新年恒例のユーラシア・グループがみる世界のリスク、トップ10が発表された。
(1)新興国
BRICsと、もはやひとくくりで語ることはできない。ブラジルは先進国並みに近づいている。しかしロシアは政治腐敗、頭脳流出、資本逃避などをコントロールできず、新興国どころか「沈みゆく国」となっている。インドは経済減速に対して政治的対応も、その意思も見えない。
(2)中国の情報社会
中国の中産階級は家庭でも職場でも情報へのアクセスを求めるが、中国政府は引き続き情報を規制している。その結果、日本との領土問題などでナショナリズムが沸騰しつつある。中国はいずれ世界一の経済大国となるが、それでも国民は貧困で全体主義国家であろう。これは大きなリスクだ。
(3)アラブの「夏」
中東ではイスラムのスンニ派とシーア派の暴力的対立が激化している。アラブの春以降、経済成長も実現できていない。米国は傍観。そこに他の勢力が入り込む。
(4)米国
金融危機や政治的要因に誘発されたリセッションを予言しているわけではない。しかし、財政の崖問題に見られるような「瀬戸際政策」は経済成長を阻む。しかし、新興国に比し、リスクは小さい。
(5)JIBs(ジャパン、イスラエル、イギリス)
この3カ国は親米国であるが、米国にとっての重要性は薄れつつある。にもかかわらず中国、中東、経済危機の欧州の隣に位置する国々で、地政学的リスクにさらされている。しかも、その地政学的問題に対して建設的な役割を果たせず、国内問題により対応できずにいる。日中領土問題に有効な解決策が見いだせない。イスラエルは中東のあらゆる火薬庫に接している。英国は欧州諸国の連帯から取り残されている。