう。楓、また、身体が溶ろけてきたんじゃないのかい」
新乃助の雁首を揺り動かしながらお文がからかいの言葉を掛けると、楓は屈辱に頬を痙攣させ、その胸は張り裂けそうに痛むのであった。
「新乃助にも何かしゃべらせてやれ」

信長の命でお文が新乃助に口を塞いでいた猿轡を剥取ると、新乃助は堰を切ったように悲痛な叫びを張り上げた。
「ああ、姉上、新乃助は死にとうございます」
「今更、何を言っておる。兵頭の民を救うために耐えるのじゃ、それが、お主の父の死を無駄にしないことじゃ」
楓が涙を弾き飛ばすような勢いで新乃助を叱りつけると、新乃助は真っ赤になった顔を捩じ曲げ、泣き声を上げ始めた。
お文が笑みを浮かべ再び握り締めた屹立を前後に緩やかに動かし始めると新乃助は諦めたように目を閉ざした。
新乃助がぴったり太腿を閉じあわせ、苦しげな息を吐き始めると国吉はお文に痛ぶりを中止させた。

「お文、仕上げは楓の口にやらせよ。こんな姿になったのも楓のせいだからな」
新乃助を辱める仕上げを自分にやらせると耳にした楓の顔色が一変した、
「国吉様、父は違えど新乃助と私とは姉弟にございます。そのような真似はできませぬ」
楓が拒否すると我が意を得たりとばかり信長がししゃり出てきた。
「楓、新乃助を咥え込むのが嫌か」
「仮にも弟の新乃助、御容赦くださいませ」
楓の精一杯の哀願も信長には通じるはずもない、信長の瞳が妖しく光だした。
「ならば、国吉、新乃助のものは不用じゃ、これですっぱり切り取ってしまえ」
懐刀を国吉に渡した信長を目にした楓は戦慄した。さらに、国吉が薄笑いを浮かべ、鞘を抜き払い新乃助の屹立に刃をあてがうと楓は悲痛な叫びを上げなければならなかった。

「お止め下さいませ。新乃助が惨めすぎまする」
「ならば、新乃助を慰めるというのか」
信長に迫られ、楓は進退極まり唇を噛んだ。
「桔梗だけにはお主達が柔順なかぎり手は出さぬ。これからは姉とか弟かという、こだわりは捨て、男と女として色の修行に励め。それがお前たちに残された道じゃ」
桔梗には手を出さぬとの信長の言葉に縋りつくように楓は悲しい決意を固め、涙に潤んだ瞳を信長に向けた。
「か、楓は新乃助と共に地獄に落ちまする。桔梗の事、宜しくお願いたします」
信長から恨みの篭った視線を切った楓は羞恥に震える新乃助を見上げた。
「新乃助、もはや、我らは姉でもなければ弟でもない、共に地獄に落ちて、桔梗と兵頭の民を救おうではないか」
淫婦のような表情になり、膝を進めてくる楓を目にした新乃助は思わず腰を引いた。
「それ以上、後ろに下がると尻が血にまみれるぞ」

国吉が新乃助の双臀に懐刀を這わし、新乃助が動きを止めると楓が思い切って新乃助の隆隆と反らせている屹立にしゃぶりついた。
「あ、姉上」
新乃助の悲しい叫びも意に返さず、楓は我が身に加えられた恨みを晴らすかのように激しい勢いで新乃助を追い詰めて行く。
「ほほほ、おいしそうだね。どうだい、弟をしゃぶる気持ちは」
お文に乳首をいびられても楓は狼狽など示さず、新乃助を含んだ頬を膨らませ、顔を揺り動かす悲しい作業を一途に続けている。
早くこの屈辱の時を終わらせるには新之助を一気に追い込むしかないと信じている楓は遮二無二舌を動かし、新之助を追い込んでゆくのだった。

遂に、新之助が楓の手管に敗れて、眉を寄せて緊張を解き放つと。その迸りを口の中に受けた楓の背中に冷たい汗が流れ落ちた。
「弟はどんな味だった。おいしいかい」
お文が汗に塗れた茜の雪白の肩を突付いてからかっても、その残滓を全て吸い取ろうとして未だに新之助から離れない楓はうっとりと目を閉ざして舌を動かしつづけていたのだった。

