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1章 4月
1-4 母降臨
それから程なくするとチャイムが鳴り、みんなはどこかへと移動を始めていた
レナに聞いてみると新学期の全校集会があるのだという
全校集会か・・・メンドクサイな・・・
例によって校長とかのムダに長い話があるんだろうなー・・・憂鬱だ・・・
そう思いながら全校集会が行われるという体育館へと移動した

そして現在、学園長かな?のありがたくなが~い話を聞かされ、ウンザリしているところ
どこの学校もこれだけは変わらないらしい
ようやく長い話が終わろうとした頃それは起こった

「では次に新しく赴任された先生のご紹介を致します
風原先生、どうぞこちらへ」

新しい先生が来たのか、どんな人だろう・・・
って、風原?・・・まさかね・・・
私は嫌な予感を覚えながらステージに目をやった

「こちらが新しくこの学園に赴任されることとなりました、風原 冬美先生です
現在産休をされている保険医の水越先生の代わりとして赴任されました
風原先生、ご挨拶をお願いします」

「あ、はい
この度この学園に赴任することになりました風原と申します
先ほど学園長も言われましたが保険医となりますのでみなさん、よろしくお願いしますね♪」

(ぶーーーーーーーっ!!!)

私は思わず吹き出しそうになったが、なんとか堪えることが出来た
かっ母さんっ!?
一体何やってるんだっ!?あの人はっ!!
私はあまりの恥ずかしさに顔を俯かせていると、何やら視線を感じる
恐る恐る顔を上げて誰が見つめているのかと思ったら母さんが私を見つめていた
目敏く発見されてるっ!?
バカな・・・
この人数で私だけを発見するとは・・・
やはりニュー◯イプなのか・・・?
とりあえず保険医って言ってたな・・・
保健室には近づかないようにしよう


どっと疲れを感じた私は全校集会を終え教室へと戻ると机に突っ伏した

「どしたの?亜希ちゃん、なんか疲れ果ててるけど・・・」

「いえ・・・なんでも・・・なんでもないんです・・・」

半分死に体の私にレナが心配そうに声をかけてきてくれた
こういう時にこういう時に友達の気遣いってなんか嬉しい
嬉しいのだが、起き上がる気力は残されていないようだ・・・(気力50 最低値)

「そう言えば新任の先生確か風原って言ってたけど、ひょっとして亜希ちゃんのお母さん?」

ギックゥーーーーーーっ!!
レナが出来れば触れられたくない所に触れてきた
苗字一緒だからすぐにわかるよね・・・普通

「いえ、あの人は・・・私とは無関係・・・デスヨ?」

「ふーん、やっぱりお母さんだったんだね」

私は冷や汗を流しながらどうにか誤魔化そうとしたが、すぐにバレてしまった
うぅ・・・私って嘘つくの下手なのかな・・・

「あれ?亜希ちゃんなんでバレたの?って顔してるね
だって顔に出てるんだもん、すぐに分かっちゃうよ、あはは」

・・・今度ポーカーフェイスの練習をしよう
私はそう心に固く誓っていると、教室のドアが開かれ担任教師と思われる人が入ってきた
その瞬間思い思いの話を咲かせていた生徒たちは席に着き、しんと静まっていた
その先生は銀髪で髪が長く、透き通るように白い肌のスラっとした長身の女性
外国の人だろうか?
そう言えばクラス割の表で見た時も担任の名前は外人っぽい名前だったな

「私が今年一年、このクラスの担任となるリア・ヴィクトリアです
担当科目は英語です、皆さんよろしくお願いします
さてまずは、全員の自己紹介と行きましょう」

やっぱりあの人が担任なのか
銀髪で赤い瞳なんて珍しいな・・・
というか、自己紹介か・・・
なんて言おうか・・・普通に名前と趣味や特技くらいでいいかな?
そんな事を考えてるとすぐに私の番がやってきた
毎度のことながらこういうのはすぐに回ってくるんだよね・・・はあ・・・

「私は風原 亜希です
今年度からこちらの学園に転入して来ました
趣味・・・というか、特技は家事全般で、空手もやっていました
どうぞよろしくお願いします」

私は無難な自己紹介をすると席についた
こんなんでいいよね・・・?

