日本は切り下げ競争する意思ない-中尾財務官が円安について
1月14日(ブルームバーグ):中尾武彦財務官は14日、円相場の下落について、日本が「切り下げ競争」をしているわけではないと言明した。日本の為替政策については、米金融当局者から懸念の声が出ている。円は同日、対ユーロで一時1ユーロ=120円台を付ける円安水準となった。
中尾財務官は香港でのフォーラムで、安倍晋三首相率いる「新政権に通貨の切り下げ競争をする意思はない」と語った。円の下落は「それまでの行き過ぎた上昇の調整」だとの見解を示した。
安倍政権が円安による成長てこ入れ・輸出業者支援を目指せば、他国が追随して通貨切り下げ競争を引き起こす恐れがあるとの懸念が浮上。米セントルイス連銀のブラード総裁は10日、為替レートをめぐる日本の姿勢について、「いわゆる近隣窮乏化政策」だと述べ、「若干困惑」していると発言していた。
円は14日、一時1ユーロ=120円13銭と、2011年5月以来の120円台に下落した。東京時間午後1時19分は1ユーロ=119円93銭、1ドル89円58銭。
中尾財務官はデフレ脱却の決意に関する安倍首相の「強い発言」だけが円安の原因ではないと指摘。欧州の安定と米経済回復の兆候、米国の歳出削減・増税を延期する暫定的な合意も要因だと分析した。
原題:Japan Sees No ‘Competitive’ Devaluation as Yen Breaks 120a Euro(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:香港 Kana Nishizawa knishizawa5@bloomberg.net
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更新日時: 2013/01/14 19:59 JST