楓と新乃助

種子違いとはいえ、実の弟の避りを舌で受け止めるという、心臓も止まるような屈辱を受けた楓は夕刻まで安土城の宴席に晒され、死んだようになって今日より楓の棲家となり、肉の修行道場と呼ばれる下屋敷に運ばれた。
この下屋敷は楓が信長の命を後一歩まで追い詰めた悔やみても悔やみある場所であった。それを信長は楓姉弟を収容するため三つの座敷牢と小宴ができる広間に改造させた。さらに、庭の離れには道場と呼ばれる肉の修行をする小屋まで作っていた。

「ここが今日からお前たちの棲家だ。信長様は楓屋敷と命名された。明日からはより一層、肉の修行に励むのだぞ」
落日が差し込む縁側で国吉とお文に縄を解かれた楓が座敷牢に入ろうとするのをお文が止めた。
「その着物は預かっとくよ。今晩は丸裸で眠るんだよ」
身も心もくたくたにされた楓にはもはや反発する気力もない、おとなしく着物を脱ぐと優美な裸体を縮こませて牢の中に入るのであった。
「明日は明け方から修行を始めるからよく眠るようにな」
国吉が鍵を掛けながら言い含めるとお文も念を押した。
「明日は新乃助と夫婦の契りを交わしてもらうよ。覚悟はできてるね」
「は、はい。覚悟しております」
蒼ざめた頬を凍り付かせ、はっきりとうなずいた楓に満足した二人が引き上げようとするのを楓が引き止めた。
「き、桔梗はどうなりましようや、」
「あの可愛い妹は小牧にいる母親の元でしばらく過ごさせるとの信長様の有難い御沙汰があった。明日にでも小牧に移させるとのお話であった」
国吉の返事に楓が胸を撫で下ろすとお文は障子を閉め、足音を響かせながら遠ざかっていく。

すべての望みが打ち砕かれ、弟と契りを交わす事になった楓にとって桔梗が茜の元に赴くことはたった一つの朗報であった。
身体の疲れを覚えて楓が休もうと座敷牢の奥を向くと暗がりから自分窺っている気配に呆然となった。
「何者」
思わず乳房と前を覆った楓の耳に聞こえてきたのは新乃助の啜り泣く声であった。
「新乃助」
「姉上」
お互い全裸であることも忘れて、不運な姉弟はしっかりと抱き合って涙をこぼしあった。楓は強制されたとはいえ、自分のために惨めな姿を満座のなかで晒した新乃助に詫びたい気持ちでいっぱいになっていた。
「ああ、新乃助、許しておくれ、恥知らずな姉を恨んでおくれ」
涙に濡れた頬を押し当て、狂ったように詫びの言葉を呟く楓の乳首が自分の裸の胸に触れ、官能の芯を刺激され始めた新乃助は慌ててて身体を離すと涙に潤んだ瞳で楓を見上げた。

「姉上。お、お話しておきたい儀があります」
ふと楓も我に返り、全裸の姿で抱き合った自分に恥じらいを見せる。
「父、兵頭国右衛門は死んではおりませぬ」
「え、兵頭様は御存命なのか」
「いかにも、砦が攻められました夜半、このままでは座して死を待つのみと時末三郎氏、岡持真右衛門氏と共に夜闇に隠れて落ち延びましたのでございます」
「しかし、首級はどうしたのじゃ」
「叔父上、兵頭陣座右衛門殿が自ら腹を召されました」
「ああ、陣座殿が」
新乃助の話は楓に希望を抱かせるのに十分であった。いつか、救われる日が来るそう思うと生きる希望が湧いてきた。
「新乃助、これからどのような辱めを受けようとも死んではならぬ。いつか兵頭様が助けに来て下さる。希望を持って生きるのです。それにこの話、舌を抜かれようとも話してはならぬ、よいな」
「は、はい、姉上」
再びひっしと抱き合った姉弟は泣きじゃくりあった。

兵頭国右衛門を信長方の家臣で誰一人見たものはなく、砦も焼いてしまったため、詳しい話は聞けず、信長は敵の陥策に陥ってしまったといえる。とにかく、兵頭国右衛門は存在し、反撃の機会を狙っていることは事実だった。
裸のまま抱き合ったていた楓は新乃助の一物が力を漲らせ、自分の身体に触れているのを知り、慌てて身を引いた。
「新乃助、何を考えているのです、私は姉です」
「姉上、お許しくださいませ」
楓の太腿を掴み、泣きじゃくりながら新乃助は楓に迫ってくる。
「姉上はあまりにも美しい」
楓に欲情を搾り取られた快感があまりに激しかったため、新乃助は道行ならぬ恋だということも忘れ興奮していた。

