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【国際】

ジャスミン革命から2年 チュニジア 失望漂う

 【カイロ=今村実】「アラブの春」の先駆けとなった、チュニジアのベンアリ政権崩壊から十四日、丸二年を迎えた。変革への期待を担ったものの、現在では政治や経済は混乱し、暫定政権への不満が拡大。「ジャスミン革命」と呼ばれた政変の高揚感は、失望に変わりつつある。

 「革命後は誰もが仕事を得られ社会正義が実現すると思ったが、状況はむしろ悪化している。新しい革命が必要だ」

 大学卒業後も就職できない若者らでつくる「失業者同盟」の幹部アイヤーリ氏(35)は、本紙の電話取材に憤りをぶちまけた。

 政変を引き起こした原因の一つは、貧困や経済の低迷だ。だが、革命直前に13%とされた失業率は、政情の不安定化で主産業の観光が影響を受け、現在は18%前後にむしろ悪化しているという。

 怒りの矛先はイスラム政党「アンナハダ」などが発足させた暫定連立政権に向けられる。アイヤーリ氏は「政府には経済政策の展望がない。各地で抗議活動が急増している」と話す。

 経済の安定に欠かせない民主化プロセスも停滞。二〇一一年十月に制憲議会が発足後、一年で憲法を起草し、議会選を経て本格政権に移行する予定だった。しかし、憲法制定は遅れ、選挙は今年六月に延期された。

 政治評論家カマル・サハヌーン氏は「アンナハダは憲法制定で主導権を握ろうとしている上、選挙に勝つ環境が整うまで、意図的に民主化プロセスを遅らせている」と指摘。選挙はさらに延期されるとの見方を示した。

 AFP通信によると、先月は政変の発火点となった中部シディブジドを訪れたマルズーキ暫定大統領に、住民らが抗議の投石をする騒ぎもあった。政府は十四日に首都チュニスであった記念式典に、民主化運動で同様に長期政権が倒れたエジプト、リビアの代表団も招待するなど祝賀ムードの盛り上げを図ったが、国民の不満解消にはつながりそうにない。

 

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