企画展示室
中ザワヒデキ展 脳で視るアート
12月8日(土)-2月17日(日)
※12月26日(水)、12月28日(金)~2013年1月4日、1月30日(水)は休館日
《シリョクヒョウ》1988年 アクリル、板 松前公高氏蔵
中ザワヒデキといえば、美術の根本を問い新たな表現のかたちを提示し続ける現代美術家として、その名を知る人も多いでしょう。しかし、その作品の典型を即座に思い浮かべられる人はそう多くないのかもしれません。というよりも、中ザワといえばこれだというような、ひとつの典型をみいだすことが極めて困難というべきでしょうか。中ザワの芸術遍歴はその展開の目まぐるしさのあまり、ひとつの固定イメージが一般に浸透するひまもありません。であればこそ改めて作品を辿ってみれば、制作活動の多彩ぶりに改めて驚かされることでしょう。中ザワは医学部出身で眼科医局勤務経験ありという異色の経歴の持ち主でもあります。そこで培われた理系知識の発揮された〈バカCG〉や〈方法絵画〉、〈脳波ドローイング〉など、コンセプチュアルアートの世界で新たな手法を切り開いていくイメージが強くもありますが、油彩画やアクリル画など既存のジャンルにおいても、ジョークを効かせたカラフルでポップな作品を数多く制作しています。
本展覧会では、脳の知覚作用や視覚生理を切り口とした作品を中心にピックアップし、中ザワが追究する方法理論に裏打ちされた、独自の現代アートの世界を紹介します。鑑賞における視覚の意義を強く再認識させるその作品の多くは、観る者の視覚を刺激し、さらに作用を及ぼす脳の内で紐解かれて初めて完成されます。素通りを許さず、一目では解せず、多角的な見方を与えない、言ってしまえば一方的なこの作品ひとつひとつと対峙し、それらが持つ理論の読解に挑むことは、観ることの意味を今一度考える好機となるでしょう。
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①《三五目三五路の盤上布石絵画第一番》 1999年 アクリル碁盤、碁石 黒川未来夫撮影 Courtesy Gallery Cellar
②《セル(ローズ・ウルトラマリン・イエロー、5)》 2008年 油彩、カンバス Courtesy Gallery Cellar
③《灰色絵画 #4(シアン、マゼンタ、イエローによる)》 2005年
油性溶剤デジタルプリント、合成樹脂、アルミフレーム 府中市美術館蔵
④《アナグリフの穴・右壁》 1999年 デジタルプリント Courtesy Gallery Cellar
⑤《脳波ドローイング第二〇番》 2006年 インク、紙 府中市美術館蔵
中ザワヒデキ 略歴
1963年 新潟県生まれ
1983年 アクリル絵画で本格的な制作をスタート
1988年 千葉大学医学部卒業
1990年 イラストレーターとして「バカCG」制作をスタート
1997年 肩書きを美術家と改め、方法絵画を展開
2002-2003年 文化庁在外派遣研修員として米国滞在
2003年 VOCA奨励賞受賞
2006年 ニューヨークのTower49にて個展「Gray Painting(灰色絵画)」開催
2008年 府中市美術館での公開パフォーマンスで《脳波ドローイング》を制作