遂に壁際に追い詰められた楓は激しく突き出してくる新乃助の唇を避けることができなかった。
(どうせ、明日になれば無理矢理にでも、契りを交わされてしまう間柄、ならば、今宵二人だけで美しく契りを交わしても良いのではないか)
口を塞がれながら、力が抜けていくのを感じた楓は意識の片隅で諦めにも似た感傷に浸りながら激しい新乃助に身を任すのであった。
肉欲地獄のまっただ中で狂い咲いた姉弟の地獄花は楓にとっても新乃助にとってもおぞましいものに違いなかった。しかし、地獄の渦中にある今の二人とってはそれがいちばん美しい花だったのである。

姉弟夫婦

翌朝、楓と新乃助は屋敷の庭の一角にある道場と呼ばれる小屋にお文と国吉によって連れ込まれた。頬を凍りつかせたように蒼ざめさせている二人を丸太に縛り付けた国吉はこの道場の説明を得意げになって始めるのである。
「これが修業台だ。この上に繋ぎとめられたら俎板に乗ったつもりでおとなしくするんだぜ」
その腰の高さ辺りまである木製の机は生贄を乗せるには充分な大きさがあり四隅には荒縄が輪になって取り付けられてあった。
「この鎖は楓には説明する必要はないだろう。あそこの滑車を回せば鎖は巻き取られる事になる」
一定の間隔を開けた二本の鎖が修業台の上に伸びている。その鎖は梁に取り付けられた滑車を通じて壁にまで達しており生贄の二肢を高々と吊り上げるものであることは楓も承知していた。

「ここにあるのは楓の大好物の張り形だ。色々の大きさのものをこれだけ取り揃えてやったぜ」
国吉は壁際に並べられた不気味な張り形の一つを手にするとうな垂れている新之助の口にそれを近付けた。
「お前の姉さんはこれであそこを掻き回されるのが大好きなんだ。」
にやけた笑いを浮かべて国吉がそれを楓のその部分に近付けると楓は太腿を頑なに閉じ合わせ目を背け辛そうに眉を寄せる。

姉の苦悩する姿にそれまで押し黙っていた新乃助が口を開いた。
「姉上を苦しめるのはよせ」
「なんだい。そんなもんをぶら下げてまであたいたちに意見しようっていうのかい」
お文はいきなり新乃助の強張らせている頬を引っ叩いた。
「し、新之助。この方たちに逆ろうてはなりませぬ。桔梗の身に難儀が降りかかります。耐えるのです」
涙で潤んだ目を向け、楓が新乃助を諭すと国吉は大きな声で笑い出した。
「その通りだ。俺たちのやることにいちいちいちゃもんを付けたら桔梗をこの台に縛り付けてお前たちの目の前で嬲ることだって出きるんだ」
国吉は得意になってそんなことを言うと張り形を元に戻し、楓の身体を丸太から解き放った。
「さあ、この上に乗って足を大きく開くんだ」
促された楓はおとなしく修業台の上に乗ったが弟の眼前に浅ましい姿を露呈する恐怖にその身を硬く縮こませてしまう。

楓の上半身を別の縄を使って修業台に固定したお文は硬く閉じ合わせたままの楓の片足に手を掛けた。
「さあ、弟の前に浅ましい姿を晒すのは辛いだろうけど女間者の貫禄に物を言わせて堂々と開きな」
頬を赤らめ逡巡していた茜ではあったがお文に促され足の力を抜いた。
すんなり伸びた両足を台の片隅にある荒縄に固定された楓は息の根も止まるほどの恥ずかしい姿を弟の前に晒したのだった。
固く目を閉じ合わせ屈辱に耐えている楓の頬を国吉が突付いた。
「弟があそこの毛が無いのを不思議がるといけねえ。お前の口から何で無いのか説明してやんな」
楓は新たな衝撃に首を振って苦悩したが愚図るとこの鬼の兄妹は何をするか判らない恐怖に怯え、唇を噛み締めて下を向いたままの新乃助に語りかけた。

