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1章 4月
1-3 クラス割
-ジリリリリリリリ・・・-

「ん・・・んぅぅ・・・」

私はセットしておいた目覚ましの音で目を覚まし、辺りを見渡すとそこは見覚えのない部屋だった

「・・・あれ?ここは?
・・・あ、そうか
昨日から学生寮に入ったんだった・・・ふあぁぁ・・・眠い・・・」

一瞬ここがどこだが分からなかったがすぐに思い出した
時計を見ると時間は6字30分を指している
支度をしてたら丁度いい時間になるだろう
私は眠い目を擦りながら起き上がると服を着替え、ドレッサーの前に座って寝ぐせを直したり軽くメイクを行った
このメイクテクもこの学園に転入が決まってから母さんから嫌というほど教えられたもので、すっかり体に染み付いてしまっていた
なんで元男の私がメイクをする破目になってるんだろう・・・
やや理不尽なことを思いながらも支度を終えると一階へと降りた
一階に降り、リビングのドアを開けると朝食のいい匂いがしてきた
そしてそれらを準備しているレナやみゆきさんの姿があった
私も手伝おうとしたが、やんわりと断られてしまった
しかたない、大人しく席に座っておこう
いつも7字30分まで寝ているのだが、いつもより早く起きているせ所為か、眠気が襲ってくる
気を抜くとテーブルの上に突っ伏して寝てしまいそうだ
というか、女の体になってからというもの、どうも朝がいつもより弱くなったような気がする・・・これがいわゆる低血圧ってやつだろうか?
私は必死に眠気と闘いながらも、ウツラウツラとしていると誰かに頬を突かれている感触を感じた

「あはは、亜希ちゃんまだ夢のなかにいるのかな~?
早く起きないと亜希ちゃんのこのホッペをつついちゃうぞー?
ほれほれ~♪」

「う~・・・やめて~・・・」

一体誰だろう、寝ぼけ眼で見てみるとレナが楽しそうに私の頬をつついている
私は半分寝た感じで非難の呻き声(?)をあげるとレナは更に嬉しそうにつついてきた

「亜希先輩、可愛い~♪
レナ先輩、私もいいですか?」

「いいよ、みゆきちゃんも一緒にこの寝坊助さんをつつきたまへ~♪」

みゆきさんはこの可愛い生き物は何?みたいな感じで私を見ながら目を輝かせている
そしてなぜかレナの同意を得ると彼女までまたしのホッペをつつきだした
ていうか、つついているの私のホッペだよね?同意求める相手間違ってるよね?

「わ~、亜希先輩のほっぺた、プニプニして柔らか~い
それにお肌もすべすべだし、髪もさらさらで綺麗、いいな~♪」

「うぅ~・・・やめてよ~・・・」

さらに私は非難を声を上げるも、しばらく二人から頬をつつかれ続ける破目になってしまった
どうやらこのリビングで寝落ちしてしまうと彼女たちのオモチャとされてしまうようだ
なんて恐ろしいんだ・・・

「・・・みんなそこで何してるの?」

いつの間にかかなたさんが降りてきたのだろう、私が頬をつつかれている光景を呆然と見ていた
というか見てないで助けて・・・


それからしばらくしてようやく私は開放され、そして皆で朝食をとっている

「うぅ~・・・皆にオモチャにされた・・・」

「まぁまぁ、亜希ちゃん、そんなに拗ねないでよ
それにここで寝落ちする亜希ちゃんも悪いんだよ?私たちは寝ている亜希ちゃんを起こしてあげたんだから♪
善意だよ?ホントだよ?」

「そ、そうですよ、亜希先輩っ!
それに先輩とっても可愛かったですし」

私はやや非難の声をあげるとレナは笑いながら言い訳をしており、みおゆきさんもそれに便乗していた
確かに彼女たちから見れば寝落ちしていた私は弄ってくださいと言っているものなのかもしれない
でもなんか納得がいかない・・・
今度からリビングでは絶対に寝落ちしないようにしようっ!!
私は心にそう固く誓った


「さてと、これから学園に向かうわけだけど、亜希ちゃんとかなたちゃんに注意事項を言っておくね
学園内では人と話すときは敬語で話すこと、そして人を呼ぶときは必ずさん付けすること
あと一人称も「わたし」、もしくは「わたくし」ね、
この寮ではフランクな喋り方や呼び捨てでもいいけど、学園内はダメだから、まあ、二人は大丈夫だと思うけど、気をつけておいてね」

朝食を済ませた後、レナが学園内での注意事項を教えてくれた
なるほど、礼節も身につける場だとパンフレットに書いてあったからその為なのだろう


レナの注意事項を聞き、食器を片付けた私たちは皆揃って寮を出ると学園に向かうことにした
学園へと続く並木道にはたくさんの生徒の姿が見られ、様々な話し声や笑い声が聞こえてくる
そんな中レナやみゆきさんも声をかけられたりしていた
私達も寮の皆と他愛のない話をしながら学園へと向かっていると、何か人集りが出来ているのに気が付いた
レナの話ではどうやらクラス割の張り紙があるのだという
これからの私が一年間共に過ごすクラスと、クラスメイトが書かれているのだ、そう思うと期待と不安を感じた
知らない人ばっかりだったらどうしよう・・・
転入生なのだからほぼ全員知らない人なのだが、それでも同じ寮生であるかなたさんやレナと一緒のクラスになれればいいなと思い、祈るような気持ちでクラス割の紙を見ていた
すると3年2組に自分の名前を見つけた

