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1章 4月
1-7 お昼休みの阿鼻叫喚
ジリリリリリリリリリ・・・・・・っ!!

「ん・・・んうぅ・・・」

翌朝、私はめざましの音で目を覚ました
自分の胸元を見てみると零夢は私の胸に顔をうずめながら小さな寝息を立て寝ている

「んふ・・・可愛い寝顔・・・」

今の私はきっと優しい表情をしているだろう
零夢の髪をそっと撫でながらその様子を見ると私はなんだか優しい気持ちに包まれ、いつまでも零夢の寝顔を見ていたいような気持ちになる
しかしそうはいかない、朝食と学校が待っているのだ

「零夢、起きなさい、朝よ零夢」

「ん・・・うぅ・・・」

私は零夢の体を優しく揺すると目を覚ましたようだ

「ふぁぁ~・・・んぅ?
あ、おふぁようごじゃいます・・・亜希しぇんぱい・・・くぅ・・・」

しかしまだ寝ぼけているようだ
といか、寝ぼけるロボットって一体・・・

「こら、ちゃんと起て自分の部屋で着替えてきなさい」

「ふぁ~い・・・」

零夢の身体をもう一度軽く揺するとどうにか起きたのだろう、目を擦りながら自分の部屋へと歩いて行った

「ふふ、しょうがない子ね♪」

・・・
・・・・・・ん?
っ!!
私は一体何をしたっ!?
気がつけば完全に女の子になっていたっ!!
なんだよっ!今の「ふふ、しょうがない子ね♪」ってっ!!
しかもいつの間にか「母性本能」っていう新スキル覚えてるしっ!?
ああ・・・もう私ダメかも・・・(泣)
さようなら、男の心、こんにちわ、女の心
うふふ・・・(自棄)
私は暫くベッドの上で両手両膝をつき項垂れていた

「あれ?亜希先輩着替えないんですか?
・・・ていうか、どうしたんですか?」

「ううん、なんでもない、何でもないの・・・」

私が項垂れていると零夢が様子を見に来たのだろう、なにか心配そうに声をかけてくれたが私は小さく首を振りながらそう答えるのがやっとだった
はぅぅ・・・
そして私はショックを抱えたまま朝食を取り学校へと向かっていった


-昼休み・・・-

「疲れた・・・」

私はそう言うと机に突っ伏していた
何に疲れたのかというと授業もそうなのだが、一番の原因は休み時間の度に訪れるクラスメート達からの質問攻めだろう
次から次に質問され、それの対応に一番疲れた
かなたさんのほうも少数の人に囲まれていたようだが一番囲まれていたのは明らかに私の方だろう

「亜希ちゃ~ん、ご飯食べに行こう♪
・・・て、あれ?なんか死んでるよ?」

声からすると相手はレナだろう
死んだように机の上で倒れている私に声をかけてきた
どうやらご飯のお誘いらしい
そう言えばお弁当はないから学食に行かないといけないんだっけ・・・
うぅ・・・なんか動くのも億劫だ

「亜希ちゃ~ん、起きてる~?」

レナなそう言いながら私の頭をつんつんとつついている

「う~・・・やめてよ~・・・」

「あ、起きてた、ほら、ご飯食べに行くよ~」

私はレナにせかされるように起き上がった
ふとみるとレナの後ろにはかなたさんまでいた
どうやら彼女もレナに拉致(?)されたらしい

「それにしても亜希ちゃん今日は大人気だったね~
昨日は亜希ちゃんが先生に呼ばれた後、かなたちゃんが全員から質問攻めに会ってたからね
今日は殆どの人が亜希ちゃんに行ったんだろうね~
いやー、人気者は辛いねー、にしし♪」

「そう思うんならそっとしといてよ~・・・」

「そうは行かないよ、ご飯食べないとお腹すくよ?
ほらいくよ~」

私は批難の声を上げるもレナはお構いなしといった感じで彼女に拉致されるような感じで教室を出た
するとそこに見覚えのある3人がいた

「あれ?先輩方もこれから学食に行くのですか?
私達もちょうど学食に向かうところだったんですけど、よければご一緒させていただいてもいいですか?」

見覚えある3人の一人、みゆきさんは笑顔を浮かべていた
そして彼女の後ろには零夢と風香さんまでいた
どうやらこの二人もみゆきさんに連れられて学食に行く途中だったようだ
というかお嬢様学校だけあってみゆきさんも学園内ではお淑やかな言葉を使っているようだ