自己紹介は次々と進み、レナの番へと回ってきた

「はい、ボク・・・じゃなかった、私はレナ・フローベルと言います
特技はま・・・えっと、剣道と柔道を習っていました
よろしくお願いします」

レナはボクと言いかけて慌てて修正していた
寮ではボクって言ってたからな・・・そのクセが出たのかな
ところでさっき言いかけた「ま」ってなんだろう?
その瞬間リア先生がレナを睨んでたような気がしたけど・・・
うーん、まあいっか

そんな事を考えているといよいよかなたさんの番が回ってきた

「私は御堂 かなたと申します
趣味や特技は・・・特にこれと言ってありません
皆さん、どうかよろしくお願い致します」

なんか、かなたさんやんわりとした物言いだったな
さすがお嬢様ってところかな?
でもなんかおずおずとした感じもしたような・・・
それにしても趣味や特技って特に無いんだ・・・うーん、意外かも


全員の自己紹介を終え、クラス役員も以外とすんなり決まった(ちなみに寮のメンバーはなぜかどのクラス役員にも選ばれなかった、うんいいことだ)
放課後を迎えたので、私たちは帰ろうとした時リア先生から呼び止められた

「あ、風原、悪いけど、ちょっと来てくれるかしら?」

なんだろう?
まさかここで母と涙のご対面とか言わないよね・・・
というかそれはやめて欲しい・・・
これ以上母さんに関わると碌な事にならない・・ような気がする
そんな不安を覚えながらリア先生の後についていくと、生活指導室へと通された
生活指導室には誰もおらず今いるのは私とリア先生だけみたいだ
ていうか、私何かしたっけっ!?

「あー、風原、突然のことで悪いんだけど・・・ちょっと面倒事を引き受けてくれないかな?」

「面倒事・・・ですか?」

「うん、とある生徒を見てやってほしいんだ
と言っても変な意味でじゃないよ?今年寮に入る子でね・・・」

「はぁ・・・」

リア先生の言う面倒を見て欲しい子って誰だろう?
というか、口調変わってるよね?微妙に・・・
それに、寮に入る子ならレナに言ったほうがいいんじゃないだろうか?

「その前に・・・風原はガン◯ムとかは好き?」

「・・・は?」

リア先生の突然の質問に私はそう答えるのがやっとだった
え・・・?ガン◯ム?
え?どういうこと?

「ええ、まあ好きですけど・・・」

「そうか、じゃあ、マ◯ロスやア◯エリ◯ンなんかはどう?」

リア先生の質問に私はますます混乱してしまっていた
言っている意味が全くわからない

「あ・・・あの・・・先生、言っている意味がいまいち分からないのですが・・・?」

「え・・・?ああ、すまない
でも聞いている点については一緒なんだけど・・・」

聞いている点・・・?
ガン◯ム、マ◯ロス、ア◯エリ◯ン・・・
それらの共通点・・・
・・・ロボット?

「大方察しはついたようだね・・・
実は風原に見ていて貰いたいっていう子というのはね、今年新入生として入ってくる朝倉 零夢(あさくら れむ)っていうロボットなんだ」

・・・は?
えっと・・・?冗談?
・・・ああ、さっきの質問の続きか(錯乱中)

「・・・ガン◯ムの作品では私はGガン◯ムが好きでしたね
特にあのシャ◯ニングガン◯ムが好きで・・・
それにあとはガ◯ー大佐
あれはカッコ良かったですねー」

「いや、気持ちはわかるけど、本当のことなんだ
試験的に作られたロボットでね、開発元が人間社会での運用テストを兼ねてまずは学校生活で社会勉強をさせようという動きになってね
ウチの学校に預けられたんだよ」

リア先生は必死に説明をしようとしているけど、正直信じられない
いきなりロボットの面倒を見てくれと言われても・・・
というかロボットって、あのロボットだよね・・・?金属質むき出しの・・・
それを私にどうしろと言うんだろうか

「あー、やっぱり実物見せないと無理か・・・」

私の困惑した表情を見たのだろう、リア先生はそう言うと手を額に当て困った顔をしていたが、私が一番困った顔をしたい
もう帰ってもいいだろうか?そう思ってると生活指導室のドアが開いた

「失礼しまーす、リア先生いますかー?」

私は開いたドアの方を見ると一人の女の子が笑顔で立っていた
背は私よりやや低いかな?茶髪のショートカットの髪に一本だけ髪が跳ねていた
あれはいわゆるアホ毛ってやつだろうか?
そして頭にはカチューシャを付けており、それでアホ毛を隠せばいいものを別の所にそのカチューシャは来ていた