「「「あ、3年2組だ」」」

「「「え?」」」

「えっ!?レナ・・・さんやかなたさんも同じクラスっ!?」

「うん、亜希ちゃんとかなたちゃんもっ!?」

「これはすごい偶然ですね」

私達3人はいつの間にか手を繋ぎながら同じクラスになれたことを喜んでいた
少なくともこれで全員知らない人達に囲まれてるという最悪の事態は避けられた
でもまさか皆同じクラスになれるとは思わなかったな♪
知ってる人がいるだけでかなり心強く感じる

「そう言えば担任の先生って誰なんだろう・・・?」

私はクラス表の紙を見直すと、3年2組の担任教師の名前を探すことにした
するとそこには「リア・ヴィクトリア」という名前が掻いていた
・・・外人さん?
私はそんな事を思いながら、レナとかなたさんと一緒に自分の教室へと向かっていった
これから楽しい一年になるといいな、そんな期待を胸に私の学園生活は幕をあげた


教室にたどり着くと、教室の中ではクラスメイトたちが思い思いの話に花を咲かせているようだ
様々な話し声や笑い声が聞こえる
堂々としていればきっと大丈夫、私は元男とは言え今は完全な女の子、・・・少なくとも身体は
-心も現在絶好調女体化中♪-
・・・って!誰の心が女体化中だっ!!
-解説にツッコんでもムダです☆-
くぅ~・・・あの☆マークが何かむかつくーっ!!
しかし女は度胸っ!!やーーってやるぜーーっ!!
私は訳註に抗議をしながらも気合とど根性を入れていると、かなたさんがなにか動揺している様子が見て取れた
かなたさんも転入初日だから緊張しているのだろうか
元男の私とは違い、お嬢様のようなかなたさんならではの緊張みたいなものがあるんだろうな
私はそう思いながらも教室のドアを開けた
その瞬間あれだけ賑わっていた教室が急に静まり返り、クラスの人達全員が私達の顔を見ている
うぅ・・・なんか恥ずかしい・・・

「まあ、お二方ともなんて美しいんでしょう・・・」

「本当、同性の私達でも見とれてしまいそうですわ」

え・・・?

「こちらの方達はレナさんのお知り合いですか?」

「はい、お二方とも私と同じ寮住まいなんです」

みんなに質問にレナさんが答えている
というかやっぱり学園じゃボクじゃないし、敬語もちゃんと使ってるんだ・・・
て、そんな事考えてたら失礼か・・・
でもなんか見慣れてないせいか、やや違和感を感じるかも・・・

「そう言えば御存知ですか?
あちらの黒髪の方、編入試験でほぼ満点を取ったそうですわよ」

黒髪の・・・て、ああ、かなたさんか
ていうか、ほぼ満点だったのか・・・私では到底足元にも及ばないな・・・

「それとあちらの茶色い髪の方は男性に絡まれて困っていた女性を助けてあげたそうですわよ?」

「まあ、正義感の強い方なんですわね、素敵ですわ~」

茶色い髪の・・・て、私のこと・・・?
・・・あの時のこと見られてたのか
気が付いたらクラス中の生徒たちが私達を取り囲んで黄色い声をあげ、私たちは圧倒されていた
私は圧倒されながらも黒板に目をやると、そこには出席番号順に名前と席の位置が書かれており、私は自分の席を見つけると逃げるように席へと着いた


席へ着いた私に一人の女生徒が寄ってきた
その女生徒はやや背が低めでポニーテールの髪型をしておりその付け根にはリボンで結んでいた
なんだろう?
まさかまた他にも何か言ってくるんだろうか・・・?
うぅ・・・勘弁して欲しい
というかそっとしといて

「えっと、風原 亜希さん、ですよね?」

「え、ええ、そうですけど、私に何か・・・?」

「あ、私このクラスの受付嬢の安藤 花梨(あんどう かりん)です」

「受付嬢??」

受付嬢・・・?なんだろうそれ?
よくビルの一階とかに座ってフロア案内をしているあれかな?

「あ、はい受付嬢とは教室のドアに一番近い人が行なうもので
淑女たるもの呼ばれてホイホイ出ていくものではないという、この学園のある種の習わしのようなものです」

なるほど、呼ばれたからってホイホイと出ていくものではないのか・・・
うーん、お嬢様学校とはなんとも面倒な習わしがあるんだなー・・・
つまり安藤さんはクラスの人の顔と名前をああやって覚えているのか
・・・私が受付嬢じゃなくてよかった


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