「うん、いいよ、じゃあ、皆で一緒に行こう」

それとは対照的にレナはいつも通りだった
というか、学園内では敬語を使い、フランクな喋り方はダメだって言ったの誰だっけ?
それをレナに聞いてみると「寮の皆はいいんだよ、知らない仲じゃないんだし」と笑って誤魔化していた
うーん、大雑把だ


学食に着いた私はその広さに驚いた
私が今まで通っていた男子校の学食とは比較にならないほどの広さ
まさに全校生徒がこの学食に来ても入れるのではないだろうかというほどの広大な広さで会った
それに驚いたのは私だけではないらしくかなたさんや零夢、風香さんまで目を丸くしていた

「どう?驚いたでしょ?
この学園の学食はかな~り広いんだよ
文字通り全校生徒を収容できそうなほどの広さなんだ」

レナが楽しそうに学食の説明をしてくれた

そして私は食券機の前に立つとさらに驚いた
そこには様々なメニューの食券が並んでおり、和食、洋食等様々なメニューが揃っているが、何故か中華はなかった
お嬢様学校ということだから中華は会わないのだろうか?
そう思いながら私達は食券を買い、カウンターで料理と引き換えてもらうと開いている席へと座った
そして食事をしているとなにやら零夢がニコニコしながらご飯を食べている
なにかいい事あったのかな?

「あれ?零夢ちゃん、ニコニコしてるけど、なにかいい事あったの?」

レナもそれに気が付いたのか問いかけて見ることにしたようだ

「そうなんです、零夢さん朝からこんな感じでニコニコしてるんです」

そんな中風香さんが割って入り零夢の様子を伝えてくれた
というか、朝からなのか

「零夢ちゃんなにかいい事会ったの?
ねね、私達にも教えてよ♪」

と、みゆきさんが興味津々な顔で聞いている

「えへへ~、分かっちゃいました?
えっとですね、実は今日すごくいい夢を見たんですよ、それでつい笑みがこぼれちゃいまして」

零夢が笑いながらそう答えていたが、どんな夢を見ていたんだろう・・・?
そう思った瞬間「お母さんと」と呟いていた零夢を思い出した

「どんな夢を見たの?」

かなたさんも興味があるらしく零夢に問いかけている

「私、お母さんに優しく抱きしめられてる夢を見たんです
私の両親は外国にいるから・・・」

「ああ、そっか・・・
零夢ちゃんは帰国子女だったもんね、というかご両親は海外にいるんだ」

零夢の返答にレナが頷きながら自分の料理を食べている

「それで、私はちょっと寂しい気持ちになって、亜希先輩に昨日一緒に寝て欲しいとお願いしたら快く引き受けてくれたんですよ
そしたら亜希先輩、私の気持ちを察してくれたのか優しく抱きしめてくれて・・・とっても嬉しかったんです」

「わ~そうなんですか、亜希先輩、すっごく優しいんですね                     
いいなー、私も零夢ちゃんみたいに優しく抱きしめてほしいなー」

みゆきさんがうっとりとした表情で私を見ている

「そうだよね、ボク・・・じゃなかった、私も亜希ちゃんに抱きしめられたいな~・・・
今度ベッドに潜り込んじゃおうかな~」

そしてレナまで私を見つめている
うぅ・・・なんか恥ずかしい

「それいいですね、レナ先輩っ!
今度こっそり二人で潜り込みましょうっ!!」

「そうだねみゆきちゃんっ!!
二人で亜希ちゃんを抱きしめちゃおう♪」

いつの間にかレナとみゆきさんはがっしりと手を組んでいた
しかもいつの間にか私を抱きしめる方向に変わってるし・・・
そんな野望捨ててください、今すぐにっ!!

