原子力規制委員会による関西電力・大飯原子力発電所(福井県おおい町)の活断層問題は、早期に決着しない可能性が濃厚になってきた。16日の評価会合では、地層のずれについて地滑りか活断層かで専門家の見方が割れた。規制委は追加調査を続ける意向だが、関電は「年単位の時間が必要」としており、当分は「グレー」な状況のまま運転を続けることになりそうだ。
大飯原発と同様の問題を抱える日本原子力発電の敦賀原発(福井県敦賀市)と東北電力の東通原発(青森県東通村)は、規制委による初回の評価会合で「活断層がある可能性が高い」との意見で一致している。これに対し大飯原発は「敦賀原発よりも判断が難しい」(島崎邦彦委員長代理)という。
昨年11月の規制委による現地調査後、関電は問題となっている敷地北部のずれた地層の周辺に大規模な溝を掘るなどした。豊富な地層データを集めた結果、「活断層の可能性が排除できない」と述べていた重松紀生・産業技術総合研究所主任研究員が今回、「ほとんど地滑りで説明が可能」と見方を改めた。
一方で渡辺満久・東洋大教授は「活断層だ」と従来の主張を変えなかった。関電の金谷賢生・土木建築室土木部長は「活断層だという理由をこちらが聞きたい」と話すが、溝は埋まっていない。
今後の焦点は、関電が敷地南側で実施する大規模な追加調査の行方だ。規制委はこの調査結果を踏まえて結論を出す方針。規制委が求める最大300メートルの掘削を行う場合は、環境調査や設備の移設が必要で、年内の決着も難しくなる。
グレーの長期化は、関電にとって追い風とは言えない。現在稼働中の大飯3、4号機は9月初旬~中旬に、2~3カ月の定期検査に入る。検査後に再稼働できるかどうかは不透明で、7月に実施される参院選を踏まえた政治情勢や地元自治体の対応が鍵を握る。
原発停止が地元経済に及ぼす影響を懸念する福井県の西川一誠知事は「政府はしっかりかじ取りしてほしい」と注文する。一方、京都府の山田啓二知事は「安心・安全の問題は最優先と考えている。危険だと判断された場合は廃炉にすべきだ」と話している。
仮に大飯原発が再稼働できない場合、関電の経営環境は厳しさを増す。同社は11基保有する原発の稼働がゼロなら、収支が年7000億円悪化すると試算する。4月の実施を目指す値上げでは足りず、追加値上げが現実味を帯びる。
最終的に規制委が地層のずれを活断層と認定すれば、関電は大飯原発の安全対策を見直す必要もある。国は原子炉の建屋など重要な施設を活断層の真上に建てることを認めていない。地層のずれは非常用取水路の直下を横切る破砕帯とつながっている可能性がある。設備の移設や補強などの対策が求められそうだ。
関西電力、大飯原子力発電所、島崎邦彦、日本原子力発電、西川一誠、山田啓二、東北電力
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