「ああ、朝倉、いいところに来てくれた
風原、彼女がさっき話した子だ
型式番号HRG-01 朝倉 零夢
ほら、朝倉、挨拶くらいしなさい」

「あ、はい
初めまして、風原先輩
私HRG-01 朝倉 零夢と言います
零夢って呼んでください」

朝倉さん・・・もとい零夢さんが笑顔を浮かべながら自己紹介をしてきた
え・・・?あの子がロボット・・・?
え?本物の女の子にしか見ないんだけど・・・

「この子は一見人間にしか見えないんだけど、本当はロボットなんだ」

「ハイ、ワタシハ、アサクラ レム、ロボットデス」

「無理にロボっぽく喋る必要はないの」

零夢さんがロボっぽく喋ると、リア先生はため息をつきながら彼女の頭を軽く小突いていた

「まあ、信じられないのも無理は無いんだけど・・・
この子は本当にロボットなんだ
しかも最新技術で作られたプロトタイプ
とりあえず社会勉強をさせて欲しいということでね・・・」

「は・・・はあ・・・
あの・・・エネルギー源はなんですか?」

私は呆れながらため息をつくと、とりあえずはエネルギー源を聞いて見ることにした
やはりここは聞いてみるのが筋だろう

「ん?ああ、確かエネルギーは光◯力で装甲は超◯金◯っていってたかな?」

「ぶーーーーーーっ!!!」

私は思わず吹き出してしまった・・・
マジ◯ガーかよっ!!
というかそれ設定ありなの・・・っ!?

「冗談だ、動力はプラズマジェネレーターに生体ユニットの身体だよ
エネルギー補給は食物を摂取して行うらしい
食べるものは食べるし、出すものは出す
普通に人間として扱ってくれて構わない
寧ろ人間として接してやって欲しい」

「先生、そんな事行ったら恥ずかしいです・・・」

リア先生って冗談言うんだ・・・
ていうか、ロボットなのに照れるんだ・・・

「とまあ、そんな訳だから風原、この子のこと頼める?
勿論無理ならそれでも構わない」

「は・・・はあ、わかりました
・・・ところでなぜ私なんですか?」

「ん?ああ、それは君が元男だからさ
ロボットとか好きだったんでしょ?」

ギックーーーーっ!!
なんでこの人そんな事知ってるのっ!?

「ふふふ、なんで知ってるのかって顔してるね
それは書類に書いてあったからね
それと君のことを知っているのは私の他には学園長と教頭先生だけ、あとはここにいる朝倉くらいかな?」

なんだ、そうだったのか・・・
って!書類に書いてたのかよっ!!
なんか恥ずかしいっ!!

「・・・風原、君は面白い子だね
恐い顔をしたと思ったらすぐに恥ずかしそうに手で顔を覆ったりと見てて飽きないね」

リア先生はニヤリと笑みを浮かべながら私を見ている
そんなに変な顔してたのだろうか?
・・・本当にポーカーフェイスを覚えよう

「とりあえずそういう訳だから、よろしく頼むよ
あとこれがこの子の取扱説明書が入ったCD-ROM
寮の君の部屋にパソコンくらいあるだろう?帰ってからしっかり読んでおいて
それと何かその子のことで困ったことがあったら君のお母さんに聞いてみるといい」

そう言うとリア先生は私に一枚のCD-ROMを手渡してきた
というか、分からないことがあったら母さんに聞けだって?
どういう事だろう?

「あの、先生?それは一体どういう事ですか?」

「ん?なんだ、知らなかったのか
君のお母さんはこの朝倉の設計と開発を行った人じゃなかったの?」

・・・へ?
母さんがこの零夢さんの設計と開発を・・・?
え?母さんはスーパーのパートじゃなかったの?
私は頭の中に大量の「?」が浮かんだ

「ふむ、その様子じゃ本当に知らなかったみたいだね
兎に角そういう事だから、なんだったら後でお母さんに聞いてみるといい
あ、それと君自身のことでなにか困ったことがあったら、いつでも私に相談しなさい
今は女の子とはいえ元男だったんだからね、分からないことは色いろあるだろうし
それに私は君の担任だからね
じゃ、もう帰っていいよ、時間取らせて悪かったね
それとその子のことよろしくね」

「は・・・はい、分かりました・・・」

私は訳が分からないまま零夢さんを連れ
・・・というか押し付けられ生徒指導室を後にした


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