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世界初 スピーカ用、純マグネシウム振動板の開発に成功。

平成16年3月11日

フォスター電機株式会社(東京都昭島市 田貢社長)は、三菱製鋼株式会社(東京都中央区 加藤秋夫社長)と共同で、最小厚さ0.03mm までの連続温間圧延による純マグネシウム箔のコイル圧延材を用いた、スピーカ用 超薄肉 純マグネシウム振動板の開発に世界で始めて成功しました。

従来のマグネシウム合金製振動板と比較して、軽量かつ振動減衰性能が2倍を超えるという性質から、ひずみが少なく、より広帯域においてピーク感や金属固有の残響音が少ない良好な音質を得られます。

純マグネシウム振動板の詳細情報

素材の特徴

これまで、スピーカ用振動板には紙、金属、プラスチックなどの素材が使用されて来ており、金属系ではアルミ合金、チタンなどの軽金属が高い剛性と振動板を伝播する音速の速さにより、ツイーターを中心に使われてきました。
反面、金属が持つ振動減衰性能の低さから、ピーク感や金属固有の残響音があるなどの欠点がありました。

アルミ、チタンなどに比べて、より軽量・高剛性で振動減衰性能が高いマグネシウムは、薄肉化や成形などの加工が難しかったことから、近年になってマグネシウム合金を用いた薄肉の振動板が開発されて来ています。

純マグネシウムにおいては、マグネシウム合金より更に加工難易度が高い材料でありましたが、今回これらの技術的な課題を克服いたしました。

  純マグネシウム マグネシウム合金 アルミニウム合金 チタン
比重 (g/cm3) 1.74 1.77 2.74 4.50
ヤング率 (GPa) 40 41 65 110
音速 (m/s) 4760 4880 4880 4940
比曲げ剛性 2.76 2.72 1.78 1.10
振動減衰性(内部損失) 0.0100 0.0044 0.0025 0.0020
※自社測定器による物性値

特徴と技術的ポイント

フォスター電機株式会社はマグネシウム系金属の中で最も軽量かつ高い振動減衰性能を持ち、振動板として理想の金属とされる純マグネシウム(純度 99.9% )に着目いたしました。

三菱製鋼株式会社の協力を得て、同社の持つ特殊連続温間圧延技術や、蓄積された金型設計、温間深絞り加工技術に加え、素材に特殊樹脂をコーティングし その潤滑効果により絞り性を向上、初めて純マグネシウム振動板の成形に成功いたしました。

この特殊樹脂の極薄膜コーティングは、音質を損なうことなくマグネシウムの欠点とされる腐食性を解消する防錆皮膜機能も兼ね備えるもので、三菱製鋼株式会社により特許出願中であります。

今回開発された振動板は、厚さ 0.05 mm の純マグネシウム箔を採用した 25 mm 口径のドーム型ツィーター振動板で、マグネシウム合金( AZ31 )と比較して高い剛性と振動板を伝播する音速の速さを損なうことなく、振動減衰性能が2倍を超える優れた特性を持ち、従来のアルミニウム合金、チタンと比較すると4〜5倍の振動減衰性能を持っています。

25DIA DOME TWEETER応用例

素材の特性をさらに生かすため、形状には非軸対称形状を採用、高域振動のピークを分散させ周波数特性のフラット化および低歪化により音質を向上させました。

今後は、より忠実な音の再現を求められるSACD、DVDオーディオなどの高級Hi−Fiシステムや、スーパーツィーターなどの用途へ展開を図る予定です。

また、純マグネシウムはスピーカの主要部品である振動板以外では、ボイスコイル用のボビンにも有効でありボイスコイルボビンとしての開発も進めております。

【音質評価】
チタン、アルミと比較して

●ハード系材料特有の「ピーク感」 「材料の固有の残響音」が少ない。

●音の「スピード感」は損なわれず 「力強さ(太さ)」がある。

より忠実な音の再現、広帯域、高音質が求められるSACD、DVDオーディオなどの高級Hi−Fiシステムやスーパーツィーターなどの用途が期待できる。

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