「し、新乃助」
新之助がその屈辱を堪えている顔を上げると楓は涙に咽びながら説明を始めた。
「そこの毛が無いのは私が尾張にいたとき修業が辛くて暴れたお仕置に剃り上げられたのです。気にしないで」
羞恥に苦悩しながら説明を終えた楓が顔を捩るとお文がその無毛の花園を大きくくつろげ新乃助に見せ付けると楓は辛そうに眉を寄せた。
「くくくく」
新乃助の歯軋りする声を聞いた楓は慌てて新乃助の憎悪に歪んだ顔を見た。
「堪えてください。私たちはこの方たちの奴隷なんです」
必死に訴える楓の言葉に新乃助は怒りを納め、悔しげに唇を噛みながらもこの羞恥地獄に耐える覚悟を決めたように目を閉ざした。
「さあ、少し身体を溶かして上げるよ。その方が新乃助もやりやすいだろうからね」
お文は机の上に腰を下ろすと隠微に白い太腿を撫で擦り始めた。国吉も薄紅色の可憐な乳首を指でコリコリ抓み上げ、大きく仰け反らす楓の喉元から首筋に掛けて口吻の雨を降らした。

悔しそうに唇を噛み締めていた楓ではあったが二人の手管に身体は否応なしに燃え上がってくる。鼻腔を膨らました楓が歯の隙間から生臭い息を吐き始めると国吉は楓の身体から離れ、荒縄を手にして丸太に縛り付けられた新之助に近づいた。
まず、楓が縛られていた丸太に縄尻をかっちり縛り付けた国吉はもう片方の縄尻を新之助の腰に巻き付けた。
「ふふふ、お前も身体は正直だな」
楓の身悶えと甘い息遣いで自分の一物が緊張して天ついているのを国吉に笑われた新之助は悔しそうに顔を背けた。
国吉は新乃助を丸太から解き放つとお文の指を含まされ甘く身悶える楓が乗っている修業台のそばに押し立てると両腕を縛った縄も解いてやる。
「さあ、姉とひとつになれ」

背を押された新乃助は自由になった両拳を握り締めて微動だにしない。
「逃げられると思うなよ。この屋敷は山沖様の軍勢が警護に当たっているからな」
国吉が縄尻を引き絞り、警戒しながらさらに背を押した。
お文に言い含められた楓が涙に濡れた瞳を開いて新乃助を見た。
「何をとまどっているのです。私のことを姉と思ってはなりませぬ。敵だと思って悔しさをぶつけるのです」
姉の悲壮なまでの決意を聞かされた新乃助は台に上がると楓の太腿に手を掛けた。
「あ、姉上」
覆い被さるように楓の優美な肉体に纏いついた新乃助はその部分を宛がって一気に刺し貫いたのだ。
「あ、ああ」
楓は一瞬その衝撃に大きく首を仰け反らしたが新乃助の求めに応じて唇を差し出し、舌を吸わせ、自らの情感を高めてゆく。
国吉が楓の二肢を固定している縄を解くと新乃助は楓の両膝を抱えて激しく腰を揺り動かした。

それは捕らわれの身となり、陰惨な責め苦に遭っている怒りを楓の身体に晴らすかのような新乃助の激しさであった。昨晩、二人だけで間具合った際の優しさが感じられない行為に楓もとまどったがそれでも官能の芯は燃焼し始めている。
悲しい姉弟の行為を国吉もお文も揶揄する事も忘れ声もなく見つめているだけであった。やがて荒々しい息を吐きながら新乃助が緊張を解放する。
「あ、姉上」
悪鬼の見守る中、自らの怒りをぶつけるように楓を犯してしまった新乃助はまだ繋がったままの身体で楓の唇にぴったり口を合わせ涙をポロポロとこぼすと楓も強く舌を吸い上げ、頂点を極めるのであった。
やがて口を離した二人は頬と頬をすり合わせ、声を上げて泣き始めた。
新乃助は頂点の余韻に蠢く楓の襞に煽られ、自分の一物が再び力を漲らせるのを感じて慌てて身を引いた。

「姉さんの味はどうだった。おや、まだおっ立たせたまんまじゃないか」
お文に笑われても新乃助は一言発せず、肉の感動に泣きじゃくったまま全身を小刻みに震わしている姉の姿を美しいものでも見るようにうっとりとした表情で見つめていた。
楓の感動が潮が引くように収まると国吉は火照ったその頬を突付いた。
「今度は新乃助が下になって間具合うのだ。台から降りよ」
余韻に豊満な乳房を揺らす楓はうっとり目を閉ざしたままこっくりと頷くのであった。

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