「その時は一緒にかなたちゃんや風香ちゃんも来る?
みんなで亜希ちゃんを抱きしめちゃおうよ♪」

「いえ、私はご遠慮しておきます」

「・・・私もいいんですか?
ではお言葉に甘えて・・・」

レナのとんでもない発言にかなたさんは苦笑しながら断っていたが風香さんはやや顔を赤くしながら小さく頷いていた
なに?私オモチャなの?寮のマスコットなの?

「そんな・・・皆で来られても困るよ・・・」

「そうですよっ!亜希先輩は私のお姉ちゃんなんですよっ!!」

私はそろそろ抗議してもいいだろうと思いさり気なく文句を言うと零夢も援護してくれた
ていうか、お姉ちゃんって何?

「おやぁ~、零夢ちゃん、今のお姉ちゃん発言は何かな?
ボクにお話してみようか♪」

レナは目を輝かせながら零夢に問いかけている
というか地に戻ってるよレナっ!!
しかも周りを見渡せばいつの間にか人集りができており、全員興味津々なのか零夢の顔をじっと見たり、聞き耳を立てたりしていた

「だって、亜希先輩は両親がいなくて寂しかった私を優しく、まるでお母さんのように抱きしめてくれたんです
そのおかげで私の心は凄く温かい気持ちになれました
ですから私にとって亜希先輩は心の姉、いえ本当のお姉ちゃんのようなんです」

零夢のそんな言葉が私を優しい気持ちにしてくれる

「私はただ、零夢の寂しそうな顔を見たくなかっただけよ
それにあなたは一人っ子の私に出来た大切な妹、零夢が私を姉だと思ってくれるのなら、私はあなたのお姉さんよ」

私は優しい表情を浮かべながら零夢の頭をそっと撫でた
その瞬間・・・

「きゃぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」

周囲から黄色い歓声が上がっていた
なっ、なにっ!?

「聞きました?今の、こちらの亜希さんって方、あちらの新入生の子にとてもお優しいですのね」

「ええ、羨ましいですわ~、私も優しく抱きしめられてみたいものですわ」

「あぁ・・・亜希お姉さま・・・私の頭も撫でてくださらないかしら・・・」

「神様、この場に来られた偶然を感謝いたします」

なんか皆私を見ているような気がする
うぅ・・・恥ずかしい・・・

「亜希ちゃんすごい人気だね~♪
ここまで人気だとさすがのボクも少し妬けちゃうよ」

「はは・・・ははは・・・」

もう苦笑いしかでない・・・
神様、いるのでしたら助けて下さい、今すぐにっ!!


私達は黄色い歓声が飛び交う中どうにか食事を済ませ教室へと逃げてきた
あれままるで地獄の釜の蓋を開けたかのような感じだ・・・
まだ耳の中で黄色い声が聞こえてくるようなきがするよ・・・
そう思いながら私は教室のドアを開けると花梨さんだったかな?が寄ってきた

「亜希さん、かなたさん。先ほどリア先生が来られて注文していた体操着が届いたそうなので購買部へ取りに行くようにと言ってましたよ」

体操着・・・ああ、そういえば編入した時に注文してたんだっけ
時間は・・・もうすぐ午後の授業が始まるのか、放課後に取りに行こう

「分かりました、花梨さん。わざわざ有り難うございます。明日の体育にはどうにか間に合いそうで良かったです
では放課後にでも取りに・・・」

私がそう言いかけた時

「た・・・体育ーーっ!?」

突然かなたさんが突然なにか驚いたような声をあげていた
一体どうしたんだろう?

「えっと、かなたさん・・・?どうしたんですか・・・?」

「えっ!?あ、ああ、いえあの・・・
購買部はどこだったかしらと思って・・・」

私は恐る恐る聞いてみるとどこか明らかに動揺を浮かべながらかなたさんはそう答えていた

「あ、購買部なら放課後私が案内してあげるよ」

かなたさんがそう言うとレナが購買部への案内を買って出てくれた
確かにそれはありがたい、私も購買部の位置ってあまり知らなかったんだよね
そして放課後、私達は購買部で体操着を受け取ったが、かなたさんはどこか焦っているようなそんな感じがしていた
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